憧れは現実へ
第0話 出会いそしてゲーム
「はあ、はあ、…はあっ!」
走れ。走れ。だって今日はーーーー。
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ガチャッ
「輝彦、おかえ…」
「ただいま!ちょっと部屋こもる!」
ダンッダンッダンッ
勢いよく階段をかけあがる。
だって、だって今日は…
「全く…あの子ったら…」
ガチャッ!!!!
急いでパソコンの電源を付けて…
『はい!みんなどうも〜!!!サウスです!今日も配信やってくよ〜〜!!!』
今日はサウスの定期配信日だ!!!!!!
『初見さんも、常連さんもお茶1個投げてってね〜〜!!!♡』
「ま、間に合った〜〜!」
俺の名前は木野山輝彦、
春から高校生の15歳。
絶賛春休み満喫中!!!
今日は俺の大好きなゲーム実況者、サウスの定期配信日だ。
『今日は○○BGをやってくよ〜♪
みんなサウスについて来れるかな〜??』
カタカタカタッ
きのこ〈サウス、わこつ〉
『およ?キノピコ殿じゃん!ゆっくりしてってー!!!みんなー!さあいくよー!!』
ピコンッ、 ピコンッ
鳥〈がんばれ!サウス〜!!!〉
キング〈いっぱいキルしてな〜!!!〉
はぁと〈サウスの配信たのしみにしてた!〉
コメントが滝のように流れてる。
すげー…。
「…さすが、サウス。最初から盛り上がってる!かっけーな…」
俺が何故、サウスを推しているのかって?
それは半年前、受験生で成績もろくにあがらず、すごく病んでいた時に、出会ってしまったからだ。
ーーー半年前 塾の帰り道。
「っけ…何故受験というものを受けねばならないんだ…」
俺は毎日、ド陰キャかまして毎日塾に通いながら勉強していた。
毎日つまんねえ。成績もろく上がらないし…。
「輝彦くーんっ!」
聞き覚えのある声だ。
誰だ…?
あっ、
「ゆづ姉じゃん、久しぶり。」
「輝彦くんのキノコヘッドが見えたから話しかけちゃったー!!!えへへ〜♡
てか反応うすーいっ!もっと喜んでよね?」
ニッコリ微笑む、目の前にいるこの女子高生は近所に住む、
東雲結月だ。
いわゆる幼なじみである。
「へいへい、どしたん?」
「あのねっ!輝彦くん、昔ゲーム好きって言ってたじゃん?だからね、報告!!!」
「なに?」
「ゆづね!ゲーム実況始めちゃった!!!」
始めちゃった♡きゃ♡みたいなノリで言われてもしらんがな…
「フリゲのホラゲーとかやってるんだけど、すごく面白くて!!!受験生の輝彦くんに言っちゃうのもあれだけど、配信に遊びに来てほしいな…!!!」(※フリーゲーム 無料のゲーム)(※ホラゲー ホラーゲーム)
「…ゆづ姉が生主!?!?!?」
「そっ♪ナマヌシッ!!これが私のアカウント!待ってるね!!!!」
「ちょっ!あっ待っ!」
アカウントIDが書かれた紙を渡され、ふんふーん♪と鼻歌を歌いながらスキップをして行ってしまった。
いやいや、まじか。
あのゆづ姉が!?
「あ、アカウント名なんだろ、ん?
サウス…?」
????
まあ、いいや、今日は勉強頑張ったからな。
もしこの後、配信があれば行ってみるか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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ーーーーーーピコンッ!
ーーー22時、配信通知がきた。
準備していたマイキャスアカウントを開く。
よし。行くか。
〜♪
配信に入るととても陽気な曲が流れていた。
『はい、みんなどーもっ♡どーもっ♡サウスだよ〜!!!!』
閲覧は10くらい。
配信はといえど、いつも通りのゆづ姉だ。
『みんな今日も来てくれてありがと〜!!!♡♡
コメ欄に名前かいてくれた子から呼んでくよ〜〜!!!』
コメント欄は@自分の名前でいっぱいだ。
俺もコメントくらいするか…
カタカタ
きのこ〈 初見です
『わ〜!!!初見のキノコ…?キノピコくんいらっしゃい〜!!』
んがぁっ!!!
