ついに力がそろう
カノンは魔導人をルディンとの戦いをおいて空中に向かせた。
いかにも旧式のロボット兵の様な、油を差す必要がありそうで可動箇所が摩耗していそうな、不器用な動きと方向転換で「ギギ」と音をならすように関節が固そうなのに一生懸命体、可動部位を動かし、頭を宙に向かせ空に穴を空ける砲撃ができる準備をした。
魔導人は口を大きく開け、口内部に大きなエネルギー粒子を集め始めた。
外見は木人形の様なのになぜか内部は最先端的な雰囲気で現代の科学で説明が難しいエネルギーを蓄積していた。動作は人間ぽいが。
ルディンは魔導人に気付き言った。
「な、何を始めようと言う気だ」
そしてカノンは口を開けた魔道人の発射の狙いが定まると声で指示を出した。
「よし、冥王が入った場所はあの辺りだ。次元のひずみをこじ開けるため秘密兵器を使う! 次元捻転砲!」
ドドンと言う音が轟き、黒く粒子を多く含んだ熱戦が一直線にはるか上空に飛んだ。
凄まじい射程距離だ。まるで逆流星である。
「おお!」
と一同は声を飲んだ。
しかし光線は空で何にも命中せず、何も起こらず反応はなくはるか上空に消えた。
確かに何も起きなかった。
次元のひずみを開ける事は出来なかった。
確かに冥王が出入りした場所を狙ったが
「あ、あれ?」
「どうしたカノン」
とスターマークは聞いた。
「空に、冥王が消えた場所に撃ったんですが全然反応がありません」
「なに?」
カノンは当惑した。理由も対処もわからない。
「あの辺りで入り口があると思ったのですが」
「ううむ。入り口が隠されたのか威力が足りないのか別の方法で次元にいったのかよくわからん」
カノンは推測した。
「冥王しか使えない能力かもしれません」
「じゃあわれわれにはあけられないと」
とキッドは弱音を吐いた。
しかしスターマークは励ました。
「いやあきらめるな」
「入ったと言う事はそこを開ける方法も必ずあるはずだ」
トライブも言った
「まだ無駄な事をする気か。貴様らにそんな事は不可能だな。あんなロボットごときに」
と言い見下した後、ルディンは魔晶石を使った魔法を使った。
特殊な緑の魔法晶石を腕から召喚するように呼び出した。
「何だあれ? 腕から宝石みたいなのを」
一同は戸惑った。
ルディンは怪しくゆがんだ目で詠唱をした。
意志にエネルギーを集め始める。
そして石から強烈かつ速い緑色の光を線状、放射状に放った。
キッドやトライブはとっさにバリアを張った。しかし光の威力に防ぐのが苦しくなった。
「くっ、苦しい!」
珍しくキッドはまた弱音を吐いた。
「仕方ない」
「えっ!」
スターマークは何かを決意した。
「私は覆面を脱ぐ!」
スターマークは覆面に手をかけた
「スターマークさんが覆面を!」
皆驚愕した。中島は
「あの人が素顔に?」
そこには少し毛の薄い頭の丸いどんぐり頭に大きな唇に平たい目の30代の男の顔があった。スターマークは叫んだ。
「魔力解放! 火炎弾ハイレベル!」
その威力はこれまでをはるかに超えていた。
「ぐっ!」
火炎弾をルディンはかわしたが頬にやけ傷がついた。
「アダラング位の威力だ!」
と皆は騒いだ。
「私も!」
トライブは髪に手をかけもぎとった。
何とトライブは髪が無かった。
「ええ?」
とキッドは驚いた。
「黙っていたが、私は僧侶でもある。でも昔は弓の使い手だった」
カノンも驚いた
「まさかトライブさんが僧だったなんて」
トライブは昔のミランド戦争の頃を回想し話した。
森の中の戦いで15歳の時すでに弓兵だったトライブは弓で後方支援をしていた。
「私は弓の腕は誰にも負けない」
と言う自負があり事実かなり戦力として貢献していた。
しかしそこへ遠くから弓が飛んできて仲間の兵にささった。
「ぐああ! 痛い」
仲間は膝をおさえもがいた。
トライブにはその様子を見てどうしようもなかった。
「私は何て不便な人間だ。こんな時治癒が使えれば。弓が上手くても人のけがは治せない!」
それから僧になった。
すると次の瞬間、ドオン! と音がなり、水のフィ-ルドを破り熱戦が後方から飛びリヴアィアサンを直撃し
高熱にリヴァイアサンは焼け崩れ倒れた。
ルディンは何事かときっと後方を振り返った。
そこには初代魔王怪物体と中島がいた。
「このフィールドを破るとは! やはり魔王!」
「俺が相手だ」
と中島は言った。
ルディンは中島を罵倒した。
「馬鹿だ、馬鹿すぎる男だ」
しかし中島は言い返した。
ただし堂々半分やけくそ半分な面持ちで強がりが少し見えていた。
「俺は馬鹿だと思ってない! 自分の意思で反逆したんだ!」
彼の中にはまだ「巨悪に反逆する」事がどう言う事かわかっていない、子供がわめいてるか恰好つけているかどちらかにルディンには見えた。
彼の心の許容範囲内で余裕があり魔王を連れていても脅威と感じていなかった。
「乗り物が大きくても持ち主が小物ではな」
しかし彼の強い部分と弱い部分を両方感じ取ってマークは励ました。
「彼は馬鹿ではない」
「マークさん」
中島は振り向いた。驚きと喜びが両方あった。
マークの言い方は皮肉でも疑問形でもなく確かな中島への信頼があった。
「君は正義にめざめたんだろう」
「僕はただこれからどれいにされるのがやだった、でも」
前を思い出しながら中島は言った。
確かにマークを信じた嘘のない口調だった。
「でも?
