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元三十路おっさんの原点回帰  作者: THERDRIE
第一章 入学編
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第七話 危機一髪

 土埃が舞う。ルードベドは、安堵した。あれだけの威力のロベリアを放ったのだ。生還していると考えたくもなかった。しかし、その考えが、実現する。

 土埃の威力が次第に収まっていく一方、ラルとルードべドの恐怖心が強まっていく。一つのばらばらになっていた肉体の影が、人の形へと成していく。そして、それは彼らの方向へと走り出し、人の形になった途端、その姿が現れる。

 ルードべドは唖然としていたせいか、反応が遅れ、コレオの大剣によって深々とダメージを負った。

 その光景を見かねたラルは、さっきと同様、ルードべドを巻き込んだ風魔法を発動する。


「フル・ネベルア!!」


広範囲の不可視の斬撃がコレオめがけて高速に接近するが、コレオはルードべドに対して使っていた大剣を振り、それすらも無効化してしまった。

 圧倒的強者。それが、彼らが感じた感想だった。


「手間はかかったが、これでバッジ2個は俺のもの。後悔するんだったら、お前らの運の悪さと、ローシュに来たことを後悔するんだな」


絶対的な絶望。それを認めないのが、この男。ルードべドだった。

 彼はコレオの大剣を強く握った。血が滲み出るが、そんなのは、今は関係なかった。困惑するコレオに、ルードべドは思いっきり拳で頬を殴った。

 一瞬だけ隙が出た瞬間だった。ルードべドは魔力の出力を最大限にまで上げる。身体強化をし、後方までふっとばし、急いでラルに近づいて耳打ちをする。


「数分間、アイツのヘイトを稼ぐことってできるか?」

「わかんないけど、やってみる」


不安が混じった声で言われたが、ルードべドにとって、それはあまり重要ではなかった。

 ルードべドはラルの肩をぽんと叩いた。


「頼むぞ」


そういって、最高火力の風魔法と、炎魔法の融合技の準備を行う。

 一方、ラルはコレオのところへ行き、対峙した。余裕そうな顔をするコレオに対して、ラルは多少の冷や汗をかいていた。そしてそれを見たからか、コレオは得意げに言い放った。


「お前一人で大丈夫なのか?満身創痍の状態だというのに」


構えるコレオ。しかし、対照的にラルは立ち尽くしたままだった。


「どうした?かかってこないのか?」


それでも、ラルは構えようとはしなかった。それは、最大限まで時間を稼ぐための苦肉の策以外にほかならなかった。だが、コレオはそれに気づくことはできなかった。

 数十秒が経った。無音な状況が続く中、ようやく、ラルは杖とコレオに突き出した。


「こっからだよ。ここからが、本番だ」


ラルの可愛らしい声が、ちょっとした低音ボイスに変化した刹那、ロベリア。と、小さく呟いたのと同時に、コレオを取り巻いた状態で、炎がラルの眼の前に出現する。

 だが、治癒魔法が炎が体を約尽くすよりも速度が速い故、コレオはこんな程度では止まらない。それどころか、スピードは変わらずに、ラルに突っ込んでいく。

 そんな激しい攻防が長く続く。なんて事は、起きるはずがなかった。現に、彼女の魔力はそこを尽きようとしていた。時間が進むにつれ、魔法の威力が弱まっていく。

 それを見たコレオは、にやりと笑った。


「やはり、お前が俺に勝つなんて、ありえないことなんだよ」


そういったときだった。背後からとてつもない威力を誇るであろう魔法を感じ取ったコレオは、背後を振り向く。そこには誰もいなかった。しかし、青い粒子が跡として残っていた。

 転移魔法。それを、彼は察知した。しかし誰が?いや。コレオは理解した。それは、ルードべドのものだということに。

 周囲を何度も見渡すが、見えるのは青い粒子のみ。ルードべドの姿なんて、見えなかった。だが、わかる。野生の勘だろうか。コレオには、ビリビリとなにかが来る予感がしていた。

 そしてその予感は、そう思った直後に的中した。


「ロネベリア」


ネベルアによって、威力と範囲が強化されたロベリア。それが、ルードべドが旅の道中に編み出した、ロネベリアという魔法である。そしてその威力は、ラルのはなったロベリアよりも、数段上だった。この時ラルは、主の強さを実感した。

 勝ち誇ったように笑うルードべド。しかし、コレオという戦士は、永続的に治癒魔法をかけている限り、止まらないし、諦めることはない。



「随分とやってくれてものだ。だが、今のでお前の魔力は随分と減ったはずだ。もう一方も、お前も。両方もう戦えない。抵抗しても無駄だ。なんせもう、俺の勝ちが確定したんだからな」


そういって、コレオが、眼の前にいるルードべドに大剣を振り下ろそうとしたときだった。


『これにて、試験を終了する。もしこの放送が聞こえていても尚、攻撃を行っている奴らは失格とみなす。さてこれから、お前たちを転移魔法で学園にまで連れ戻すから、そこで待機していろ』


コレオは大剣を、ルードべドの眼前でなんとか止め、大剣をしまった。


「クルッセに助けられて良かったな」


青い粒子に包まれながらも、コレオは捨て台詞をはいて去っていった。

 それをルードべドはふぅ。とため息を尽きながら見送った。それと同時に、ルードべドもまた、転移魔法で学園に移動させられるのだった。

 もしこの物語が面白い、続きが見たい。と思った方は評価して頂けると幸いです。何卒よろしくお願いします

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