変なニックネームつけられた…
キノピコ…って、キヨヒコって絶対バレとるやん。
『ほいほい、そしたらね〜、今日もね、ホラゲやってくよっ!』
ピコンピコンッ
鳥〈まーた、ホラゲか!サウスちゃん絶対泣くやん〜リボチ〈ワロタw泣くなよサウスwwwwww
キング〈泣くに100円www
『みんな待ってwwwどうしたwww
大丈夫だって!!!!泣かないし完走するよ!!』
━━━━━いや無理だろ。
ゆづ姉は昔から怖いものが苦手なはずだ。
苦手なはずなのに…。
『私は逃げないよ。最後まで』
画面がゲームに切り替わった瞬間、
サウスの枠の雰囲気が変わった。
鳥〈ザワザワ…
リボチ〈ざわざわ…
キング〈ざわざわ…
コメント欄がざわざわしてる!?
〜♪〜〜♪
『いざゆかん!!!!!!!!』
ーーーーー30分後
『ヒェェっ!!!出るなら出るって言ってよぉぉおおおおお!!!!!!』
『んぎゃー!!!!!いきなりそこの角からでてくんなし〜!!!!!』
『いけるいける!!!!のあっ!あっ!うそ!!!!』
『えっ、えええ!?こいつ?こいつ!絶対ラスボス!!!!』
全然だめじゃね〜か!!!!!!
みてるこっちが…こえーよ!!!!!
大丈夫か?この枠…
鳥〈やめんのか???
リボチ〈いいんだよ?サウス??
キング〈俺たちは負けるに1000票!!!
『みんな、言ったじゃん。私は負けない、最後まで…』
この言葉を言った途端、サウスのゲームの動きが変わった。
今放送しているこのゲームは、ラスボスから逃げて最後終わるゲームなんだけど、サウスはラスボスに立ち向かったのだ。
『このラスボス逃げるより、立ち向かった方が真のエンドにたどりつけるはず…!!!』
実はこのゲーム、誰も真のエンドにたどり着いたことがない。
あの有名な実況者、ピヨまでもが…
「うがぁぁあああ!!!!!」
サウスはやってしまったのだ。
閲覧数が10だったものが、いきなり1000まで上がった。
ありえんのか?こんなの…
『みんな…わたしできちゃったよ…』
〜♪
真エンディングが泣かれながら
コメント欄はパチコメでいっぱいだった。
リボチ〉888888888888
もくもくはん〉888888
キング〉888888888888888
鳥〉ほら!!!いまだよ!!自分を宣伝すんだよ!!!バカ!!!!!
『…あっ、えと、わたしサウスといいます!!ゲーム配信始めたばっかりだけど、精一杯やってるので皆さんよろしくお願いします!!!』
お野菜さん〉ピヨを越えるんだぞ〜!!!!
名無し@よく寝る〉応援します。
りんご@ピヨなー〉がんばえ!!!!
リボチ〉真エンディングありがと!!!!
すげぇ…。
すごいな。ゆづ姉。
こんな…あっという間に人を湧かせて。
俺もこんな…ぱっと人の気持ちを盛り上げることが出来たら…
高校生になったら絶対サウスのような
配信者になるんだ!と思い、半年間
サウスの配信を見ながら受験を頑張り
俺は無事、志望校合格を決めたのであった。
「今日の○○PGもよかったな…」
明日はついに、入学式。
しかも、ゆづ姉と同じ高校に入学したからには頑張るしかない。
やってやるぞ。
俺もひとの気持ちを元気にして、一緒に盛り上げられるような配信者になるんだ!!!
待ってろ!高校生活!!!!
【0話終わり】