初陣〜さりとて私は一般人な訳でして〜
あれから1時間程だろうか嵜本たちは先へ進み、その先に小さな光る小部屋を見つけたのであった。
「お、この部屋一休み出来そうじゃない?」
「確かにね。なんか噴水とかあるし水分補給とか飲みながら交代で休もうか。」
「あれからガチャ回しまくってるけど変なのしか出ないしねぇ。」
「ほんとだよ…」
そう、あれから嵜本のガチャのデメリットが全自動反射の効果により回数無制限でかつスキルを得た時の頭痛も無いため歩きながら回しているが出てきたのは使えもしないゲーセンのメダルや小麦粉や果ては銃弾の薬莢など現状ゴミとしか言えないようなものばかりでほとんどはアイテムボックスの肥やしになっていくばかりだった。
その中で手に入れたスキルの一覧を一応記すと以下のようになる。
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N:クラッカー
N:デコピン
N:発光
N:コイン飛ばし
R:風魔法
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・N:クラッカー
アクティブスキル
消費MP1
任意の場所にパーティークラッカーと同等の音量を発生させる。
熟練度が上がればテープ等が追加できる。
・N:デコピン
パッシブスキル
デコピンの威力が自身のステータスのいちばん高い数値を参照するようになる。
数値が500以上のステータスを参照した場合ソニックウェーブが出せる。
・N:発光
アクティブスキル
消費MP1分につき1
使用者の全身が光る。
熟練度により光量が変化し色も付けられるようになる。
・N:コイン飛ばし
アクティブスキル
消費MP1
コインを飛ばすのが正確になる。
・R:風魔法
アクティブスキル
一般風魔法が使えるようになる。消費MPは使用者の魔法力に依存する。
使える魔法は
風刃
空気砲
風鎧
の3種である。
ここに来るまでに500回以上は回しているが未だR以上は韋駄天と全自動反射のみである。
「はぁ全然使えるスキルでないなぁ。もっと超ド派手な攻撃スキルとか欲しかったなぁ。それこそ篠田さんの筋力砲撃弾とかさ!」
「いや、お前はもう既にチートだからこれ以上強くなってどうすんだよ。」
「どうするとかじゃないのよ。かっこいいの!あ、曽江木さんと舞元さん先休憩してていいよーカップ麺ならあるし好きなの食べてー」
「ありがと!あーしカレー味がいいんだけどある?」
「あるよー!お湯入れた状態で渡すねー熱いから気をつけて食べてね!」
「ありがと!」
「曽江木さんは?何味がいい?」
「俺は無難に醤油かなぁ。」
「ほいどうぞー」
「ありがとう!」
こうして見るととても会社が崩落しその穴に落下した後に遭難したようには全くもって見えない雰囲気である。
「なぁ俺シーフードがいいんだけどある?」
「あるよーそれか焼きそばもあるけど謎に辛いやつ。」
「んーシーフードの気分だから今は焼きそばはいいや」
「おけー」
アイテムボックスから篠田の分のカップ麺を取り出しお湯を注いでいる最中に嵜本の手が止まる。
「ん?なんかあったか?」
「いや、カップ麺に水入れたらなんか揺れてんだよね。」
「別になんも感じないけどなぁ」
「だよね?俺の気のせいかも。」
おかしいなぁーと言いつつお湯を入れ終わったカップ麺を篠田に渡す。
「よし!とりあえず俺が外の警戒してくるからみんなは食べててー」
「「「はーい。」」」
そうしてみんなが食べ始めたのを確認したあと部屋を出て危険がないか確認する嵜本。探索を初めて1時間以上は経過しているがゲームなどで見られるモンスターなども無く、トラップなども無いため余程大丈夫だろうと少し軽いノリで外を見る嵜本。
しばらく見回りをすると、突然何かが聞こえる。
遥か遠くから地鳴りのようななにか大きなものが移動している音のようなものだ。
「ん?なんだ?」
そこで目を凝らし進行方向の先へよく見ると何やら大きな生物がこちらに走ってきているのが見えた。