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トライブの到着と三夫達との再会

「トライブさん!」

その美青年を見てキッドはうれしそうに叫んだ。


 そのトライブと呼ばれた青年はぺこりとお辞儀をしたと同時に傍らにいたけがをした玉越と小谷を心配そうに、かつ冷静な目で見た。


「いかん、深手を負っている。早く治癒をしなければ」

と青年は言い挨拶は後回しに玉越と小谷に駆け寄った。


「治癒」

と詠唱するとみるみる2人の傷がふさがっていった。

腕の切れた部分がすべてでないにしろ消しゴムで消すかの様に塞がり消えた。


 2人はまだ意識を取り戻していない。

しかしマーク達は傷が塞がるのを見て一時安堵した。 


 青年は言った。

「ここにいれば教師や生徒達が来て騒ぎが大きくなります。外へ出ましょう」


 青年は180近くある長身、20歳前後、キッドと同じタキシードを着ていてとても品位と清潔感がある。紳士と呼ぶにふさわしく、貴公子の呼び名があってもおかしくない。


シャープな輪郭とまつ毛の多い繊細な目つき、さらさらの髪など非常に女性にもてそうな印象だ。

それでいて表情は柔和だ。


 まるで礼儀正しさと几帳面さを「着ている」ようである。

ソムリエやホテルマンのような雰囲気でもある。


 皆は青年に賛同して裏庭に出た。

そして一旦玉越と小谷を下ろしトライブは挨拶した。

これがまた礼儀正しい。


「お久しぶりです。スターマークさん、キッド君」

軽く青年は微笑んだ。


「君が連絡にあった助っ人だったのか」

マークは答えた。


「はい、人間界での戦いが激しくなったと言う事で私が使わされました」


「この人も魔法使いなんですか」

大翔は聞いた。


 キッドは説明した。

「そう、僕より7つ先輩でよく指導を受けたよ。お世話になった人。マークさんより年下」

「マークさんていくつなんですか?」 

と大翔は聞いた。


「あ、私は覆面をかぶっていて年齢非公表で」

マークはさすがに年を知られるのを恥ずかしがった。


「年齢非公表……ととにかく、僕は真崎大翔です」 


「あなたがそうですか。お話を聞いています。大活躍だそうですね」

トライブの挨拶はとても物腰が穏やかで好印象を受けるものだった。


 大翔は謙遜した。

「いえ、魔法を教えてもらったばかりです。キッド君にも助けられてばかりで」

「僕もちゃんと助けられてますよ」

キッドは続けた。


 さらにスターマークも言った。 

「うん、真崎君には本当助けられた。それだけ戦いが激しくなってね。特にこの2人はひどい目にあわされたものだ。この学校の生徒なんだが黒魔術を裏切ってこんな姿に」


「これ以上やはりひどい犠牲を増やす事は出来ないでしょう」

トライブの目が悲しみと怒りをまじえた物になった。拳がぶるぶる震えていた。


「そのため、残りのカードゲーム同好会とは学校以外の人のいない場所で戦う事になったんです」

キッドが説明しマークが続ける。

「だがやはり彼らもきっとアダラングに脅され本位でないのに戦うんだろう。真崎君が言うように何とか助けたい」


「私も子供を利用するなんて許せません。まして怪物に変えるなど」

トライブは同意した。さっきよりも怒りが増し語気は強くなっていた。


 キッドは自分の考えを言った。

「ええ、確かに彼らのせいでカノンがさらわれたとはいえね」

「その事なのですが、実はカノンの居場所が掴めたのです」


「ええ?」

これにはさすがに皆驚いた。


「アダラングたちがカードゲーム研究会の子どもと接触し、学園に入るのを調査員が掴みました」

「じゃあ、一刻も早くカノンを助けに行かなければ」


 しかしトライブは残念そうに言う。

「じつはミイラ取りがミイラになったようでして、調査員が捕まったようで連絡が取れなくなりました。同じ場所に捕まったのかもしれません。発信機も反応がなく取り上げられたのかもしれません」


 マークは言った。

「じゃあ、皆で早く助けに行かねばならんな。しかし残ったカードゲーム同好会と戦わないと。そうしないとアダラングが何をするかわからん」


「そうですね」

「じゃあ、〇月〇日まで策を練りましょう。魔法の修行も。そしてカノンを一刻も早く助けないと」


「そうだ、確かにカードゲーム同好会も大事だが、カノンはもっと心配だ。こういうと良くないが」


「ええ、僕もやはり身内を優先に考えてしまいます」

とキッドは心情を吐露した。


 そこへ大翔は入った。

「あの、修行するんなら僕を鍛えて下さい!」


 キッドは承知した。

「わかった。トライブさんも来たことだし皆で続きをしよう」

「やった! ところでそもそも黒魔術学園ってなんなんですか?」


 スターマークは説明を始めた。

「元々魔法には黒と白2つの分派があった。しかし本来はどちらも悪い事に使うためでなかったんだ。だが我々の住んでいる世界でもたびたび2つに分かれた戦争は何回かあったんだ」


