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プロローグ
冷たいレンガの壁に支えられながらゆっくり立ち上がる。
一歩、一歩と踏みしめるたびに体のあちこちが痛む。
それでも行かなければ、動かなければ一生後悔してしまう。
彼女の思いとは裏腹に足は縺れ、石畳に体を叩きつけてしまう。
もう立ち上がることもままならない彼女はすがる。
誰か。。。あの人を。。。
ーーー中立国。
行く当てのない者を保護し国民として迎え入れる。そうやってこの国は成り立ってきた。
王の名前をとるわけでもなく、地名を入れるわけでもなく、ただシンプルにつけられた国名。
前王は、気高く、強い人だった。
理想の王とはあのような人のことを言うのだろう。
おそらく、いや、私には代わりを務めることはほぼ不可能だ。
ならば、私のやり方で、良き方向に、前王が望んだ国へ少しでも近づけるように。




