表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

計画停電

作者: 朝焼 悠

閉めきれなかったカーテンの隙間から

外を走る車のヘッドライトが

部屋の中に射し込んでくる


一瞬だけ

真っ暗な部屋の中を

必要以上に照らして

消えていく光


多分今日という日だから

僕は思い出したんだろう

計画停電


住む町の明かりが一斉に消えて

しんと静まり返った我が家

肌寒い中

蝋燭の火を頼りに

毛布に包まって


一端のひもじさを体感している気にもなったけど

実際はあんなの

かすり傷程度にも語れない


3.11あの日テレビ越しに見た映像が

現実のものだと

すぐ認識できなかった


僕自身も体験したことないような

揺れの中にいたけれど

損害も怪我もなく過ごせた


刷り込みのように連日連夜流れていた

テレビの映像が

ようやく現実なのだと理解し始めた頃


同じように実施されることになった

計画停電


でもきっと今日という日でなければ

計画停電

その言葉自体を思い出さなかったであろうと

自覚しているってことは


僕はもう

あの日を忘れた日常を

過ごしているってことなんだろうな


今もまだ

苦しんでいる人がいるのに


僕には

僕個人の

つまらないトラウマや傷で

忘れられない日々や思い出があって


その苦しさを曲がりなりにも知っているつもりなのに


人間とは都合の良い生き物だと


僕は都合良いズルいやつだと

この時期に思い知らされる

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] あの日、日本人の凄さに目覚めたんです。 それまで、日本人なんて。とか思っていたような気がします。 地震や津波、それ以外の傷の後遺症に苦しんでいる人も、きっと立ち直ることができると信じてい…
2022/03/11 21:09 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