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英雄の教室で新生活、始めます

「んん……もう朝ですか。何か僕を呼ぶ声が聞こえたような……。赤毛で、あの声はたしか――」


 寝心地の良いベッド、見慣れぬ部屋で起きたフェアト。

 見回すと少し狭い間取りだが、今寝ているベッドの他に机もあって、最低限生活できそうな場所だ。

 何かボンヤリとした夢の内容を思い出そうとしていたのだが、机の上にあった本に目が行った。


「あっ、〝英雄の教室、取り扱い説明書〟と書いてありますね! いや~、実は説明書の類も読むのが好きなんですよ~。メチャクチャ丁寧な注意書きから制作側の苦労を感じ取ったり、普通では気付かないお得な使い方が書いてあったりして!」


 本のように分厚い説明書に飛びつき、夢の内容は一瞬で吹き飛んでしまった。


「どれどれ、なるほど。教室と……増設された宿直室。たぶんここの事が書いてありますね。後のページは真っ白。追記されていく魔法の本という事でしょうか。はぁ~……お宝です。感動してしまいます」


 最愛の恋人のように本を抱き締めてジ~ンと涙を流していると、扉を開けて中級精霊が入ってきた。


「よっすー! おっはよー!」

「よっすー? おはようございます」

「覚えているかな? 中級精霊ちゃんだよー」

「アハハ、覚えていますとも」


 いきなりぱったりと倒れてしまったので、心配しての発言かもしれない。

 もし、ここで『何も覚えていない……』と言ったら大騒ぎになるだろう。


「ここまで連れて来て寝かせてくれたんですね。ありがとうございます。中級精霊さん――そういえば、お名前は?」


 中級精霊は首を傾げてキョトンとしていた。


「なまえー? たぶん、ないよー」

「困りましたね……個体名がないと記録を付ける時、面倒なことに……」

「じゃあ、ご主人先生が付けてよー」

「僕がですか? それは構わないのですが、ご主人先生とはいったい……」

「中級精霊ちゃんのご主人はメラニで、その先生だからご主人先生ー!」

「ははぁ……なるほど……」


 中級精霊は身体を得たばかりなのか、どうやら精神的な部分も幼いようだ。

 変な名前を付けても否定してくれるかどうかわからないので、きちんとした名前を考えた方がよさそうである。


「精霊……精霊……たしか、どこかの地方でニュムパイと呼ばれていましたね。花嫁という意味もあります」

「おー、何か可愛いぞー!」

「では、それから取ってニュムという名前はどうでしょうか!」

「ニュム! ほっぺたニュムニュム!」


 頬を引っ張って伸ばしながら、中級精霊――ニュムは空中で踊っていた。

 どうやら気に入ってくれたらしい。

 ただ、もし成長して大人の姿になった場合でも、ほっぺたニュムニュムという軽い雰囲気で呼べるのかどうかが心配だが、それは気にしないでおいた。


「ニュム君、早速ですが頼みがあります」

「なーに、ご主人先生ー?」

「早速、ニュム君を調べさせてほしいのですが……」

「いいよー! 身体の隅々まで調べちゃっ――」


 扉がバンッと開かれた。


「いいわけないだろー!! その子は女の子だ!!」

「あ、メラニ君。おはようございます」

「先生、おはようございますだぜ」


 突然やってきたメラニに対しても、フェアトはマイペースで朝の挨拶をする。

 その直後にメラニの言葉の意味を理解したのか、フェアトはガックリと崩れ落ちた。


「ニュム君は女の子だというのですか……!? まさかこの僕が男女の違いを見誤るとは……」

「普通わかるだろ……。いや、もしかして私様の性別もわかってないとか……まさかな~そんなわけないよな~……」


 メラニはボソッと呟くが、フェアトには聞こえていなかった。


「女の子ということは、男の僕が調べられないことが多すぎる……!」

「あー、先生。私様を頼ってもいいんだぜ?」

「え?」

「だ、だから、先生の代わりにニュムの身体を調べてやるってんだよ! 私様なら問題ないし……」

「ありがとうございます! メラニ君! 助かります!」


 フェアトに頼られて、メラニは鼻を高くしていた。

 だが、このときに気付いておくべきだった。

 メラニが言った意味は『女の子同士なら問題ない』ということで、フェアトは『馬なら♂でも女の子に対して問題ない』という認識だったのだ。

 その夜、メラニは風呂場で痛感することとなる。

面白い!

続きが気になる……。

作者がんばれー。


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