謎の魔法
この話は文体修正していませんでした11月23日。
「どすこい! どすこい!」
仮入部3日目になり大翔は少しだけ体が慣れた感じがした。
「どうだ?」
先輩の問いに大翔は
「少しだけ慣れました」
「あと空手部も受けるのか?」
先輩は豪快な口調ながらも優しく聞いた。
「はい」
「ぜひうちに来てほしいな」
ところがその先輩は急に腹を押さえて苦しみ出した。
「うっ腹がいたい、いたい!」
と言って先輩はばったり倒れた。
何が起きたのかと稽古場は騒然となった。
「おい! 救急車だ!」
大翔は1番近くだったため激しく動揺した。
大翔は相撲の仮入部の練習が終わり校庭をのんびりと歩いていた。
ところがある人物が怪しい動きをしているのを見た。
「あれ?」
番取が紹介してくれた玉越と言う少年が稽古から出てくるのをじっと陰で見ている
玉越は大翔と目が合いあわてて隠れた。
玉越が逃げるように裏道に入って行った。
そこは校舎の裏庭に続く道だ。
じっと見られていたようで気になっただけでなく木崎の事を知っているそぶりが大翔は気になっていた。
大翔は意を決して追いかけてみようとした。
そして細い道を抜けて裏庭に着くと、玉越の姿は見えなくなっていた。
そこに光の弾が空中から飛んできて地面に激突した。
「うわわわわ!」
「ははは! 大げさな声だな」
玉越は隠れていたが高笑いと共についに姿を現した。
「玉越君?」
さすがの大翔もどう目の前の現実を受け止めていいかわからなかった。それはいつもの引っ込み思案な玉越ではない。不気味な自信を見にまとっていた。それに大翔は明らかに異質さを感じた。
それ以前に明らかに自分を狙った光の弾が飛んできたのだ。
キッドとの出会いで免疫があるとはいえ到底現実に起こりうる事ではない。
「ここで何をしてるんだい?」
恐る恐る大翔が聞くと玉越は暗い自信をまといながら話した。
番取とはまた違う力のないものが妙な自信を得たような雰囲気である。
それに大翔は嫌悪感を感じた。
「真崎君、君は僕の事を嗅ぎまわってるな?あの魔法使いと色々話してただろう?」
「なぜキッド君が魔法使いだと」
さすがに大翔の中で不気味な気持ちがましたが、早くも玉越は攻撃的態度に出た。
「これ以上色々嗅ぎまわれないようにしてやる」
と言うと懐から名刺大の何か絵の描いてあるカードを出した。
「な、何だそれ!」
「これが、魔法を使うためのカードさ!」
玉越が取り出したカードにはそこには光の弾の様な物の絵とどこかの世界の言葉で説明が書いてあった。
「これだ!」
「何?」
呆然とする大翔を嘲笑うように空中から光の弾がいくつか飛んできた。
「うわっ!」
と見事にジャンプして避けて見せたが、着地した足元にも弾が飛んできた。
大翔は伏せて避けたが間一髪だった。
地面に埋まるほどの威力の弾が突き刺さっている。
直撃したら命が危なかったろう。
何が起きているのか把握しきれなかったとしても玉越の攻撃の手は緩まない。
さらに伏せている大翔の周りをわざとよけるように光の弾を何発も降らせた。
「くっ、くっそ!」
「ほうこれで怯まないのか? 言っておくが今のはただの脅しだ。素人に魔法を使うのは危険すぎるからね」
少しだけ大翔の器量に驚いたようでもあったが相変わらず謎の自信をまとい嘲笑っている。
「君は魔法使いなのか?」
「知る必要はない、今度はこれだ」
もう1枚玉越はカードを出した。そこには銀色の地球の様な物が描いてある。
大翔は上からすさまじい重いもので押さえつけられたような感覚を覚えた。
「うわっ!」
地面が圧力でめり込んで割れそうになっている。
