起死回生 大翔の補助エネルギー作動
「ぐっ!」
大翔は渾身の防御で勇気の剣を1発目は防いだが2発目を食った。
大翔の鎧の胸の部分がざっくり切られ血を流した。
「うわ!」
叫びと共に鮮血が飛び散り大翔は胸を抑えた。
聖霊は驚いた。
「馬鹿な! 奴まで勇気の剣を!」
「くっくく!」
大翔が苦しむのを見て真也は嘲笑った。
楽しむように切りかかっていた。
狂気の楽しみさえ感じられる。
「これが僕の勇者スキルだよ どうだ君に受けられるかい? 自分が無様だと嘆くがいい! 君は謝って罪を償えずにここで死ぬ!」
どこか過去の恨みを晴らす憎しみと喜びが感じられる。
大翔はダウンした。
真也は勢いに乗った。
「さらに!」
何と真也は懐から死神の鎌を出した。
真也は柄を構えた。
「驚いたかな? 魔王のスキルだよ」
大翔は驚いた。
「あれは死神の鎌だ!」
聖霊は言った。
「まさか! あいつ勇者と魔王のスキル両方使えるのか!」
真也は鎌を構え詠唱した。
「くらえ!」
刃が大翔に無数に襲い掛かった。
「うわあああ!」
大翔は鎧ごとあちこちを切り刻まれた。
血を流しダウンした。
床が血に染まる。
さらに真也は攻め込む。
「もう限界かな? しかしさらに、もう1つ僕には力がある。神の力のスキルだ」
「神の力?」
真也は誇った。
「そうだ! これが僕が神にもらった能力だ!」
聖霊は言った。
「そ、そんな事が!」
手を合わせパワーを開放するように前に出した。
すると真也は空間の上下から同時に押しつぶすような大気を操るスキルを出した。
上下同時に重い波動が前から放射状に大翔に襲い掛かる。
真也は叫んだ。
「超次元収縮だ!」
精霊は言った。
「上下から巨大な波動が!」
大翔は叫んだ。
「うわああ!」
精霊も言った。
「呑み込まれる!」
大翔は吹き飛ばされ叩きつけられた。
「死んだかな!」
と真也は得意そうに言った。
しかし大翔はまだ息があった。
「う、うう」
ぴくりと指や手を動かした。
死に体と言う奴だ。
戦闘能力があるか微妙で定かでない。
「ぐぐ!」
やっと大翔は立った。
もはや限界だった。
立つまで真也は待っていた。
真也は指をぱちんと鳴らした。
「まだ生きてるのか。じゃあ今度はこれだ!」
突如辺りが暗くなり周りの景色が全て宇宙空間になった。
まるで放り出されたようだ。
本当に映像ではないようだ。
聖霊は言った。
「う、宇宙空間?」
真也はさながら案内役の様に言った。
「僕たちは宇宙に来たんだ」
真也の言うように、本当に辺り一面天井も壁も床も無くなりまっさらで真っ黒な宇宙空間となった。
本物としか思えずとても特殊セットには見えない。
大翔は驚きだけでなく違和感を感じた。
床に足を着けている感覚がなくなり浮いている感覚になった。
ふわふわとしていて足の裏も感覚がない。
聖霊はこんな能力、現象を認めたくなかった。
「こんな、まやかしか。人間にこんな能力あるわけない」
大翔は置かれている状況が偽物でないと認識した。
「空気がない! 重力もない!」
真也は揺れながら宇宙空間に立っている。
まるで宇宙空間がテリトリーであるように。
「空気を君にも僕にも数分分だけ送っておいた。だから数分で終わらせよう。もっとも僕は無重力での戦いに慣れてるがね」
真也は無重力を利用し自在に動いて斜め上下から顔面を踏むように蹴りを放って大翔を吹き飛ばした。
さらに無数の小隕石が大翔を襲った。
まるで無数のパンチで全方向からあらゆる場所を殴りつけられるようだった。
数十の小隕石、石が大翔を襲った。
「ぐわああ!」
速すぎて防御出来ない。
真也は喜びの絶頂の様だった。
「死ね! これで終わりだろう! これまでの攻撃を食らい続けてもう残った体力はないだろう」
それはこれで半ば恨みが晴らせたからかもしれない。
しかし大翔は絶望の中、頭の中で何かがはじけるように、脳と心臓が爆散するように目覚め宇宙の幻影ごと吹き飛ばした。
大翔の全身から激しい光が発せられた。
復活した闘志と体力を表すかの様だった。
「うおおお!」
大翔の体より大きい2メートル近いオーラを身にまとっていた。
真也は畏怖した。
起きたことが呑み込めなかった。
しかし危機であり恐怖であると何となくわかった。
真也は初めてと言って良いほど口を大きく開け驚愕した。
これほど相手の強さを感じた事は過去になく震え汗があふれしかもそれを認めたくなかった。
「僕が震えるわけがない!」
大翔が光を発してるのを見て言った。
「ば、馬鹿な! これほどの状況で! こんな力が出せるわけがない! あり得ない!」
大翔の補助エネルギーが作動した。