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グランの回想

 大翔はグランをかばい前面に立ち戦う事にした。


 扱いにくくかつ謎のメッセージが出た鎌はひとまず横に置いた。


「よし、魔王スキル『激しい吹雪』だ!」


 と大翔は叫び激しい吹雪を使った。


 一方スパルダスも迎え撃つため『冷たい息』を使った。


 これが約10メートル離れた状態で中心でぶつかりあった。

お互い負けじと口から吹雪を吐き続ける。


 大翔も決して気持ちでは負けていなかった。

しかしスパルダスの吹雪の方が少し威力が大きかった。


 相殺したようだが押し負け食らってしまった。

大翔の腕などが氷がついてしまった。

まだ動かす事は出来たがただれてしまった。


 大翔は立て直すため『激しい火炎』を使った。

「食らえ」


 今度は口から激しい炎を吐いたが、これもスパルダスの同種のスキルでさらに激しく大きな火で消されてしまった。

お互い中心で相殺しダメージがなかった。


 埒が明かない大翔は

「仕方ない」

と言い鎌を拾い使う事にした。


 再度『風の聖霊』のカードを入れた。


「巨大竜巻だ!」


 構えるのもやっとだったが何とか鎌を操り竜巻を起こした。

支えてさえいれば後は刃から突風が出た。


 これは明らかに前の2つのスキルより効いた。

スパルダスはどうにか防いだが今にも吹き飛ばされそうになりかろうじて踏ん張っていた。


「ぬ、ぬぐぐぐ」

片手で防いでいたスパルダスだったが、やがて両手でないと防ぎきれなくなった。


 力比べとなった。

「ぬ、ぬぐぐぐ!」


 しかしスパルダスは渾身の力で竜巻を両腕で外に弾き飛ばした。

「はあ、はあ」


 跳ね返すのにかなり力を使ったようだ。

今日1番疲れた表情を見せていた。


 しかし大翔は諦めない。

「もう1発食らわしてやる」


 ダウンしながらも大翔は再度立ち上がり鎌を構えた。

しかしまたあの声が聞こえた。


「お前は魔王ではない。よって言う事は聞けない」


「ま、またあの声が」


 その時、いきなりスパルダスが飛び掛かってきて大翔は殴られた。

「ぐあ!」


 これは不意打ちもあって相当効いた。

スパルダスもかなり怒りを込めていた。


 さらにスパルダスは大翔の首をつかんで上げ頭突きを食らわせた。

「ぐう!」


 大翔の頭から血が流れた。

さらにスパルダスは大翔に顔と腹に数発パンチを入れていった。


 スパルダスの攻撃は大きいだけあって一発一発が重い。

それは覚醒した大翔でも顔がゆがみ口から血を流すほどだった。


 その時だった。

「やめろ!」

と力を振り絞りグランは止めに入った。

立ちはだかり腕を抑えた。


 だが軽くスパルダスに吹っ飛ばされた。

「ふん、やはり一番の邪魔者の貴様から殺すか」


 スパルダスはダウンしたグランの顔をつかみ殴り、脇腹等腹にも数か所パンチを入れた。


「うう」

グランは反撃出来なかった。


「本当に力が無くなったようだな」


 その時、グランは昔、勇者になった頃をふいに思い出した。


「僕は勇者として生きなければならなくなった、あの日から」


 それは数百年前ミランドがスパルダスに荒らされていた時お告げの様に神殿に来るように言われた。


 そして家に最も近かった神殿に行くと女神は降臨した・

「えっ!」

神々しい姿にグランは若干起きている事を受け止め難かった。


 金髪の長い髪と上半身は胸から下は羽衣に包まれ背中には羽が生えている。

「私はミランドの女神、あなたに勇者としての使命を与えます」

「勇者」


「はい。あなたは私たちによって勇者にふさわしい人として選ばれました。」

「僕が」


 グランは戸惑いながら相手の言う事を何とか受け入れた。


 女神は言った。

「この剣と盾をあげます。ミランドをスパルダスから救ってください。それと」

「それと?」


「他の冒険者の様にパーティを組んではいけません。厳しいかもしれませんが」

「えっ」

これは、かなり意外だった。


「あなたは選ばれてない者と一緒に行動してはいけません。また神にえらばれた勇者は他人の力をかりてはいけないのです。大丈夫、あなたには力も勇気も知恵もあります。必ずスパルダスを倒し苦しむ人を助けられるはずです」


 それから、突き放されるようにグランの旅は始まった。

戦い、買い物、洞窟散策、移動、食事、荷物運び全てが自分1人頼みだった。


 当然魔物が数匹いても戦うのは1人、進み方を教えてくれる人もいなければ傷を回復してくれる人もいない途方もない旅だった。


 グランは当時剣の稽古を少ししてるだけの若者で突然女神に見いだされただけだった。当然力をつけるためのレベルアップのための戦いも自分でしなければならない。


 ただ素養があったためレベルアップは速めで能力の上り幅も大きかった。


 とはいってもやはり頼れるものはいない「勇者」である以上、ただ1人で戦いかつ弱みを見せてもいけない、若干16歳の少年の過酷な戦いはその日始まった。


 訪れた王宮では国王はグランに頭を下げた。

「勇者様、良く来ていただけた。あなたの様な生まれついての強者、勇ましきものは皆の希望であり光です」

「僕が生まれついて強者、皆の希望、光……」


 しかし戸惑いながらグランは言い聞かせた。

(かつて強者と呼ばれた人も最初は戸惑い弱かったのだろう)



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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章に熱気を感じます。 登場人物の息遣いが伝わってきます。 見習いたいです。
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