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カノンの復帰

「カノン!」

キッドは驚きと喜びの混じった声で叫んだ。


 カノンは高い声で微笑みながら返した。

「戻ってきたよ!」


 華奢で小柄な体やそれを覆うマントと長いブーツ、茶色の短いさらさらな髪と大きな瞳、長いまつ毛、顔の滑らかなラインが中性的なイメージを作り出している。


 キッドにとっては本当に長かった。

友人が行方不明なまま手がかりもずっとない、捜索にかける時間が十分でなく別の戦いが始まってしまっ

た。


 自分の力の無さを悔やんだがそれを考える暇もないほど戦いは激化した。

しかし確かに忘れてはおらず辛くてもカノンはもっとつらいと言い聞かせてきた。

それがまさか向こうから来るとは。


「来てくれてありがとう!」

カノンはキッドに駆け寄り握手した。


 そしてマーク達も駆け寄った。

トライブは

「心配したぞ!」


 マークは言った。

「自力で脱出したのか?」


 カノンは質問に答えた。

「ロゼオムさんのおかげです」


 マークはロゼオムの方を見てねぎらった。

「ロゼオムか、よくやってくれたな」


「いえ、この位当たり前です」

とロゼオムは疲れを見せない様振る舞った。


 三夫は言った。さすがに魔法使いたちの輪には加わらなかった。

「あの人がカノンさんか」

皆が喜ぶ中宮田は少し怪訝な顔をした。

「何か男か女かわからない外見してるな」


 キッドは答えた。 

「はは……あれでもれっきとした男さ、時々間違われるけど」


「細い人ですねえ」

と三夫が答えると 


「僕はいつも男らしくを心がけてる」

とカノンは照れた。


 宮田は天然的な質問をした。

「キッドさんはカノンさんに変な気持ってたりするんですか?」

「するわけないだろ!」

 

 三夫が言った。

「それともう1人はあの人も調査員ですか?」

「ああ、小太りでチビなほうがロゼオムと言う」


「小太りでチビとはひどいなあマークさん」

「こりゃすまんすまん」



「チビなんでうまくあのひずみから出れましたよ」

と頭をかいて冗談を交えた。そこにはほっとした安堵感があったのかもしれない。


 マークは言った。

「しかし、よくカノンを助け出したな。我々も探したんだが」

「いや意外と早く見つかりました」


 その答えは意外だった。

「次元のひずみにあった奴らの本拠地に行ったのか?」

「いえ、実はカノンが囚われていたのは次元の中の黒魔術学園ではなく、地上のある所にあった奴隷収容所なんです」


 キッドは驚いた。

「えっ?学校内じゃなかったんだ?」


 カノンは変わって説明した。

「僕が説明します。最初僕はつかまり黒魔術学園に連れていかれました。しかし彼らからしたらそこにおいていても仕方なかった。そこで彼らは目をある国の地下にある奴隷労働所に連れて行き、昼間は働かせ夜は器具につなげて魔力を吸い取ったんです」


 キッドは同情した。

「ひどいなあ、じゃあ相当消耗してるだろ」

「ええ、でもロゼオムさんが回復薬を多く持ってきてくれたんです」

カノンは疲れを見せないようにした。


「それは良かった」

「でも無事で良かったよ」

「うん心配かけたね、キッド」


 アダラングはやきもきした。

「あいつがいなくなったら人質が……」


 しかしダンテは諭した。

「うろたえるなアダラング。もとい人質などと言うせこい手を使う事はない。なにせ我々は魔王をこれから拉致するのだからな」

「なるほど」


 すると、さらに多くの黒装束の魔法使いがひずみから出てきた。

待機していたようだ。


 キッドは恐怖した。

「まだあんなに軍勢が」

宮田は言った。

「あいつら40人はいるぞ!」


 トライブは珍しく弱音を吐いた。

「今の我々の力ではあいつらを倒す力は……」

スターマークも

「いかん、ダメージを負いすぎた」


 キッドは悲観した。

「しかし、早くしないと大翔君がさらわれちゃいますよ!」

(大丈夫だ、キッド君)

その時キッドの心に大翔の声が聞こえた。


「えっ? 大翔君?」

「僕は1人でこいつらを蹴散らす。君たちは隠れるんだ」


 大翔は言い終わるとフィールド内で高熱に包まれているにも関わらずそれに抗うよう凄まじいパワーを発し始めた。

フィールドの中は化学反応を起こしたようだった。


 3人の魔法使いは慌てた。

「何だこれは!」

「す、凄いパワーが!」


 ダンテは珍しく慌てた。

「何とか抑えろ!」

「やっていますが、これ以上は!」


 ダンテは叫んだ。

「ええい全魔法使いで呪術をかけろ!」


 魔法使いたちは詠唱を始めた。多大な負のエネルギーが大翔に内から外から襲いかかった。

「ぎ、ぎぎ」

大翔は機械のような声を上げ歯ぎしりをした。


 リドックはこれで抑えたと勘違いした。

「ふはーははは!」


 しかしそれに反し大翔はまだ踏ん張っている。

「う、ぎぎぎ」

「す、すごい量の電気と魔法の結合エネルギーが!あいつは体内で大量の電気を作れるのです!」


 ダンテは叫んだ。

「押し返せ!」

「駄目だ!」

「うわあああ!」

大勢の魔法使いは吹っ飛ばされ立っているのは半分以下になった。


 アダラングはひるんだ。

「なんてパワーだ! これは魔王の力!」


 しかしダンテはなだめた。

「慌てるな、まだ手はある」

「えっ?」


 その時、1人の少年がひずみの中から出てきて着地した。

それは灰人太だった。


 大翔は度胆を抜かれた。

「な、何で君が!」


 ダンテは高笑いした。

「はーっはは! 貴様の住む寮に手を回しルームメイトを黒魔術に引き込んだのよ!」


 灰人太は詠唱を始めた。

すると大翔の魔力が急激に落ちた。

「うあああ!」

「うううう!」


大翔は頭が混乱した。

 

 訳の分からない声で詠唱した。

「よせ! 灰人君! 正気に戻れ!」

「こいつを返してほしくば我々に従え」


「くっ!」

大翔は屈服した。

「うおお!!」

その時三夫が叫んだ。


 三夫の魔力が覚醒し、手からレベル5以上と思われる閃光型光弾を発した。

魔法使いたちの間に着火し、何人も倒れた。


 しかしダンテは

「な、あいつ何者だ! しかし真崎大翔をとらえてさらえ! 全員がかりだ!」





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