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大翔の真の力

 大翔(が動かしている体)は気力の全てを振り絞り、這うように床を掴み立ち上がろうとした。


 息は切れ、そもそも体の各所がぼろぼろに傷ついている。

しかし大翔は泥をすするような気持で立ち上がろうとしていた。


「はあ、はあ」

切れた口から流れる血をぬぐい、息を切らしながら体を起こした。


 そしてついに大翔はすっくと立ち冥王と対面した。

気力と力を振り絞った。


 そもそも大翔の体はすでに徹底して痛めつけられダメージがあまりにも大きかった。


「まだやる気か……」

冥王は余裕があるものの少しだけ動揺した。


「僕はこれ以上引っ込んでいる訳に行かない! 立ち上がって必ずあんたを倒す!」


 そう言うとゆっくり冥王に向け手を構え、光弾を発射した。


 それはとても最近大翔が訓練で付け焼刃で身に着けたものとは威力が違った。


 その光弾は大翔のマナと魔王の残った力両方があった。さらに電気が入っていた。


 1発目、これはあえなくはじかれたものの、その後大翔はひるむことなくさらに光弾を連射した。

大翔が叫ぶと比例して光弾は数とスピードをどんどん増して行った。


 冥王は防ぎながらも思った。

まだ片手で十分防ぐ余裕がある、しかし疑問も感じた。


(何? どこにこんな力が? いや力ではない。十分に恐怖を味あわせたはずだ。以前の奴ならもうすでに戦意をなくしていたはずだ。一体)


 光弾攻撃は果てしなく続いた。

弾切れなしの砲台のようだった。

 

 しかし、冥王には効いているのかよくわからない。

(あれだけ痛めつけたのにこいつ一体?)

 

 そして数十発に及ぶ光弾を全て弾き終わると、すきを見て大きな手を魔王の頭上から一気に振りおろし仕留めにかかった冥王だったが、これを素早く横移動して回避した大翔はもっと大きな光弾を渾身の力で投げつけた。


「何? 手のひらから撃つのではなくボールを投げつけるように!?」


 このボールは見事冥王の肩に当たった。

(ぬう)


 その頃一旦大翔の意志内に引っ込んだ魔王の意識は思った。

(まさか、小学生のガキが魔王の力を引出し使いこなしてると言うのか? それ以前に冥王に恐れが無いのか?)


 また冥王が手でつかもうとすると大翔は素早く避けた。

「真上にジャンプしたな! 甘い!」



 と言い狙い通りだったのか冥王は目から光線を出しジャンプ中の大翔に当てた。

大翔の身体は焦げたかに思えた。


「くく……」

大翔はゆっくり落下した。


 冥王はほくそ笑んだが、大翔は落ちる途中超スピードで飛行し、弾丸の様に突撃し冥王の顔を思い切り殴った。

「ぐおお!」


 石像の足元がぐらついた。

「もう1発!」


 大翔は左腕でも渾身のパンチをした。

魔王はあっけにとられた。


(冥王の顔面にパンチだと。わ、私には出来なかった。巨大な威圧感に押されそこまでの気迫は持てなかった)


「う、おお」

と冥王に効いていた。


大翔はゆっくり着地した。


 魔王は思った

(これはどういう事だ? さっきマヴロウや3人衆と戦った時とは段違いの強さだ。どうなっている。この体に何かが起きているのか? まず小僧が自分の意思でこの体内にある力をさらにコントロール出来るようになった。さらに体の中にあるマナや電気を小僧が蓄積しそれを自分のコントロールで力に変えた? 糖分や脂肪をエネルギーにするように、蓄積した電気を爆発させているのか。私に出来なかった事が何故こんな小僧に……それ以前にあれほど冥王の攻撃を受けながらなぜ恐怖を感じない? 私は魔王だぞ、魔王と呼ばれた私さえ畏怖したのにこれは……)


「うおお!」

さらに飛びかかった大翔はパンチを浴びせたがこれは弾き返された。

さすが相手は冥王である。そう何度も上手くいかない。



 一方地下の迷宮では

「ぐあああ」

一馬はジャクレイの鞭で捕えられていた。


 しかし彼はあがいた。

「こんなもの、引きちぎってやる!」


「出来ると思うか?」


 カノンはためらった。

「今何かの魔法であの絡み付いている鞭を燃やそうとしたら一馬君も燃えてしまう、やはりあれを使うときか」

とポケットから何か出そうとした。


 その時三夫は手を上に上げドーム状の光玉を作った。

「なっ!」


 ジャクレイは怯えた。

(あれをまともに喰らったら私は……)


 一馬は

「俺ごとそれをこいつに当ててくれ!」


 三夫は先ほどと違い覚醒したてのクールな目になっていた。

1時的な物だろうか。それとも見えない力に動かされているのか。


 何故なのか。自分には判断力がかけていた為、どうしても全員助かる方法が思い浮かばなかったからだろうか。


 しかしカノンはそれを感じとり目を覚まさせるように言った。

「ダメだ三夫君!」


1瞬三夫ははっとした。


そこへ突如、後ろから火の弾が2つ飛んできた。


 火の1方は鞭の絡んでない所へ、もう1つは絡み付いている所へまるで蛍か線香花火の様にその火は鞭だけを焼き切った。


「誰だ」


見るとそこには中島がいた。


 ジャクレイは切れた。

「貴様どういうつもりだ!」


 しかし中島は表情を変えなかった。

「僕がチャンスと思ってとどめをさそうとしたんです」

「貴様が変な手出しをして仕留め損ねたぞ!」


 三夫とカノンは呆然としていた。

「えっどういう事? 仲間割れ?」


 中島は答えた。

「僕は裏切っていない」


 一馬は再び立ち上がった。

「うおお!」


 力を振り絞りジャクレイの鎧に切り込んだ。

「ぐおお!」


 痛みをこらえながらジャクレイは反撃しようとした。

「危ない!」


 咄嗟に三夫は素早く跳び一馬をジャクレイから引き離させた。

「おのれ!」

またナイフを出してきた。


 一馬はジャクレイのナイフを剣で防いでいた。ジャクレイはにやりとした。

「貴様はさっきの攻撃で腕を負傷した。それでは剣を持ってるのもやっとじゃないのか? なによりさっきよりも速い剣さばきは出来んだろう」


 その時剣の光が強くなった。

(この光、俺の痛みを軽減させてくれている)


 そして少しずつナイフを防ぎながら前へ進んだ。

(進むんだ、前へ、でないと防戦一方になる)


「くっ!」

ジャクレイは中島が来たため気持ちを狂わされていた。



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