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反撃

「うわああ!」

剣を持ったまま2人はごろごろと風にはじかれるように5メートルほど吹っ飛ばされた。


「くっくっ!」

その様子を見てスパルダスは笑った。


 しかし大翔はあきらめなかった。ど根性の見せどころだった。 

砂漠で砂を掴みあがくようにまるで自分の勝機を必死に手繰り寄せようとぼろぼろになりながら腕をうつ伏せに倒れながら上半身を半分おこし、息を切らしながら大翔は立ち上がろうとした。


 しかし、それを打ち砕くようにスパルダスは追撃に容赦がなかった。

「第3地獄スキル! 風地獄!」


 スパルダスは体をそらして大きな口から大量の息を吸い上げ、大げさ過ぎるフォームで大翔めがけて吐いた。

それはおよそ風速100メートルはある強風だった。

「うわああ!」


 打撃こそないものの、凄まじい風圧で弾き飛ばされそうになりながら大翔は耐えた。

「うぐぐぐ!」


 根性以外の何物でもなかった。三夫も横で踏ん張っていた。

「僕も一緒に踏ん張るよ」


「な、何? 耐え抜くとは!」


 三夫は言葉を投げかけ、大翔は笑顔で答えた。これを見てスパルダスは憤慨した。


「何が美しき友情だ! 僕はそういうの一番嫌なんだ! 食らえ火炎地獄!」


 スパルダスは大翔が魔王スキルで吐いた火炎とは比べものにならない高温の火炎を吐いた。


 部屋の氷や雪を溶かしそうなほどの威力だった。

「マジックバリア全開だ!」

大翔と三夫は2人でバリアを出した。何とか防いだが押されていた。


「無駄だよ!」

「ぐぐっ! 体内魔力全開だ!」

「あんなの喰らったら即死だ!」


 2人は必死でこらえた。

しかし火炎の放出は続く。

「押されてる。反撃しないと!」


「反撃しようと構えている間に黒焦げになるけどね!」

バリアがひび割れてくだけそうになった。

「うわあ!」


 火炎の直撃を食らわなかったものの大翔達は後方へ吹っ飛ばされた。

「もう降参した方がいいんじゃないのかい?」

「ぐっぐぐ!」

「君はもう魔王の力ないんだからさ!」


「僕は魔法使いの力は奪われていない!」

三夫は立ち上がった。


「おっとそうだったね、まだ手があるのかな!」


 三夫は言葉を発さずに決意するようにスパルダスを睨んだまますっくと立った。

「受けてみろっ!」


 詠唱後三夫の体はまばゆく白い光に包まれた。それは絹の衣の様で蚕の繭の様に全身を包み込み姿を覆い隠した。


「ぬっ?」

スパルダスは、これは明らかに並みの技ではないと感じた。


 そして三夫の体が白い光の固まりに包まれたまま上空へ移動し、そこからジグザグ、いや予測できない方向へとあちこちに超スピードで移動し始めた。


 三夫のとんだ場所に魔法の力で細い線の様な軌道が空中に描かれる。リード線や蜘蛛の糸の様に三夫の飛んだ軌道に対して線が出た。それはまるで操り人形の糸の様で、三夫が飛ぶに従いその予測不能な軌道から糸の様な線は絡み合いまるであやとりのように見えた。


「な、なんだこのおかしな動きは!? 何か法則があるのか?」

さすがに超スピードでこれだけ複雑な動きをされればスパルダスも戸惑う。

今まで見せた事のない動揺した様子だった。


「いけっ!」

 固まりの中の三夫が叫ぶと、スパルダスに向け一直線ではなくあちこちに空中を飛び移りながら前方へ移動した。まるで網目のように複雑な道筋で三夫は高速で宙を移動した。


「な、なんだこの予測不能な動きは、何の意味がある? これが大魔法使いの力? ぼ、僕が戸惑うなど」

そして超複雑な法則ルートで空を飛びながら空を移動し、ついに最大級のスピードでスパルダスに向かった。

「なっ!?」


 スパルダスは準備が出来ておらず腹に防御できず光となった三夫の高熱に包まれた体の体当たりの一撃を食った。

「あ、ああああ!」


 初めてスパルダスの表情が変わった。

「き、貴様!」

腹を押さえ煮えくり返った形相で三夫を睨んだ。


 スパルダスは三夫に向け渾身の熱戦を手から放った。

三夫は体当たりが終わり動けない。

「死ね!」


 先程よりさらにすごい熱量の熱戦が三夫を襲おうとした時、横から割り込んだ大翔は退魔の剣で熱戦を受け止めた。

「何っ!」

「魔王の力がなくなっても僕にはこの剣がある!」

「お、おのれ!」


 スパルダスはすさまじい威力の熱戦を撃ち続けたが、大翔は退魔の剣で受け止めこらえ続けた。

まるで超パワーを避雷針で受けているようだった。


 当然剣を握っている大翔の腕にも重い負荷がかかった。

想像を絶する高熱なのだが、退魔の剣が散らしてくれているおかげで何とか手でもてる温度と負荷になっていた。


 大翔は衝撃にこらえるため歯ぎしりをした。

足が浮きそうになる。

それを強靭な足腰でこらえた。

「ううう」

「おおお」


 両者のしのぎ合いが続き、ついに大翔は剣で斜め上に薙ぎ払うように熱戦をはじいた。

「ば、馬鹿な!」


「僕には魔王の力が無くても体に大量電気を蓄積出来る。それにスキルは使えなくても魔力は体に大量にあるんだ! これで!」

すると大翔の身体にある電気が全て退魔の剣に注がれ、剣の刃が広くなり電気を帯びた。


「雷撃広刃剣だ!」

剣を振ると凄まじい威力の電撃がスパルダスを襲った。

「ぐおお!」

さらに大翔は切りかかった。するとスパルダスの手甲に傷がついた。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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