第2第3の魔王
冥王が力を溜め叫ぶとぐおんぐおんと言う音と共に宙が暗くなった。
ちょうど雷が起きる前の様な風景と音である。
「な、何が起こるんだ」
と観客には想像の出来ない世界に入っていく感覚を与えた。
雷を生物が起こそうとしているのか?と言う人智を超えた力に恐怖した。
そして冥王が表情は石像のまま不気味で太い声の詠唱を口も動かさず終えると黒雲が立ち込めた中突如天から石の雨を降らすように隕石上の小岩、1つは直径5cmほどの群がすごい量で地上の魔王めがけて降ってきた。
「石の雨!?」
観客は騒いだ。
「くく」
と反応を楽しむように冥王は笑った。
「ぐううう」
魔王の体のあちこちに小岩は降りかかった。
1つ1つは小さくても速くよけきれない、確かな打撃を与える。
「あんな速い石の雨避けきれないぞ」
客は畏怖した。
冥王はさらに笑いながら詠唱を続けた。
その間絶え間なく石の雨は降り続ける。
「まさかこんな天候を変えるような事まで出来るのか?」
「雲を作り出してそこから降らせてるように見せてるのか?」
等観客の憶測は飛んだ。
憶測中も魔王めがけた小岩落下は続いた。
さすがに魔王は腕で顔をガードしたじろがずにはいられなかった。
目に入らない様つぶったりの細かい仕草も見せ、ちっといらだち舌打ちしたり歯ぎしりをしたりと生物的反応をしたりして見せた。
「意外と人間臭い、いや生物か」
と冥王は言った。
「そろそろあれの出番か」
カノンは意を決するよう言った。
中島は動揺はさすがに隠せなかった。
「くそ! こんな技で! 大丈夫だ魔王! お前の力なら薙ぎ払える!」
と焦った中島が言うと魔王は腕を思い切り振りかぶり冥王に何かを投げつけるような仕草をした。
すると魔王の暗黒波動の力でみるみる内に黒雲は消え空は元通り機嫌を直したように晴れて行った。
客は空を指差した。
「おお、空が晴れたぞ!」
「な、何て戦いだ」
「天地をも支配しそうだ」
「ふん、なかなかやるな」
冥王はすこしだけ焦りながらもいまだ余裕を見せていた。
「よし」
一方中島は汗を流しながら取り繕うような、しかし空を晴らした事に自信を持った笑みを見せた。
「行け!」
と中島はコントローラーを持ち叫び指示した。
すると後方から唸り声が聞こえた。
「なんだ? なんの騒ぎだ」
(見ていろ)
中島は汗をかきながらほくそ笑んだ。
闘技場がゆれ奥から轟音が聞こえた。
それは地震と獣の声を合わせたようだった。
すると叩く音が何度も聞こえ、壁が砕けた。
そしてれんがを破壊し、そこから初代魔王と同じ位の大きさの魔物、いや魔王と思われる怪物が現れた。
「な、何だありゃ!」
「言っただろ他にも魔王はいるって」
中島は自慢するように高揚した。
現れたその第2の魔王はより爬虫類的な姿をしていた。
顔はドラゴンと鬼を合わせた複数の角をしているが口は前方に長く目が蛇っぽく、全身は太い大蛇の様に長いが足は小さ目でもそれでバランスを取っている、腹以外にはうろこがあり、立ち上がった小型の足を持つ大蛇型爬虫類の様だった。
さらに闘技場の別の部分の壁が壊れもう1体が姿を現した。
それはワニ型の顔をした直立人間型で体はゴリラのような哺乳類型、恐ろしいのは巨大なワニ型の口の中に人の顔のような物がありそこが頭部と思われる異形の生物だった。
「また出たなんだありゃ!」
「あれも魔王?」
汗を流しながら興奮し中島は言った。
「そうだ。この2人が2代目、3代目の魔王の怪物体さ」
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