とマークは問い直した」。
「あなたと会って変わったかも」
と中島はめずらしく人を馬鹿にする以外の理由で微笑ました。
会話を割くようにルディンは怒った。
「おのれ、相手にしてくれる」
中島は冷静に言った
「あんたでも魔王三体じゃ勝てないだろ。降参しろ」
それは単に魔王が強いから、や自分が強いと言う勘違いではなく今は信頼する仲間がいると言う自信だった。
ルディンの言い方には明らかに怯えが見え、やけくそ気味だった。
「降参などできるか、そんなことしたら」
ルディンは珍しく自信のなさを出した。
それは逆らったりすれば冥王たちにどうされるかわからなかったからだ。
スターマークは言った。
「大丈夫だ。この俺が何とかする」
「冥王様の居場所はお前たちにはわからんぞ」
悔し紛れにルディンは言った。
中島は言った。
「サーチだ。こっちにはサーチ能力がある」
「サーチ? なにそれ?」
とカノンは言った。
中島は説明する。
「この魔王怪物体には冥王たちの力や次元の入り口の正確な場所をサーチする能力があるんだ」
「そんなのがあったんだ!」
「よし! サーチ開始だ!」
すると初代魔王が何やら探知し光を空に投げると入り口らしき場所が光った。
中島は叫んだ。
「次元のひずみの切れ目はあそこだっ、うてっ!」
カノンは再度撃った。
「次元捻転砲!」
次元捻転砲は一見何もない空に大きな化学反応の様な反応を起こしブラックホールのような穴を開けた。
カノンは言った。
「あそこから入れる。僕は魔導人を連れて行く」
スターマークも言う。
「私も行く」
中島は言った。
「勿論俺も行く魔王を連れて行く」
「君は」
「僕も行かなきゃだめです」
中島の言葉には確かな勇気があった。もちろん全く怖いものがなくなったと言うわけでなく。
「魔王の力が3体あれば冥王、それ以上の相手を倒せるかもしれん」
魔導博士は言った。
「しかしそれは試作品だ。 過去の魔王の力が暴走するかもしれん」
「そ、そうですか」
マークは言った。
「いやかけよう、魔王の力に。悪の力をあてにするのもあれだが」
キッドは言った。
「そうですよ。西ミランドは敵対関係だったんですから。僕も行きますが」
ルディンはこの状況にこれまでになく焦った。
「くっ、くそ! 私は裏切らん。ひっとらえろ!」
「ドオンッ!」
配下の魔法使い達が来た。
カノンは叫んだ。
「急げ! 魔王に捕まり空のひずみまで飛ぶんだ」
キッドは言った。
「待ってろ大翔、三夫君! 魔王3体の力があれば冥王たちに勝てるぞ!」
その頃一方スパルダスは大翔に言った。
「モストチルドレンには私以上に恐ろしい人間がいるぞ」
「何!」
大翔と三夫は戦慄した。
「人工的を施され教育を受けた優越種を送り込み紛れ込ませヒエラルキーを変え支配させる。それでもあきたらず反抗する物を殺し、ましてや戦争が起きれば我々が全力でつぶし、われわれ冥界の王が世々にわたり支配する」
一方、ついに一行は次元から魔晶結界に入った。
「成功だ!侵入出来たぞ!」
どすんと着地した。
「氷の世界?」
さすがに皆戸惑った。
ついに魔王たちと一行は魔晶結界に入った。
「ここ、複雑なのかな」
カノンは言った。
ここで初代魔王がしやべった
「あそこにかんじるぞ。すぐちかくだ」
「しゃ、しゃべった!」
「われわれの力を見せる時だ」
2人目の魔王もしゃべった。
「魔王の力、復活し!今こそ黒魔術の支配を我々の手に戻す!」
「冥王と霊王を倒せ」
「意識が戻った」
「早く我々を冥王と霊王がいる場所に案内しろ」
「は、はい」
一行は怯えた。ロゼオムは
「我々の味方なんでしょうか?」
スターマークは言った。
「かけるしかない、冥王たちを倒せるのは魔導人と魔王だけだ。」
「歴代の魔王たちが霊王を倒す」
そして間もなくスパルダスの間に全員は来た。
スパルダスは顔にいら立ちがこれまでになく見える。
「来たか、初代、2代目、3代目魔王よ」
まるで待っていた様でもあった。
「我々が来ると知っていたのか」
「下界の事は大体見えてるよ。予言もね」
大翔はすでにぼろぼろで熱戦を食った、ドンドンドンと連発で食い壁に叩きつけられた。
「貴様はまさか自分の力でやったと思っているのか。これだけの反逆を」
「思ってない! 僕は魔導博士と魔王を操っただけで何もしていない臆病者だ」。ただあんたたちのモストチルドレンが許せなかったからだ。なぜそんな事を」
冥王は言った。
「貴様らの住む地上がうらやましくなったからだ。広く資源も豊富でもうモストチルドレン計画は始まっている、手遅れだ!」
「どうすれば防げるんだ」
中島は危機感と怒りをこめ必死に聞いた。
「防ぐ方法などない。このまま人間は滅びる」
「そんな事させない!人間の物だ」
「貴様に定義するしかくがあるのか」