再度剣を
「うがが!」
ばたりと冥王の腕が落ちた。
皆その光景に呆然としていた。
信じがたく声が出ない。
しかし、さらに間髪入れず大翔は冥王の胸を切った。
「あ、あああ」
と声をあげた。
その瞬間、冥王は爆発した。
死骸も残さなかった。
これが魔王達と激闘したあの冥王の最後になるとは予期していなかった。
さらにそこにダンテとアダラングは非常事態を聞きつけ上がってきた。
「冥王様!」
しかしそれを見た大翔は剣を一閃し剣の光だけでダンテとアダラングを切り払い爆死させた。
これも皆の度肝を抜き、三夫も声が出なかった。
ただ強いだけでなくあれが大翔なのかと信じがたい気持ちだった。
スパルダスは手を指1本1本震わせわなわなとした。
「冥王やダンテがこんなにあっさりと、一体どういう事だ。あんなガキになぜあんな力がある!」
凄まじい怒りに皆近づけない。
しかしディードはスパルダスに言った。
「もう終わりだスパルダス。彼は偉大なる存在に勇者として認められたんだ、勝てる訳がない」
グランは思った。
(大翔君が新しい勇者)
しかしこれはスパルダスの勘に触った。
「うるさい!」
と言いスパルダスはディードに衝撃波を放ちディードは壁まで吹き飛ばされた。
「役に立たない上に裏切った馬鹿な男に言われたくはない!」
スパルダスは爆発寸前だった。
「み、認めんぞそんな事、あのガキがそんな存在等と認めん! ぬうおお!」
遂にスパルダスは前回の決戦時の際に見せた真の姿を現した。
頭は炎の塊の中に白目や口が浮かび上がり、胴体は毛の多い筋肉質の類人猿のようになり怒りと共に火のオーラを出した。
「わ、私こそが至高の存在! 貴様などに!」
地震が起きるかと言う程の声が響いた。
大翔はふいに言った。
「スパルダス、もうやめてくれ」
「何?」
大翔の言った事が信じがたく聞き間違えと思う程だった。
しかし大翔は言った。
「もう降参してくれ。僕は兄さんの真也さんに会いたいんだ。道を通してくれ」
これも勘に触った。
「降参だと! ほざくな!」
スパルダスは巨大な足で踏みつぶそうとした。
しかし素早く強烈すぎる勇気の剣の一閃で切り落とされた。
「が、がああ!」
スパルダスは痛みと信じられない事実にまたすごい声を出した。
皆が震撼する程だった。
「ま、まだだ!」
今度は片足で立ち右腕を振り上げ襲い掛かったがこれも切り落とされた。
「ま、まさか」
大翔は虚しい表情で言った。
「もう終わりにしてくれスパルダス」
しかしその隙を突かれた。
「うぐぐ! ふん」
スパルダスは好機と見て残った左腕で衝撃波を出した。
「ぐわ!」
大翔は吹き飛ばされた。
それをグランがかばった。
「僕がとどめを刺す。君は人にとどめを刺せないだろう」