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列国の秘史録  作者: sleet
有形無形
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親愛なる師匠へ

お久しぶりです。師匠。長らくご連絡ができず、すみません。

少し長くなりますが、どうか最後までお付き合い願います。


師匠と初めて出会ったのは、古びた商船の上でした。

隠れて潜り込んだ私を、連れだと言い船員から助けてくれた師匠は私にとって神様のようでした。

大げさじゃありませんよ。本当にそう感じたのです。

そこから身寄りのない私に、字の読み書きや薬の知識を教えてくれました。

何でも先に自分で試してしまう私はいつも怒られてばかりでしたが。

それでも一人で生きていけるくらいには強くなりました。

師匠と別れてからはいろんな町に行ったんですよ。

その中でもとても気に入ったのが今、住んでいる町です。

ワーフと呼ばれるこの町は、大きな海の傍に栄える小さな町でとても気さくで暖かい人達が住んでいます。

他所から来た私ととても快く受け入れてくれて、今ではすっかり馴染みました。

そうそう、家族も増えたんです。

シューカと言って私と同じ綺麗な夕日色の髪をしてるんですよ。

血は繋がっていませんが、本当の家族のように過ごしています。

この町に来てから大切なものがたくさん増えました。


師匠、私は、私みたいな人を救いたくて旅をしてきました。

救えた人たちもたくさんいます。

ですが、今は、手から零れ落ちる命の方が多すぎるのです。

今、子供の命だけを奪い取る病気が町で流行ってしまっています。

私にはもうどうすることもできないのです。

きっともうすぐ限界がやってきます。

この文がつく頃にはもう私は死んでしまうかもしれません。

不出来な弟子でごめんなさい。


身勝手なのは承知の上で、師匠。最後のお願いです。

どうか、どうか、町を、娘を、私の大切なものたちを助けてください。

お願いします、師匠。


もう一つ、

私はきっとあの娘が大きくなるまで傍にいてあげることができません。

できる限りでいいのであの娘を支えてあげてください。

あの娘、頑固だから何があっても町に残ると言い出すでしょう。

いつか、本当にいつか、気が向いたらでいいんです。

外の世界を見せてあげてください。


最後まで図々しくて、苦笑いしながら読んでそうです。


師匠。救ってくださった命、今でも本当に感謝しています。

少し短い人生でしたが、私はとても幸せ者でした。

テゾーロ・ミオ、いつまでも幸せに。


ジーア


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