大翔再覚醒
「大翔!」
カノン達は叫んだ。
闘技場にいた皆の目が注がれた。
皆、目の前で起きた事が信じられなかった。
大翔が剣で冥王を切った。傷を負わせた。
大翔が起きたタイミングだけでなく、飛び上がり剣で圧倒的な力を持つ冥王に手傷を負わせた。
「何て言う力だ!」
「いや力だけでなく、起きている事そのものが」
「覚醒したのか大翔君!」
一馬は
「退魔の剣が大翔を呼んだのか?」
冥王は顔は仮面に覆われていても伝わるほど事実に動揺し苛立った。
屈辱と共に剣で切られ破れたマントを外した。
そこには全身黒のボディースーツでおおわれていた筋肉質な体があった。
とは言えボディビルダーの様ではなくバランスが良い体系と筋肉だ。
観客席の部下はささやいた。
冥王のマントの下が見れたことも驚きだが切られた事はそれ以上だった。
「冥王様の体に傷が」
そのささやきが冥王の耳に入った。
馬鹿にされたとまでは思っていないが、失態をずっと下の下級兵士に見られ屈辱は頂点に達した。
突如冥王は
「うるさい」
と言い部下の元に指から光線を発した。部下は1m秒でそれを受け即死した。
観客は短い時間での出来事に怯えた。
「なんて冷酷な」
しかし、これではまだ終わらなかった
「う、ぐぐぐ」
「はっ!」
「うおおお!」
思いがけず、大翔がもう1発切りかかってきた。
冥王はそれにうっかり油断し気が付かず咄嗟に槍で防いだ。
「うおお!」
しかし大翔は退魔の剣で槍を押し切り、飛ばした。
「槍を弾き飛ばした!」
また観客が騒いだ。
屈辱と傷を受けた冥王は叫んだ。
「ま、まさか、こんな事が……ゆ、許さん、この私に傷を負わせるとは。小僧、覚えておけ」
心ではこうつぶやいた。
(どういう事だ、デイードでなく小僧が体を操るとなぜここまで強い?あいつの意志の力に原因があるのか? どういう理由なんだ。ここまで強くなるわけがないだろう)
冥王は傷が大きく退却しようとした。
「あっまてっ!」
何とどこかへつながる空間のひずみに逃げようとする冥王に大翔はひずみの入り口で捕まえ後ろから殴り掛かった。
「ここであんたをたおしてやる! 回復はさせないぞ」
冥王は焦りあがき、責任転嫁を始めた。
さっきの部下の処刑と言い明らかに冷静さをなくしていた。
「くっ! あの反逆者が魔王をつれて来なければ」
魔王たちの出現、大翔の復活、これら信じられない事が立て続けに起きてさすがの冥王も動揺していた。
ルディンはその様子を見て冥王の動揺を察したさっきまでより慌てていた。
「冥王様!」
(あのお方が取り乱すとは)
しかし冥王はルディンに言った。
「かまわん、お前は侵入者の奴らを。私は!」
と言い、急に冥王は下を向いた。
大翔は冥王が何をするつもりかわからなかった。
「反逆者め、死ね」
と言い突如熱戦を地上の中島めがけてはなった
大翔は、とっさに気が付いた。
「危ない!」
と言い大翔は超高速で中島の元へいきかばって受けた。
「ぐぐ!」
冥王の攻撃を食った大翔の顔は苦痛にゆがんだ。
背中が焼けるあつさで湯気が出た。
想像を超える高温だ。
それ以上に中島は呆然としていた。
あまりに一瞬だが、大翔が殺されそうな自分をかばってけがをした。
(な、なんでなんだ? 俺はあいつらにさんざんひどくあたったじゃないか)
客は騒いだ
「かばいやがった。何てスピードだ」
大翔は光線を受けた背中を押さえていた。
「ぐっぐぐ……」
あまりに目の回る現実が完全に呑み込めないまま頭に上がる疑問や感情を中島は吐き出した。
初めて大翔に心を開いた。
「な、なんで僕を、さんざんひどい事したじゃないか」
「償えばいいじゃないか」
「おのれ! 体力を回復して倒してやる。そしてあのお方に」
そう言って冥王は消えた。
大翔は叫んだ。
「追うぞ!」
「僕も行くぞ!」
と突如三夫も飛び上がった。
そして2人は次元のひずみに入った。
「いっちゃった!」
とカノン達は言った。
一方ルディンはフィールド内でカノン達と戦っていた・
「リバイアサンの力を見せてやる」
リヴァイアサンは水がないのに地上でも魔法の力で水攻撃が出来る。
「ぐあっ洪水だ!」
「何て規模だ!」
ルディンはあざ笑った。
「くくくこのフィールドがあれば存分に力を発揮できる」
「後ろに逃げるんだ」
とロゼオムは指示した。
魔導人の後ろにいると完全に壁になり水攻撃が防げた。
「ふん、鉄だったらさびていた物を、木で運が良かったな。
魔導人は水を受け止め怪力で横にはじいた
「まだだ! 水圧で仕留めろ」
リヴァイアサンは水圧を送り込んだ。
「た、耐えろ!」
カノン達は叫んだ。
ルディンは追い打ちをかける
「ではこれでどうだ。竜巻!」
「うあああ!」
竜巻でメンバーたちは上空にあげられ落とされてしまった。
しかしそこにキッド達がやって来た。
「まだだ!」
「キッド! マークさん!」
「おのれ援軍が」
スターマークは言った。
「降参したらどうだ」
ルディンは敵が増えても鼻にもかけなかった。
「馬鹿な、私は冥王様に足止めを言われているのだ」
キッドは挑発的に言った。
「その冥王も形無しだがな」
「おろかな、まだ上がいる」