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大翔の部屋と生活

 そして大活躍の後学校が終わり、大翔は帰宅した。


 大翔の家は都内の1戸建ての2階建てだった。

通勤もしやすい駅にも遠くない場所に立地している。

良い物件と言えるだろう。


 大翔は家に帰り、部屋で少し寝転んで休んだ後、いそいそと机に向かって宿題と勉強を始めた。


 自主的ではあった。

もっとぬくぬくしたい思いを抱えながら、ではあるが。


 何故自主的に出来たのか。

それは彼の家に大翔の親が本や医師のアドバイスを元にした「様々な工夫」があるからだ。


 その工夫とは、例えば彼の部屋の壁にはタイムスケジュールが書かれている紙が貼ってある。


 これが例え疲れていて勉強等をやりたくなくても「やらなければいけない」と言う義務感を引き出す。


 また、同時に行動に抜けや忘れをなくすために母親がした工夫である。


 ADHDの子供は生活においてこのような工夫が必要になってくるのである。


 カレンダーにも毎日予定や時間等普通の人以上の緻密なメモがあった。


 また表やノートに1日のスケジュールが綿密に書かれ、1つの事が出来たら次のステップに臨む構造だった。


 大翔の机には無駄な物が置かれず整理されており「そこで行う作業」を制限する配置になっていた。


 またそれは「失敗をなるべくさせない」と言う、感覚統合訓練だった。


 しかし、大翔はやはりADHDの特性で勉強を始めてもなんだかんだで数分間でそわそわし始める。

テレビが見たい、漫画が見たい、と。


 しかし振り返ってもそれはなかった。

視界になかった。

母さんがどけたんだ、と大翔は思った


 一方、母は居間で「子供の発達障害」と言う本を読んでいた。

本には様々な障害特性と対応方法が書いてある。

この本を読む度気が重くなる。しかし親として把握しておかなければならない事柄が多くあり責任と義務感で読む。一行ごとにやるせなくなる。それは症状の重さと大翔を産んだ自責の念、これから将来に向けて指導する事等についてだった。


「ADHDは集中力を保てないから部屋に遊び道具をおいてはいけない」

「アスペルガーはコミュニケーションが苦手だから苦手のままにしてはいけない、そうしないと社会に出てから大きな壁に突き当たる」

「自閉症はこだわりが強すぎるとパニックになる」

「『あれ取って』、と指差ししてはいけない。『◯を取って』と言う」

「短い言葉でストレートにいい、あいまいな表現を使わない」

「腕を広げてくるくる回ったりする。これを『常道行動』と言う」

「迷子になりやすい」

「パニックになりやすい」


 大事と思える所を特に何回も読んだ。

特にこの一文が突き刺さった。

「アスペルガーには家族の遺伝である事が多い。両親から半分ずつ原因を受け継ぐ」

私のせいだと言うの……と思った。

わなわなと震えた後に嘆息した。

自分の体に何か問題があるのか、と苦悩し、産んだ時を思い出す。


 傷ついてはいた。

親である事に責任と力の無さ、罪の意識を抱いた。


 大翔は夕食の後茶碗を片付け、風呂に入った。

母は作り笑いっぽく褒めていた。

「食器や洋服の扱いが丁寧になったわね」

しかし内心では疲れや苛立ちがあった。

大翔の片付け方ではなく自分に。


 大翔が入浴中、また母は本を開いた。

「うまく出来たらほめなくてはいけない」

「結果ではなく経過をみてほめる」

「ささいな事をほめる」

「ほうっておいても出来るようにはならない」

「やりとげる目標を決める」


「昔は言う事を聞かなかったり泣きわめく事が多かったわね……」

母親はため息をついた。

これまでを思い直し疲れを吐き出すようだった。


 大翔の家には生活習慣手順を分かりやすく絵に書いた貼り紙がある。

これで身につけさせるのだ。

箱には何が入っているかシールが貼ってあり、タンスの引き出しにラベルが貼ってある。


 そして大翔は何とか1日を終え布団で眠りについた。

昔は眠りが興奮したりして遅い事もあった。


 しかし、嫌な事は突然起きるものである。



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