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グランの変調

 激突は混戦模様となった。


 三夫の魔法がスパルダスを攻撃する。

そして半分回復したディードも続いた。


 大翔は鎌に何故か拒絶されたため魔法で攻撃した。


 これはさすがに多勢に無勢で冥王も入ってきた。


 そして一方グランは剣でスパルダスと戦っていたが明らかに前の様な動きに切れがない。

それは明確だった。


 また攻撃にも重い力が入らない様だった。

そのためかわされたり防がれたりしてしまった。


 スパルダスはそれを感じ取り怪訝な表情をしながらグランは弱くなったのではと言う顔をした。


 相手の弱みを握ったような顔をした。


「ぬう? この前と動きが違うな」


 これは少し離れていた三夫も気づいた。

「この前は素手でスパルダスを圧倒したのにどうしたんだ」


 グランは何故か激しい夏場の運動後の様な汗をかき息を切らしていた。

結構な汗の量である。


「はあはあ」

時折わからない様胸に手を当てたりしていた。


 三夫は察しまずいと思った。

「息を切らしてる!」


 スパルダスは様子を伺う様に言った。

この言い方は駆け引きでもあった。

「どうした、グラン、そんなものか」


 グランは言い返し意識的に胸をぴんと張った。

しかしどこか無理をしている様に見える。

「そんなものではない!」


 と言い剣の衝撃波を放ったが、前の様に勢いも速さもなく、簡単にかわされてしまった。


 これで三夫はグランの様子を危惧した。

「剣の衝撃波がかわされた」


 そして逆にスパルダスが衝撃波を放った。

「ぬえい!」

「ぐあっ!」


 グランは避けられず4メートル後方に、重みがない物のように吹っ飛ばされてしまった。


「吹っ飛ばされた」

三夫は心配した。


 理由がわからず不安な点はあるがスパルダスはにやりとした。 「貴様、この前と違う、力が落ちたな」


「落ちていない!」

とグランは先程の様に胸を張り強く否定した。


 ところが、キンと言う音とともに剣が折れてしまった。

剣が落ちた音が響く。


 大翔は何とか励まそうとした。

「まだ勇気の剣があるじゃないですか!」


 進まない顔のままグランは勇気の剣の柄を懐から出した。

そして刃を出そうと剣の柄を構えた。


「ぬっ!」

これはスパルダスは警戒した。


 しかしグランは力を送り込んでも光は出なかった。

大翔も心配し見守った。

「光が出てこない」


 明らかな異変を察したスパルダスは笑った。

「はーっはっは貴様何かあったな、病気にでもかかったか?」


「何も変わっていない」

ところが先程までの胸の張りに今度は勢いがなく声も少し小さくなっていた。

「隠しきれないようだな」


「グランさん、何かあったんですか」


 スパルダスは言った。

「よかろう、説明の時間だけ与えてやる」


 まるでようやく本音を吐露しようか決めかねている様だった。

グランは肩を震わせ下を向いた。

大翔がこんな弱い所を見るのは初めてであった。


 そしてグランは目をつぶりながら言葉を口から出すかためらいにためらいを続け、ついに声を絞り出した。

「僕は戦うのが恐くなった」


「ええ」

それは衝撃的な言葉だった。


 グランは聞く相手の気持ちを考え大翔達の動揺を最小限にしようと出来る限り乱れた心で丁寧に説明した。


「地上に来て急激な環境変化で体を壊したんだ。正直酸素などがミランドと違うせいらしい」

言ってからさらにぐっと力を落とした。


 大翔は何も分からなかった自分を恥じた。

「そ、そうだったんですか、言ってくれれば良かったのに」

自分には何も言う権利がない様に思った。


 グランは精一杯強く言った。

「それは出来ない。勇者である僕は決して他の人に弱味を見せちゃいけないんだ」


 スパルダスは皮肉まじりに言った。

「勇者と言うのも哀れだな。誰にも頼れなくて。それにしても良いことを聞いた。これは絶好のチャンスだ。一番の邪魔者の貴様をこの機会に潰す事が出きる」


「待て、僕が相手だ」

と大翔が言うとグランは止めた。


「駄目だ」

 大翔は何かを決意したような眼をした。

「グランさん」


 また精一杯力を振り絞るように言った。

「駄目なんだ。勇者の称号を持つもの、国王から与えられたものは決してかばってもらってはいけないんだ」

「で、でも」


 スパルダスは衝撃波を放った。

「うわ!」


 吹き飛ばされたグランをスパルダスは笑った。

「無様だな!」


 グランは願いを込め勇気の剣の柄を握った。

「光れ、光ってくれ」


 しかし無情にも光らなかった。

「光らないな」

とスパルダスは嘲笑った。


 グランはうつぶせに中腰状態になり床を見ながら自分を責めた。

「今の僕は勇気を失ったから。この状態じゃ勝てないと知って震えて逃げようとしてたんだ! 大翔君達を見捨てて!僕は勇者じゃない、自分より弱い者としか戦わない臆病者だ」


 心の全てを吐き出していた。


「今の貴様ではその剣もがらくただな!」


「うわああ」

スパルダスはグランを超能力で持ち上げた。


「やめろ!」

と大翔は叫んだが

「ちくしょう鎌が重い、これはおいておこう」


 三夫は呼びかけた。

「大翔君、2人で戦おう」


 グランがどさりと下に倒れ、大翔、三夫は魔法で攻撃した。激しい魔法が乱れとんだ。


「はーっはっは」

スパルダスは嘲笑った。


「僕は全然グランさんが苦しいのを分からなかった。ひどいやつだ」

この悲しみを攻撃にこめて行った。

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