クラ―ケンとの死闘その2
大翔はクラーケンの10本の足に苦戦していた。
基本は3、4本で攻撃するのだが、かといって決めてかかっていると別の足が前に飛んでくる、また軟体動物特有の動きも攻撃を予測し損ねた。
前の2本の足でくねらせ攻撃をしてくるそぶりをしながら別の右側の足ではたくのを狙っていたりなど、複合攻撃的で読めない。
「しかも、攻撃が重い!」
上からの鞭の様に振り下ろす攻撃を受け止めると重さで腕に衝撃が走る。
その隙を突かれて右からの鞭のような足攻撃を食ってしまった。
足で張り飛ばされダウンする大翔。
さらに倒れた所に追い打ちで踏みつぶすかのごとくめった撃ちするかの如く別の足が振り下ろされ何度も殴られた。
その攻撃は鞭のようにしなり且つ重く大翔の全身に響く。
三夫の攻撃を受けかすかすになった大翔にはこたえた。
また足で絡み取られ空に抱え上げられた。
「はなせっ!」
叫んでも離さずかつ叩きつけられるように投げ捨てられた。
さすがの大翔も変幻自在な足の攻撃に苦戦した。
それだけでなくあまりに大きい体に委縮しているのか。
パワーも体力も大きそうでこちらの方が不利に見えてくるような。
「まるで千手攻撃だ」
クラーケンは最大5本の足を使って攻撃してきた。これまでは、だが。しかし迂闊に攻撃すると今度は別の足で攻撃をブロックするのだ。
防御の仕方もなかなかうまく、知能が高いのか足の使い方をよくわかっている感じだった。
そこで大翔は腕から電気を流そうとした。
「くらえ!」
大翔の体内から高圧電流が放出された。
しかしイカは元々多くの電気を持っている生物でこれはいまいち効かなかった。
「くそ! これでどうだ!」
大翔は間合いを取った。
そして大翔は叫んだ。
「電気は電気でもこれはスケールが違うぞ!」
(すまない、ディードさん、また大技使わせてもらう)
大翔は天にひとさし指を突き上げた。
するとたちどころに上空に黒雲が現れた。
「何だ? 急に天候が?」
「魔王の力でコントロールしてるのか?」
と黒魔術の観客はがやがや話した。
カノンとロゼオムは話した。
「この天候変化は大翔君が?」
「うむ。おそらく先ほどと同じ魔王の力による攻撃ではないか」
「すると、特別また強力な技ですか」
黒雲が雷をまとい始めた。
雲の粒が雷を発生させ始めた。
「いけっ! 魔王奥義、超雷撃!」
大翔は叫んだ。
すると天から巨大な数本の稲妻が線状に叩きつけるように落ちクラーケンの身体を直撃した。
「グルアアア!!」
クラ―ケンは叫んだ。
「す、すげえ!」
「なんて電気力だ!」
客席が騒ぎになった。
バチバチと言う火花と共に高圧電気が数十秒間クラ―ケンの体を侵食した。
体の中を激しい雷が走っていた。
しかし、一見苦しんでいるように見えて、クラ―ケンは自力で電気に耐え、弾き飛ばしてしまった。
普通なら黒こげになっている。
しかしクラーケンにはこれもあまり効かなかったようだ。
「あれほどの攻撃が効かないのか?」
ロゼオムは疑念視した。
様子を見ていたルディンはほくそ笑んだ。
「元々クラ―ケンは電気に強いがあらかじめ雷属性耐性強化の魔法をかけておいた」
「くっ! 魔王奥義だぞ」
さすがに大技が破られ鼻をくじかれたのかまた大翔は間合いを一旦とった。
大翔は作戦を練った。
「奴の間合いに入る事を恐れるあまり攻撃がおろそかになる。よし、ここは逆転の発想で!」
さらにバックジャンプの連続で間合いを取るとそこから全力ダッシュした。
「高速加速突撃!」
大翔の得意な走る事で加速ぶりが凄かった。
強烈な体当たりになるはずだ。
大翔の本来のスキルと言ってよい「加速」(ダッシュ時)が魔王のスキル「加速向上」により一回ダッシュした時の速度の上がり方が飛躍的にアップし、それを使った体当たり及び走りながら電気を溜める技能がアップし肉弾戦に置いて有効な重さと加速がアップした体当たりになっていた。