表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

162/166

もう1つの勇気の剣

 相変わらず笑いながら恐ろしい威圧感と共に真也は言った。


「勇者の波動を受けたまえ」

 

 そう言って軽く手を前に突き出した。


「はっ!」


 真也が叫ぶと彼の手から聖なる光の波動が発せられた。

その場の全てを包みそうなほど線状の光が糸のように放たれたと錯覚するほど激しく大きなまばゆい光だった。


 実際は光っているだけなのだが錯覚で光の線が見えた。

その雰囲気と光に気おされた。


それが全て大翔に浴びせられた。


「うわっ!」

大翔はまぶしくかつ吹き飛ばされ、ダメージはそんなにないが前より力が無くなったような感覚を覚えた。


「力が下がった」


 真也は大翔が苦しむ様子を見てにやりと微笑んだ。

「そうだ。特殊効果無効化だよ。ステータス上昇も解除された」

どこか恨みのある相手をいたぶっているようだ。



「さらに」

と真也は言って詠唱した。

畳みかけの際の言い方が怖い。


 すると真也の体の色が腕の先などの外側から内側に向かって鉛色に変化していく。

さながら絵の具で塗りつぶされるな様子だった。


 精霊は現象に恐れを抱いた。

「何が起きてるんだ!」


 どんどん体の色の浸食は続いていった。

「ふははは」

と笑い体色変化は続いた。


 1分ほどでまるで真也自身が石像のようになった。


 聖霊は畏怖した。

まるで最悪の状況の様だ。


「奴の体が硬化した。あれは石じゃない。鋼鉄より硬いかも」


「ためしに魔法を撃つんだ」

と大翔にアドバイスした。


 大翔は火の玉を打ったが真也は全く燃える事もなくはじかれた。

全く傷1つついていない。


「やっぱりそうだ。奴の体はすごく硬い金属になってる」

精霊の口調はまるで汗をかいている人間の様だった。


「あれも勇者しか使えない技?」

大翔は聞いた。


 大翔は汗を流しながら剣を強く握った。

これまでにない絶望感で折れそうだった。

「な、何ていう強大な相手なんだ。で、でもそれでもやらなきゃ突破できない」


 大翔は気持ちに迷いや恐怖があっても構わず切りかかった。

少し剣にずれがあったかもしれない。


 それでも精一杯気迫を込めていた。

「うおお!」


 ところが真也に手で防がれるのでなく肉体に全く効かずはじかれた。

油が水をはじくようだ。


 大翔が絶望をこめて驚愕した。

「馬鹿な勇気の剣が効かない! 今度は光でなく直接切りつけたのに」


 真也は冷徹に説明した。

「この効果は数分で消えるんだけどね。君は体力消耗だけでなく精神的にも追い詰められている」


 大翔は対抗した。

「こっちだって効果解除はあるんだ」


 と言い呪文効果解除波動を放った。


 真也もほぼ同時に発した。

「ふん!」


 光と光が2人の中間点でぶつかった。

しばらくぶつかり合いは続いた。


 しかし真也の波動の方が強く押し切られてしまった。

「押し切られた」


 さらに真也は大翔の動揺などおかまいなしに畳みかけるように詠唱した。


 大翔は思った。

(どれだけ技があるんだ)


「さらにこれを食らえ。超呪文だ! これは勇者しか使えん。撃爆雷撃!」


 何と城の中なのに天から雷が降り天井を貫き大翔の所に落ちて来た。


 大翔はまともに撃爆雷撃を受けた。絶叫した。

全身が電気で砕けるようだった。体内の筋肉、いや細胞が。

「ぐああああ!」


 大翔は何とか息があった。


「鎧がなければ死んでいた。生きていたのはいいけどこんな相手にどうやって勝てばいいんだ。三夫君、キッド君、マークさん、僕は助けが欲しいほど弱気になってる。おいて1人で来たことを後悔してる」


 真也は大翔がぼろぼろで戦意喪失気味なのを見ていい気味だと言わんばかりに微笑んだ。

「そろそろ終わりかな。だがもう1つ」


 いきなり真也は剣を出した。

真也が力をこめるとその剣の刃先がまばゆく光り光の刃になった。


 大翔は驚いた。

「勇気の剣にそっくりだ」


「行こうか!」

と真也はけたたましく言い切りかかった。

先程までの緩く話す感じと雲泥の差だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