グラン復活か 大翔が光らす剣
グランが昔戦っていた頃の記憶の話。
グランが入ったダンジョン内で現れた魔物は隊列を組んでいた。
トロルが前衛3匹、後衛の魔法使いが4人。当然グランは1人である。
しかし弱音を吐かず立ち向かっていった。
女神の言った「誰にも頼る事は許されない」と言う言葉が響く。
まず攻略の為前衛のトロルを相手にしている間も後衛の魔法使いは容赦なく攻撃してくる。
もし味方に魔法使いがいたら支援してくれるだろう。しかしいない。
その為魔法攻撃を食ってしまった。
腕を抑えるグランだが回復の使い手はいない。
あるのは回復薬だけだ。
「何とか乗り切るんだ、僕は勇者なんだ、戦い抜かなければ」
その後、洞窟の落とし穴に落ちてしまった。
「どうやってここから脱出すれば」
しかし知恵を出し合う仲間はいない。
味方がいれば肩車をする事も出来るし。魔法使いや盗賊などがいれば脱出口を見つけたり出来るだろう。
す結局遥か上の落ちた場所にかぎ爪フック付きのロープを下から投げやっと引っ掛けて上った。
その先に今度は進めない場所があった。
「あの扉が開かない。あの移動する床はどうしたら乗れるんだ」
「ぐあっ!」
回想から目を覚ますようにスパルダスに殴られた。
さらにスパルダスの指示で冥王が追加で光線を放ち、グランは爆発で浮かび上がり、数メートル跳ね飛ばされた。
倒れた場所にもう1発光線が飛びグランは煙に包まれていた。
煙から出たと思いきやスパルダスはさらに間髪入れず大きな手でグランをむんずとつかみ、抵抗出来ないのをにやりとして確認すると、抱え上げて殴り飛ばした。
またグランは数メートル飛ばされた。恨みを込めた重い一撃だった。
「や、やめろ!」
大翔はダウンしながら叫んだ。
スパルダスはお構いなしに嘲笑った。
「昔やこの前戦った時のお前は褒めるのもあれだが本当に強く勇敢だった。だが今はどうだ、何の病気か知らんが無様だな!」
と言い馬鹿にしあしらうようにグランを蹴り飛ばし、グランは床を数メートル滑っていきうつぶせのままダウンしていた。
サッカーボールを蹴る様な感覚だった。
大翔は叫んだ。
「やめろ! グランさんを悪く言うな!」
「何?」
スパルダスは面倒臭そうに睨み付けた。
「その人は勇者なんだ!」
その言葉に倒れながらもグランは目を覚ますようにはっとした。
それが心に響いた。
「グランさんは最強の勇者なんだ!」
「はーっはっは! あいつがか?」
「グランさんは勇気も力もある人なんだ! お前なんかに言われる筋合いなんかない! グランさんは1人で世界を救った偉大な人なんだ。悪く言うな!」
大翔は起き上がった。
「グランさんは僕が助ける!」
三夫も起きた。
「僕も!」
三夫も立ちふさがったが2人とも吹き飛ばされた。
しかし倒れながらも大翔は言った。
「グランさん、仲間に頼ったって全然恥ずかしい事じゃないですよ! あいつに勝たなくてもいいから勇気を取り戻してください。」
三夫も叫んだ。
「頼るのも信頼です! それにあんな奴にグランさんが弱いなんて言われるなんて僕だって耐えられない!」
グランは2人の思いやりに涙が出そうになった。
「グランさん!」
「グランさんもう少し!」
2人は励まし続けた。
「あなたは勇者です!」
グランは力を振り絞り勇気の剣をつかんだ。
「あっ、光る!」
と大翔は剣を見て叫んだ。
しかしほんのわずか光ったがまた消えた。
「ふん!」
スパルダスは爆炎を投げつけグランは剣を手放し吹き飛ばされた。
「残念ながら光らなかったな!」
「やめろ!」
と大翔は叫んだ。
その時勇気の剣が大翔の元に滑ってきた。
「よし、これを届けないと」
すると、大翔の持った剣が緩やかに光り始めた。
「え?」
グランはそれを遠巻きに見ていた。
(どういう事だ、あの剣は勇者でしか光らせられないはず)
「どういう事だ、あの小僧が勇気の剣を!」
「こ、これはグランさんのだけどなぜ光ってるんだ」