「戦争が」


「そして領地を取って取られ、ある時偉大な王は白魔法の側に着き悪人を撃ち平和が訪れた。それが今の魔法界だ。しかしある権力を欲する男が魔力をどんどん高めさらに勢力を拡大していった。白魔法はそれを退けたが、残党に特に魔法力の高い男がおり、そいつらは潜伏して勢力を再度拡大しやがて人間界に忍び寄るようになった。それを我々白魔法は防ごうとしているんだ」


「じゃあ、人間界はほっとくと浸食されるわけですね。それを防がないといけないなら俺も何かしたい」

番取は言ったがキッドは難色を示した。

「うーん、気持ちは嬉しいんだけど、やっぱり危険だよ。大翔君の時も強く止めたからね。ところで大翔君の友人三夫君は元気か?」

「連絡はとってないんです」


 マークは言った。

「そうか、実はな、なぜ彼が魔方陣を書いて我々を呼び出せるのか今度正式に会って聞きたいんだ」

「わかりました。伝えておきます」


 その夜久しぶりに大翔は電話した。

「ああ、もしもし」

「大翔だけど」

「大翔君か? 久しぶり! 元気?」

三夫は嬉しそうだった。


「うん、元気。連絡遅れてごめん、自立するためあえて前の学校の友達とは連絡を絶ったんだ」

「実は僕もだ。大翔君が環境に慣れるまでは」

「色々あれからあって、実は僕は魔法の修行をしてるんだ」

「へえ!」


「今度特訓するんだけど三夫君にスターマークさんが会いたいって。魔方陣が何故描けるのか知りたいらしいんだ」


「ああ、実は僕も何故なのか知りたかったんだ。スターマークさんが解明してくれるんだ。ところで今皆家にいるよ」


「えっ!」


 電話の相手が変わった。

「久しぶり」

「望月君!」


「おいす」

「宮田君!」


「心配したよ」

「樋口君!」


「みな君を心配していた。だから今度行くよ」

「心強いよ」

「魔法、俺も修行したいな」

と一馬は言った。

「うん、やろう」


 次の日裏山でまだ三夫たちは来ず、番取を入れた5人は修行した。

大翔の魔力分析から始める事になった。


 トライブは宝玉のついたペンダントを大翔の首にかけた。宝石が光り始めた。

「これは、相当多くの魔力が眠っている!」

「精神を統一し魔力を引き出すんだ」


「どうするんですか」


 マークはやり方を教えた。

「座禅を組み目を閉じ、自分の体の中にあるものを強める意識で」

「どうすれば?」

「骨や肉、血などから魔法の力を引き離し放出するんだ」


「う、うーん!」

「がんばれ!」


「はい!」

「う、うーん!」


 大翔は全身に力をこめた。

「頑張れ! もっと引き出せるはずだ」

しかし今1つペンダントは光らなかった。トライブは言った。


「今までどういった時魔力が上がりましたが」

「アダラングに突撃した時ですか」


 キッドが答えるとマークに考えが浮かんだ。

「もしかして、走ってみるのはどうだ? 真崎君は走るのが大得意なんだろう?」


 大翔は走り魔力を引き出す事になった。

「よーいどん!」


 大翔は全力で走った。するとみるみる宝石がひかり出した。

「おお、これは!」

「もしかして光弾が撃てるかも!」

「えい!」


 大翔は指先から修行中の光弾を出そうとすると今までより速く強い弾が出た。それは岩に命中しかすかな傷をつけ、煙が少し出た。

「やった!」


「あともう少し努力すればLV1位の光弾をうてるかもしれません。技術が無い部分を体内の豊富な魔力で補っているのです」


 スターマークは言った。

「光弾LV1を覚えれば後方援護位出来るかもしれん。そもそも遠距離攻撃の方が安全なんじゃ。この前の体当たりはあまりに無理がある」


 キッドは言った。

「光弾の練習を続けますか?」


「いや、次はLV1初歩の防御壁の修行をしよう。そもそも初心者は戦闘に加わるにはまず自分を守るため防御から身につけるべきなんだ」


 トライブは言った。

「魔法はそう簡単に身に着きません。であれば大翔君のこれからの戦いの為、何か魔導具のような武器や防具を装備する必要があるかもしれません」

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