謎の勇者の聖なる加護
謎の声、剣の精霊?は三夫に言った。
「三夫君時間を稼いでくれ。今から大翔君にスキルをかける」
「わかりました」
と言い三夫は前に出ると
「うおお!」
とわざと気を引くため大きな声とモーションで近づき激しく光弾を連射しスパルダスの目を引いた。
もちろん大翔の方に行かせないため、目を引くのでなくこれで倒すつもりでやっているように見せねばならない。
(まだ、あれの為に魔法力を残しながらやらないと)
と三夫は思っていた。
フィールドの中で小声で大翔と剣の精霊は話し合った。
防音効果はあるが。
「勇気のスキルですか」
大翔には初めて聞く名だった。
「うん、勇気のスキルだ。それは魔王のスキルと体面上は逆の位置に位置する。暗黒にたいする光、暗黒でなく聖なる神の加護などだ。属性的にね」
「神の加護ですか。魔王みたいに冥界の攻撃と違いますね」
「ああ、正魔法教会はそもそも神の加護を大事にする派だ。だから協会員たちは基本その属性を習得し戦う。しかし東西ミランドが分裂するまでは魔族も元々同じ流派だったため共通効果も多い。例えばこれは」
大翔の攻撃力が著しく上昇した。
魔王の霊体を抜かれた大翔の攻撃力が3とし、冥王は4000位とするとそれに近い数値だ。
さすがに大翔は驚き戸惑った。
「な、何これ? 一旦力がなくなったのにまたとんでもない力が!」
「君はさっきまで冥王と同じくらいの強さだった。それは魔王の力を使っているからだ」
「ディードさんは全く冥王にかなわなかったのに僕はもっと戦えた。自分でもわからないですが」
「それは君がディード以上に魔王の憑依体としての体の使い方が上手いからだ。だからディードよりもはるかに強い力で戦えた。それは怒りや正義感などの感情がはじけ覚醒したためと元々の力のコントロールや引き出しが上手かったからだ」
「さらに」
また剣から光がでて大翔に浴びせられると今度は防御が上昇した。
「す、すごい、さっきまでとは比べものにならない力だ!」
「うん、これで冥王位の力になった」
「ふええ、小学生レベルまで落ちたのに」
大翔は両手を見つめながら。自分に凄まじい力が湧きあがっているためコントロール出来るかと戸惑い不安になった。
「うん、だが勿論これだけでは勿論スパルダスには勝てん、彼の力は冥王をもはるかに上回っている。そこでこれだ」
またまばゆく激しい光が大翔に浴びせられた。今度は力が増したと言うより大翔が感じた事もない感覚、どんな攻撃も受け付けないような感覚であった。
「これは?」
「これで君の体は一定時間だけどんな攻撃も受け付けなくなる。その間にけりをつけよう。あと攻撃力はそんなに上がっていない。だからこそ『自分の力で』ではなく『剣の力で』戦うんだ」
「剣の力で、ですね、よし。と言うかあなた誰なんですか?」
「まあ、後程言うつもりだったが、昔ミランドの為戦った勇者かな」
「剣に入ってたんですか」
「ま、まあそれは後で」
一方三夫は時間稼ぎをしていた。しかしスパルダスは煙に包まれてもダメージはさしてなかった。
スパルダスは堪えていない。
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