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大翔、必死の謝罪

 大翔は側近に向け叫んだ。


「通して下さい!」


 怒りと礼儀両方が入り混じった言い方だった。


 大翔としても、訴え方が熱くなりすぎて実力行使気味になってはまずいと言うのがあった。


 しかし、帰ってきたのは側近の判で押したような冷たい答えだった。


「ならん」


 冷たい返事に大翔は嫌な気持ちになった。

必死の訴えを軽く返されたのだ。


 しかし大翔は辛くとも諦めなかった。


「僕はどうしても真也さんと話したい事があるんです! そのためにここまでぼろぼろになって来たんです」

 

 大翔としては、どうしても「力ずくで通る」、と言う事をしたくなかったのだ。



 しかし、それに対し側近はほんの少しだけ聞く耳を持ったが態度はあまり変わらない。


「だから、それは我々が代わりに聞く。真也様には直接話すな。自分をわきまえろ」


 別の側近が言った。


「さっきも言ったろう、真崎様の様な神がげせんの者と話すなどもっての他だ」


 大翔は神と言う言葉に反応し若干の違和感を感じた。


 人間が神呼ばわりされるなどいくら何でも度を越していると感じた。


「神、それほどまでにすごい力を」

大翔は一応は相手に合わせた。


 側近は交代で事情を説明する。


 説明は誇り高ぶり続いた。


「そうだ、力、知性、そして何より人間としての大きさそのものが神に成り代わりこの世を支配する方たるゆえんだ」


 大翔はさすがに反論した。

「そんな、人間なのに神なんて!」


 しかしすぐ切り返された。 

「頭が高い。真也様は神となられるお方だ」


 また『神』と言う言葉が出て大翔の勘に触った。


「神様なら何で人を区別するんですか! モストチルドレンが世界を支配し、それ以外の人は殺されるか奴隷だって! そんなのひどすぎる! だから止めて欲しいんです」


 さらに大翔は続けた。

「それと」


 側近は一応聞いた。

「それと?」


 大翔は急に申し訳なさそうな顔になった。


 大翔は熱さを抑え申し訳なさそうに言った。あまり大きな声でなく。

「真也さんに謝りたいんです」


 これが意外に聞こえたらしい。

「?」

ほんの少し真也の眉がぴくっときた。


 大翔はわかってもらえるよう、闘争心を抑えて訴えた。


「よくはわからないですが、僕と真崎家の息子が入れ替わったせいで僕の想像ですがすごく大変で不幸で寂しい思いをさせちゃったんじゃないかと思うんです。僕が悪いんです! 僕は今まで真崎家の息子じゃないのにのうのうと暮らしてました。まさか貴方が本当の息子とは知らずに」


 それは本心からの謝罪と悔恨だった。


 真也は姿勢も表情もほとんど変えない。だがほんの少しだけ何かを感じた様な顔になった。

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