剣の継承者
「剣が光った」
大翔が拾った勇気の剣の光の刃が握ると出て来た。
まばゆく神々しい光であった。
しばしその様子を皆みていた。
特にグランは複雑な気持ちだった。
(あの剣は確かに勇者しか使えないはず)
勿論大翔も戸惑っていた
「な、何で僕が勇気の剣を光らせられたんだ」
大翔は戦う事より剣が光った謎に頭を奪われた。
「これは一体? はっ?」
グランも事象を何とか認識、解釈しようとした。
「大翔君に反応した?どう言う事だ、大翔君が勇者? しかし彼は魔王スキルを受け継いだと。大翔君が勇者になったと言うのか」
三夫も聞いて驚いた。
「大翔君が勇者に?」
しかし大翔は剣はグランの物と言う意識が強かった。
「あ、何か光ったけど、これグランさんのだから返します」
と言いかけた時、剣から謎の声が出た。
「待て、君が使うんだ」
「えっ」
この現象に皆ぽかりとなった。
また剣から声が聞こえた。
「君がこの剣を使うのにふさわしい」
大翔は勿論戸惑った。
「剣がしゃべってる」
しかし起きている事や意味がよくわからず大翔は剣の声に答えた。
「えっ、でも僕は勇者じゃないし、この剣は勇者しか使えないんでしょグランさん」
「う、うん」
と戸惑いながらグランは答えた。
三夫は驚いた。
「剣がしゃべった、一体?」
三夫は続けた。
「あれは誰か中に入ってるんですか前のグランさんみたいに」
グランは言った。
「いや、あれは僕が昔剣を取った時聞こえた声、つまり剣の聖霊だ」
三夫は答えた。
「剣の聖霊? 中に人が入ってるんじゃなくて?
さらにグランは説明した。
「うん、勇気の剣には元々誰も入っていない。最初数百年前僕があの剣を手にした時剣が語り掛けてきたんだ『私は剣の聖霊だ。私は勇者を待っていた。君こそこの剣を使うのにふさわしい』と」
その話を聞いた大翔は言った。
「えっ、でも僕勇者じゃないし」
ディードは何かに気づいた。
「はっ、もしや!」
三夫は聞いた。
「どうしたの?」
ディードはかなり動揺しおびえさえ見せた。
「真崎の正体は魔王の力をコンピューターの様にプログラムされた人工生命体だが、これは内容を書き換えることが出来るらしい」
三夫は疑問を投げた。
「書き換えるって誰が?」
にわかに信じられない様子で戸惑いながらディードは答えた。
「『偉大なる存在』だ。ちょうど機械の中身を刷新するように『偉大なる存在』が真崎を『魔王』から『勇者』に書き換えたのでは。何らかの理由で」
「僕の中身を書き換えた? 機械みたいに?」
その時、デビイとの戦いの時に天から聞こえた声が聞こえた。
「君のスキルは魔王から勇者へ書き換えられた」
大翔は聞き返した。
「誰なんだ?」
謎の声は答えた。
「いや、君は真に勇気がある」
ディードは聞いた。
「どうした真崎?」
大翔は答えた。
「こないだと同じ謎の声が僕の頭に」
ディードは恐れながら答えた。
「もしやその声が『偉大なる存在』?」
スパルダスは訳のわからない気持ちになった。
「何だと、大陸を分割する力まで持つという『偉大なる存在』があんなガキに?」
その時冥王が苛立ち攻撃してきた。
「ええい! うるさい!」
「うわ!」
剣の事に気を取られるあまり、大翔は攻撃されそうになり戸惑った。
そこへ、また天から声が聞こえた
「行くんだ。剣を構えろ」
大翔は答えた。
「ええ、よ、よし!」
しかし大翔は剣を操れず振り回されてしまう。
「うわあ!」
しかし声は続いた。
「振り回さなくていい、私が力を入れる」
その言葉が大翔を落ち着かせた。
「おおっと急に落ち着いてきた。はああ」
大翔は冥王の光線を剣で切り落とした。
「何?」
剣の聖霊は言った。
「君が新しい勇者だ」
そして冥王の右腕を切り落とした。
「馬鹿な」