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アダラングと大翔の魔力

 深夜に次元のひずみで黒魔術学園は暗躍していた。

アダラングは校長室に呼ばれていた。


「お呼びでございますか? ダンテ校長」


 胸に特殊なマークがある僧侶の様な法衣を着た50代のダンテと呼ばれる男は校長室に座っていた。


 一見すると権力者にしては温和な印象もあるが目は厳しく威圧感を十分に放っていた。


 ダンテは答えた。


「うむ、君の部下にあたる、カノンからカードを奪った塾生たちが何人かやられているようだな。それで今後君に指揮を任せる次第だが、具体的にあの魔法使いたちを倒す手はずは整っているのか?」


 と言う問いにアダラングは答えた。

「はい、今回は私が直接矢面に立ってあの魔法使い達と戦いましょう」


「ほう、君が直接か」

この答えにダンテはピクンと反応した。


 アダラングは覚悟の程を話した。


「はい、カードを持った塾生たちの役割はあの学校の周りにおいて秘密を知ったものの始末と見張り役です。しかし彼らはまだ幼く未熟なため、本物の魔法使いが相手では分が悪い。ここは私が前面に立ちましょう」


「なるほど、楽しみにしているぞ」

と拳を練りながらダンテはほくそ笑んだ


 次の日、大翔に番取が話しかけてきた。

「よう、おはよう真崎!」

「やっと新入りから本名になったね」


「お前も大分慣れた頃だし。本当、うちの学校にも良く付いてきてるよな。相撲部は続けてるのか?」


 大翔は気分悪く下を向いた。


「その事なんだけど、実はどうしても外せない用があって2日に1回か3日に2日に1度にしてもらってるんだ。でもやっぱりそれってわがままだからもう部活首かも」

「外せない用?」


「うん」

「何かあるのか?」



 真剣に聞いてくる番取にどう答えようか迷ったが真面目に答える事にした。

「実は、魔法を習ってるんだ」


 大翔はごまかすことが出来ない性格だった。


「は? あはははは! なにいってんだよお前!」

変な顔をした後軽い冗談と解釈したようだった。

そう言って番取は行ってしまった。


 しかし、少しして番取が戻ってきた。

「魔法の練習ってホントか?」


 非常に申し訳なさそうな顔をしていた。

「えっ! 信じてくれるの?」


 真剣に言ったのに信じずちゃかしてごめんと言うそぶりだった。


「お前あまりつまんない冗談言わない性格だし、もし本当ならちょっとだけ聞かせてくれないか?」


 大翔は番取に出来る限りの事を話した。

しかしその様子を陰でカードサークルの生徒が見ていた。

(まずいな。このままじゃ真崎を通じて話が広まってしまう)


