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大魔法使いの儀式と人格の秘密

カノンは試合を見ながらロゼオムに聞いた。


「聞いてもいいですか? そもそも運命に支配される、と言う魔王と大魔法使いにかけられる呪いの仕組みについて疑問があるのです。まず、その呪いをかけられた赤ん坊は人格を支配されるんですか? 全くコントロールが出来なくなるんですか? それとも別の人格が発生するんですか。また人格をコントロールしている者がいるんですか?」


ロゼオムは思い出しながら答えた。


「あ、それだがな……確かこんな話を聞いた。まず大魔法使いはその子供が小さい頃に脳の中に精霊を宿らす儀式をする。その精霊は性格を制御し、ある時期やきっかけを元に脳と遺伝子、知識などを全て覚醒させる役割をもっているらしい」


「精霊が人格と知識などを引っ張り出すわけですか」


「大魔法使いに必要な知識と技術はその精霊が持っていていざと言う場面でその精霊が判断し一気に覚醒させる。それとともにその精霊が人格を統制し覚醒させる」


「すると、例えば子供の頃から修行をしなかったとしても精霊が持っている力によって覚醒し人格が変わりいざと言うとき魔法の力も全て備わるわけですか」


「そうだな、それは修行できない境遇に育ったりする事を考慮するためらしい」


 話は数百年前に戻る。

初代の東ミランドの大魔法使いアルレーンは息子スキップにこれから西ミランドとの戦いに行く前に、自身の力を世々受け継がせるための儀式を行った。


東ミランド聖堂では大々的な大魔法使い能力継承のための儀式が開かれた。

多くの祭司が集い、聖堂の中央に配置された。聖なる寝台にスキップは横たわり睡眠状態になっていた。


祭司長は

「汝アルレーンの能力をスキップに伝承させる儀式を行う」


 そして祭司達は祈りはじめた。

精霊を呼び出すための祈りだった。


「まず大量のマナをスキップの身体に宿らせる。しかしこのマナはしかるべき時が来るまで覚醒させず精霊の力で統制させ体に隠す。なぜならば小さい頃にすでに大きな力をもっていればもし彼に悪意があった場合その力を悪用したりそれを悪用しようとする人間が現れるからだ。だから巨大な悪との戦いなど力を解放するにふさわしい時と判断された場合に目覚める仕組みにする」


「はい」

アルレーンは了承した。


 祭司は続ける。

「つぎに人格のコントロールについてだが、まず、普通の人間として育ち、ある一定時期になるまで大魔法使いの性格や知識が表に出ないようにする。そしていざと言う時に覚醒させる。それともう1つはいざと言う時の為に「もう1つの人格」を彼の脳に宿す」


「もう1つの人格?」

アルレーンはさすがに疑念を感じた。


「そうだ。人間の心は弱い。つまりその弱さにより精霊により導かれた元の人格が魔王と戦う事にスキップ君が押しつぶされたりして耐えられなくなった場合、用意していた「もう1つの人格」が作動して「魔王と戦うための人格」が作動する」


「えっ?」


「つまりだ。スキップ君が心が弱くなり魔王と戦う本人の役割が果たせなくなってしまった場合、普段眠らせていた「大魔法使いとしての魔王と戦うための人格」が目覚め意識をコントロールするのだ」


「と言う事はスキップが例えば恐怖で戦えなくなった場合、それを補うため「予備の人格」が動きだし体を動かすのですか」


「そうだ、機械の様にな。これは別に体に大きな害を及ぼす事はない」


「と言う事は人格が複数脳に存在する事になるわけですか」

「そうだ」


さすがにアルレーンは疑問を感じざるを得なかった。しかし大魔法使いの力と使命が後世で十分発揮されるにはこの方法しかないと言う。



話は闘技場にもどる。


 ロゼオムは言う。

「確か言い伝えによると大魔法使いは3つの人格を持つと言う。1つは覚醒前、2つ目は覚醒後、もう1つは覚醒後に心の弱さなどで行動できなくなった場合に体を動かす3番目の人格だ」


「えっじゃあ三夫君は3重人格なんですか?」


三夫は1言も発しないが、汗をかきつらそうな姿を見せまいとしていた。


 カノンは言った

「と、言う事は、三夫君はそもそも大翔君と戦う事にためらいがあるからもう3つ目の人格が出てきて心を動かされていると言う事ですか? 今も」

「もしかするとそうかもしれん」


さすがにみな三夫の様子が不安になった。



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