決戦中の思い
初代魔王は激しい火炎をはいた。
『スキル:激しい炎、LV34』
それに続いて、第二魔王は凄まじい低温の吹雪をはいた。
初代魔王の火炎とほぼ同レベルであった。
その後、追うように第3魔王は顔から閃光を出した。
3体の魔王が同時に大技を撃つ。これだけでもその場所に発生している物理エネルギーは想像を絶するものだった。水蒸気が湧き上がってもおかしくない。
建物があれば吹っ飛び焼け焦げるだろう。
3人の攻撃で相手に到達するスピードが最も速いのが閃光で、一瞬で命中し、スパルダスをよろめかせた。衝撃もすごい。
さらに、初代魔王と2人目魔王は間髪入れずもう1発ずつ火炎と吹雪を吐いた。
立て続けに凄まじい衝撃、爆破や揺れが起きた。
地震と雷が一度に来たようである。
激しい火炎と猛吹雪の雪崩の様な勢いの猛攻だった。
その攻撃の中起こった爆炎から、周りが皆どうなったとうかがう中スパルダスは顔を覆ったガード体制で出てきた。
顔が腕で隠れているため表情は分からず言葉も発しなかった。
しかし先ほどまでの笑ったあざけりはなかった。
スターマークは何とか落ち着いて見ていた。
ロゼオムは言った。
「効いてるのか?」
スターマークは答えた。
「わからん。攻撃も相手の生命力もレベルが高すぎて想像や予測がつかん」
キッドは言った。
「悔しいです。大翔達の力になろうと来たのにあまりにもレベルが違いすぎて」
トライブは大翔に治癒魔法をかけていた。
三夫はトライブに話しかけた。
「僕にはもう魔法力が残っていません」
マークは三夫達の体力を考え言った。
「うむ、いったんここは全員退却した方がいいだろう」
ロゼオムは言った。
「少しくやしいですけどね」
キッドも言った。
「ここまできたけど」
マークは冷静に2人を諭した。
「うむ。だが大翔君と三夫君を逃がさねばならん」
すると、突然後ろから声が聞こえた。
「待って下さい」
それは中島だった。
今までと比べものにならない、強い決意と覚悟を持った表情と姿勢だった。
体の震えを抑えすっくと立とうとしていた。弱いところを受け止めた上で見せないように。
「僕はここに残ります」
「しかし」
マークは言った。
「僕は反逆者です。しかも皆さんに迷惑をかけました。だからここで死んでも」
「死ぬなんて言うんじゃない」
マークにしては少し強い言い方だった。
しかし中島は決意を秘めながらも穏やかな口調で言った。何とかわかってほしいと言う誠意を込めていた。
「でも、僕がやらなきゃいけない。わかってくださいマークさん」
「わしも残る」
魔導博士は言った。
「僕も」
カノンは言った。そして魔導人のスイッチを押した。
魔導人は熱線をスパルダスに向けて吐いた。
スパルダスはこちらに気付き睨んできた。
「貴様らもやるのか」
「違う僕だけだ」
カノンは言った。
スパルダスは怒りの表情でカノンに衝撃波を投げた。
それを横からかばうようにキッドが飛び出しカノンとキッドは伏せた。
「キッド!」
キッドは言った。
「僕も残る。魔導人は動かせないけど。でも大翔と三夫君はなんとか助けなければいけない。僕の主人で友人だからです。トライブさん逃がして治癒をお願いします」
しかしトライブは答えた。
「年上の僕が君をおいて逃げろと」
「いいんです」
スターマークはキッドの意を汲んだ。
「トライブ、彼は治癒を使えるのが君だけだから頼んでいるんだろう」
さらに戦いは続いた。
初代魔王は口からの火炎、吹雪、角からの雷撃、2人目魔王はは角としっぽから光線を出した。
これらが全てスパルダスに命中していった。
当たるたび爆発と揺れが起きる。
マークも固唾を飲んだ。
「すごすぎる……」
火を吐き終わり、初代魔王は背中のとげにエネルギーを集めた。
それがばちばちと火花を散らしながらはじけそうな青い球体状なった
そしてそれは山のような軌道で斜め上に5メートルほどあがり、そこから斜め下にスパルダス向けて発射された。
スパルダスはこれもよけず受けた。
相変わらず反応は鈍かった。
大翔は思った。今の状況と全然関係ないけど、僕はミランドで生まれ魔王に憑依され人間界に送られた。じゃあ真崎家の父さんと母さんの子供は一体どこにいるんだ?
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