「どうだ! これは重力コントロールの魔法だ」
「うぐぐ!」
これには体力も根性もある大翔でも完全に動きが封じられた。あがいてもだめだった。
そして近くに用意されていた巨大な土の人形が動き出した。
「き、君は魔法使いなのか?」
「答える必要はないね?」
それは先ほどまでの嘲笑と少し異なり言いたくない不快な気分と言う感じだった。聞きたく無い事を聞かれたようだった。大翔は苦しみながらも聞いた。
「僕をどうする気だ」
「命までは奪わないよ、そのかわり探索が出来ないよう拉致させてもらう」
「くっ、くそ!」
「そいつを連れていくぞ!」
と玉越は土人形に命令した。
しかしその時ドンと音がして空中から火の弾が出て人形を攻撃し大翔は倒れた。
ほうきに乗ったキッドが現れた。玉越はもう少しだったのを阻まれ冷静さをなくした。
「2人とも重力コントロールをくらえ!」
「効果解除だ!」
しかしキッドは呪文を唱え解除して見せた。
「その程度じゃ僕には通じないぞ!」
「くっ!」
そしてキッドは玉越にほうきで接近し蹴り倒した。
「今だ!」
背後から大翔がドッジボールを投げた。
「ぐっ」
これをもろにくらい玉越は倒れた。キッドは詰め寄った。
「さあ答えろ!なぜ魔法のカードを使えるんだ!」
「うう、カノンから奪ったんだよ、と言うか譲ってもらった」
「どういう経緯でそうなったんだ! カノンはどこだ!」
「他の奴に連れてかれちゃったよ!」
玉越は必死に言葉を絞り出すようだった。先ほどまでの自信は失せていた。
「連れてかれた?」
「ああ」
キッドは少し落ちついた。
「何があったんだ」
「実は……」
玉越は回想した。
1か月前、玉越はクラスメートである木崎がほうきにまたがるのを見た。
「あれ? と、飛んでる?」
玉越はカノンを2人きりの場所に呼び出した。
「見たぞ。お前が空飛んでいるのを!」
「た、たのむ黙っていてくれ!」
「そうだなあ、じゃあ何か魔法が使えるようにしてくれないか?」
玉越は思い出す。
「そうして魔法のカードを譲ってもらったんだ」
玉越はカードを何枚か手にした。
「これがあれば何でもできるのか?」
「いや、魔法界で修行をしないとある程度以上は使えない」
「そ、そうなのか」
また玉越は思い出した。
「ところがそれをした時近くにいた6年生たちが……「おれたちもまぜてくれよ」と言いだした」
キッドは言った。
「そうだったのか……カードをカノンからもらったんだな。でその上級生たちは?」
しかし玉越は怖さで震えている。
「それだけじゃ終わらなかった。その噂はどんどん広まっていった。まず魔法を悪用しようと思ってるもの。それだけじゃなく、他にも魔法使いが現れたんだ」
「えっ!」
「そいつらは魔法のアイテムで商売をする悪い魔法使いで人間界に出入りしていて、その商売のアイテムを作るためカノンを捕まえ魔法力を奪っているんだ」
「そいつらはどこにいるんだ?」
「普段は次元の向こう側にある城みたいなのに住んでて夜になるとこのあたりに建物ごと姿を現すんだ。あとこの学校では他にもカードやアイテムを使える生徒がいる」
「えっ?」
「もしかしてさっき先輩が倒れたのは君の?」
「ち、違う! それは僕じゃない! 多分別のアイテムが使える生徒がやったんだ」
以前、この回を投稿した時PVがぐわっと伸びました。
今でもアクセス解析部分別を見ますとこの回から見る方も結構いらっしゃいます。
やはりなろうは「魔法、ファンタジー」が受けるのかなとも思います。
ここまでお読みいただきありがとうございます。宜しければ評価、ブックマーク等をお願い致します。