謎の声とバリア 剣の秘密
11月26日、字下げ等訂正しました。
三夫は剣の光で攻撃している大翔を見て戸惑い聞いた。
「大翔君、君はエネルギーを吸い取られたはずじゃ? スキルがまだ使えるのか?」
「あれ、ええと……」
三夫の質問がスイッチになったように、大翔はまるで何かに操られているようで自分の意識が無かった事に気づいた。
剣が自分に力と意思を送り込んでいるような感覚は確かに感じていた。
大翔の動きが止まった。
はっと我に返った大翔は自分の手を見つめたりよく事情が分からずきょろきょろした。
「僕は何をやってるんだ? 自分が自分じゃないみたいだ。何で剣を持ってるんだ?」
「何でって自分の意思で持ったんじゃないのかい?」
しかし、三夫が変な事を聞いたため大翔は戸惑い攻撃が止まった。
自分が何をしてるのか意識が良くわからない大翔は攻撃の手を止めてしまった。
ここがどこかはわかっている。スパルダスが目の前にいるのもわかる。
しかし何故自分は一旦スキルも魔王の力も失いダウンしたのに、その後剣を持って剣の光弾で攻撃している。
スパルダスは大翔が何故戸惑い攻撃を止めたのか事情が良くわからず戸惑ったが大翔の攻撃の手が止まったのを見て反撃しようとする。それを見て上の空になっていた大翔は慌てた
「あ、あわわ!」
まるでちょっと待ってと言う様だった。
「な、何か前の大翔君みたいだな」
ところがその時突如剣から光が出て大翔と三夫をドーム状の光が包んだ。
「何これ? わあ!」
「何だあれは?」
スパルダスは驚いた。
2人は直径4メートルほどの透明な謎の光のフィールドに包まれた。
「さっきからどうなってんの?、ぼ、僕は何故剣が使えてさらに光弾まで出しているんだ?それにこのフィールドは? 何故剣からフィールドが」
「このフィールドは相当高位の魔法だよ。ここにいれば相手は入ってこれないしあらゆる攻撃を塞ぐ。何故剣からこんな光が。でも自分が何してるか分からないって、さっき冥王と戦った時は切りかかったじゃない? 自分の意思でやってるんでしょ?」
「ううん、あの時剣に突然引き寄せられ手に取ったんだ」
「えっ?」
大翔が意識がなかったと聞いて三夫は驚いた。
大翔は説明する。
「急に誰かの声が聞こえて目覚めて一馬君の剣が僕の所に来たんだ」
「じゃあ自分の意識で剣を使ったんじゃないの?」
大翔は冷静に思い出そうとした。
「確かに僕の意識も少しあった。でも僕の体と頭を誰かが動かしてるみたいだった。そもそも僕は剣は使った事ないから使おうとすら思ってなかったんだ。ディードさんは知らないけど」
ますます大翔の言う事に疑問を感じた。何を言っているのか把握しきれない。
「使った事ないって、てっきり魔王のスキルで使ってるのかと思ってたよ」
「今は魔王のスキルもう使えないみたい。ディードさんの霊体引っこ抜かれたから。前は脳の中にアイコンみたいなのが出てそこから選択出来たんだ。でも今はそれが出来ない。完全に普通の小学生に戻っちゃったみたい」
「えっ、じゃあ能力を全て抜かれたって事? やばくないそれって。でも剣を使いこなせてる」
「これ勝手に剣の力で手が動いてるんだ。ちょっと完全にどう言う状況か戸惑ってる」
「私が説明する」
「えっ?」
フィールドの中に声が響いた。頼もしい勇気を感じさせる声だった。
しかし人の姿はない。
「さっき君の魔導手甲を通じて剣から君に力を送った、一馬君と同じように」
「あ、貴方は一体誰ですか?」
「僕は剣の精霊とでも言っておこう。それとも剣の中にいる人間と言うべきか」
少し驚きながら大翔はハイテンポで焦る気持ちを隠すように話した。
「あ、あの、確かに事情は知りたいです。でも今戦ってる最中何であんまり長く話すと」
「大丈夫だ。今この周辺だけ時間の経ち方が遅くなる魔法をかけている」
「えっ! そんなすごい魔法を、貴方は一体?」
声は温かくかつ余裕に満ちていた。
さっきまで絶望的だったのに急に安心感が増えた。
「だから霊王は次の攻撃に行かないんだ」
「でもそれで僕に何故この剣が、何故体に力が湧いて技も分からないのに勝手に動いてるんですか? 僕は今もうスキル使えないんですよ」
「それは私のスキルだ」
「魔王じゃなく?」
「魔王じゃない聖なるスキルだ。これで君は今までの魔王スキルでなく聖なるスキルで戦える」