側近との決着
「次は私だ」
倒れた1人目の短剣使いと違い、大きな広い刀を持った2番手の側近が太い声で威圧するように言った。
体格はそう短剣使いと変わらない。
割と細身だが、身に合わない大刀を構えている。
見かけより力は強いのだろう。
顎が固そうで目が怖かった。
殺気と獲物を狙う敵意に満ちている。
「かなり大きな剣持ってる」
と大翔は警戒した。
しかし聖霊は
「大丈夫だ」
と励ました。
側近は大声で宣戦布告した。
「いざ私と勝負しろ侵入者!」
と言い側近は構えながら間合いを詰めて来た。
大翔も迎え撃つため剣を構える。
そして汗をかきながら睨んだ。
にらみ合いが10秒続いた後側近は言った。
「いざ勝負!」
と言い、大きな刀を振りかざし襲ってきた。
足音がどたどたと響く。
しかし動きに無駄はない。
先程の短剣使いよりもスピードは劣る。
しかし遅いと言う訳ではない。
特に瞬発力と突進力がある。
「ぬおうっ」
気迫の剣を大翔は勇気の剣で受けた。
両者の剣がぶつかりきしみぎりぎり音を立てた。
側近はすごい力だった。
側近は言う。
「大した力じゃないな」
大翔は腕を支えるのでやっとだった。
剣の間から見る目でお互いの顔を激しく睨んだ。
大翔は押され後ろへじりっと下がった。
そして側近は隙を突き剣を払い斜めでなく今度は上から切りかかった。
これも何とか大翔は止めた。
しかし上からの剣は特に力が強く加わる。
腕力だけでなく全身の力がかかった剣をすさまじい殺気をはらんで押し付けてくる。
圧力がすごかった。
上から抑え込むような怪力で刀と体全体で襲い来るようだった。
万力をつけたダンプカーの様だった。
大翔は苦戦し、さらに足が下がった。
「押されてる」
しかし精霊は言った。
「今の君のパワーなら押し返せる!」
「う、うおお!」
「ぬう⁉」
大翔は渾身の力で遂に側近の剣を振り払った。
側近に一瞬の隙が出来た。
精霊は言った。
「迷うな、一気に行け!」
大翔はためらった。
「剣で切るの?」
しかし聖霊はさらに強く言った。
「迷うな! あいつは本気で来てるんだ! 迷うと今度こそやられるぞ!」
これが大翔の心に響いた。
(迷いは許されない!)
遂に大翔は突進し踏み込み側近の胸を剣で切った。
鮮血が飛び散る。
「ぐああ!」
まだ側近は死んでいない。
精霊は言った。
「もう1発、もう1発だ!」
大翔にはまだ少しためらいがあった。
しかし自分に言い聞かせた。
「やるしかない! 真也さんと話すためにも、他の人を救うためにも!」
遂に大翔はもう1太刀ふるい、剣が肉を切り、バツ印に側近の胸が切られ倒れた。
「あ、あああ!」
と死の寸前の叫びをあげた。
他の側近達は戦慄した。
3人の側近は叫んだ。
「おのれ! こうなったら我々魔法部隊が相手だ!」
先程の魔法の光線を撃ってきた。
聖霊は言った。
「スキル『魔法防御』だ!」
大翔は光線攻撃を剣で受けて見せた。
これに側近は悔しがった。
「おのれ。もう1発」
と言い光線を撃ってきた。
「今度は『魔法反射』だ!」
大翔の構えた剣がミラーの様に3人の魔法部隊に光線を反射した。
「ぐああ!」
側近たちはひるんだ。
聖霊は言った。
「今だ! ためらうな!」
大翔は突進し情けを見せず魔法部隊に切りかかり、容赦なく上半身を切った。
鮮血が飛んだ。
3人は倒れた。
これを見た他の側近もひるんだ。
「お、おのれ! 今度は我々超能力部隊が!」
と言い3人の側近が超能力を放った。
しかし聖霊は言った。
「『その他属性防御』だ!」
このスキルにより超能力は跳ね返され、迷いを捨てた大翔は3人は切られた。
「う、うう!」
残った側近たちは怯えて立ち尽くした。
その時、ついに真也の口が開いた。
「君は強いね。僕が行こう」
その言葉の迫力に大翔も側近も沈黙し震えた。