 番取は興味深く大翔の話を聞いた。

「ふーん、魔方陣から来た魔法使いと仲間になって、その友人を探してるのか。何か色々ありそうで面白そうだな」


「うん、初めは僕も面白そうだと思ってた。でもどんどん危険な事に巻き込まれて、今は少し怖い」


「それで特訓はじめたのか。今日もあるんだろ?もしよければ俺見学していいかな?」

「えっ!」


 さすがに番取は控え目に言った。

「いや、魔法使いさんたちに迷惑じゃなければいいんだ」


 校庭でキッドは待っており、大翔は番取を紹介した。


 ロッド・キッドは何とか快諾した

「番取さん、この事はくれぐれも他言しないように」

「わかりました」



「じゃあ、裏山までほうきで行こうか、僕の後ろには大翔、マークさんの後ろには番取君が乗ってくれ」


「うおー、本当に飛ぶんだ!」

番取は珍しく無邪気な言い方をした。


「うわっすっげー!」

「楽しそうでよかった」


「すごい、すごいよ!」

すっかり番取は上機嫌で童心、夢の中の気分だった。


 ところがそこへ気持ちを破壊するかのごとく突如火の弾が上空から飛んできた。

「ふせろっ!」


「うわっ!」

「またカードサークルの連中か?」


 キッドがきっとにらむと上空には黒い色の悪魔のような怪物が3匹いた。

マークは言った。

「あれはナイトゴーントか? 1度に3匹もあのカードサークルの小学生が召喚できるとは思えない、とするともっと大きな魔力を持った相手か」


「あいつらをあやつっている奴らを倒せばカノンの秘密がわかる?」


 ナイトゴーント達は火の弾を連射してきた。攻撃が激しくなかなか空へ行けない。

「防御壁!」


 キッドは大翔と番取をかばい防御壁を作った。

「私が攻撃をする!」


 マークが光弾を打ち1匹に当たった。ひん死になった1匹は逃げた。他の2匹は上空へ逃げた。

「はあ、はあ、大変だったな」

「今日は特訓中止にしようか? どんな危険が待ってるかわからない」


 その時突然空を飛ぶ尻尾のない悪魔が横から飛んできた。


「は、速い!」

「夜鬼か!」


「うわっ!」

とあっと言う間に夜鬼は番取をさらった。


 夜鬼は番取を捕まえ空に逃げた。

そこへ不気味な声が聞こえた。


「この小僧を返してほしくば裏山まで来い」

「くそ!」

「誰の声だ!」


「マークさん、追いかけましょう」

「うむ。明らかに罠だがな」


「そ、そうですね、僕だけで行くと言うのは」

「いや、魔物を2種類同時に操るだけでも相当な魔力だ。あれはカードでよんだんじゃない。君1人では難しい。私も行こう」

「はい、番取君だけでなく、カノンの居場所を知ってる奴かもしれません」


 3人はほうきで夜鬼の妖気を追い裏山へ行った。

「あの魔物の発する妖気からしてもう少し先ですね」


 マークは狙いが分からなかった。

「どこかへおびき寄せる気なのか、単に人がいない場所に行きたいだけなのか」

「あっ反応が止まった。あの辺りです!」


 3人は恐る恐る降りた。

そこは確かに木が少ない、人気も少ない草原の様に広い場所だった。

そこをあえて選んだのだろう。


 そこへ不気味で太い声が聞こえた。

「ようこそ魔法使いの諸君!」

死の奏でを思わせた。


「お前は誰だ!」

「私は黒魔術学園で講師を務めるアダラングだ! 先日は陰から君たちを攻撃させてもらった。君たちが色々嗅ぎまわってるみたいなのでね」


 キッドは聞いた。

「番取君とカノンはどこだ!」

「心配いらない、無事だ。ただしカノン君は色々利用させてもらっているから返すわけには行かんな。彼はすごい魔力を持っている」


 キッドはアダラングがやけに口が軽いのが気になった。

「色々話してしまっていいのか?」


「ふん、秘密を知られたからと言って私が君たちに負ける事等ありえんからだ」

「なめるな!」


 と叫びキッドは火の弾を撃ったが、アダラングはそれ以上の火球を撃って来た。カノンの火は消され火球が向かって来た。

「あぶない!」


 マークはかばいキッドに飛びかかり伏せさせた。

「これは相当な魔力だ!」


 アダラングは得意げに言った。

「ふふん、さっきの魔物たちの召喚できづかなかったか?」


 さらにアダラングはナイトゴーントと食屍鬼グールを呼び出した。

「さあ、やれ!」


 ナイトゴーントが火の弾を何発も撃ち、キッド達は防ぐので精いっぱいだった。

「大翔! 逃げろ!」


「でも!」

「君にはまだ出来る事がない!」


言い方は乱暴だが逃がすため必死だった。


 キッドは防ぎながらも攻撃魔法を出した。風の刃が向かって行った。しかしこれもアダラングは防いだ。

「ならば!」


 爆発の魔法をキッドは出した。これは少しだけ効いたがまだ序の口だった。

マークはもっと大きな光の弾を撃ち込んだ。これも少しだけ効いた。


 更にマークは地を裂く光の刃を出した。

これはアダラングは少したじろいだ。

(あのキッドと言うやつはがきだが、もう1人は覆面を付けていて経験が良くわからん。だが確実にあの覆面の方が上手だ)


 アダラングはバリアを張った。これにはマークの魔法も効かなかった。そこへ大翔が言った。

「僕がいってあいつの気をひく! その間にやっつけてくれ!」

「無茶言うな!」


 大翔は怒りすら感じさせる必死さで懇願した。

「僕を何とかパワーアップさせてくれ!」


「無茶だ!」

「頼む!」


 マークは魔法をかけた。すると大翔の身体が光りはじめた。

「一定時間だけ身体を光の弾にする魔法だ」

「ありがとう!」

「マークさん!」


「仕方ない、これしか突破口が」

「うおおおお!」


 ものすごい瞬発力で大翔はアダラングに向かって行った。

そしてバリアを押し切ろうとした。

「馬鹿か!」

「うおおお!」


 大翔は熱に耐えバリアを破壊しようとした。

「し、正気か!」

「うおおおお!」


 バリアがへこんでいく。

そしてついに大翔の身体がバリアを貫通しアダラングの腹に体当たりを浴びせた。


ここで魔力が切れ、大翔の身体から光が消えた。大翔は気を失った。

「お、おのれ、脇腹が……肋骨が折れたかもしれん、今日の所は退かせてもらう!」

そう言ってアダラングは姿を消した。


 大翔は数十分後目を覚ました。

「気がついたか!」

「あ……」


 キッドは心から感謝したたえた。

「大翔のおかげで勝ったんだ!」


「カノン君の居場所は?」

「それは聞けなかったがそれは今日は良い。番取君は取り戻せた」


「そ、そう……」


 マークは

「真崎君、君は体内にすごい魔力を持っている。あんな力普通は出せん」

「ぼ、僕が……」

「ああ、すごい力だよ!」 




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