鎌の謎
「くっ、何て扱いにくい鎌なんだ。そもそもこんな重い鎌が存在するなんて」
大翔は大鎌のあまりの重さに支えたり構えたりが上手く出来ずふらついていた。
(でも、何か見えない力に引っ張られてる感覚もする)
三夫は驚いていた
「魔王化した大翔君ですらフラフラするなんて、一体何10トンあるんだ」
スパルダスは「大した事はない」とたかを括った。
「ふん、武器に振り回されているようだな」
しかし一転、スパルダスは思った。
(待てよ、死神の鎌について言い伝えを聞いた事があるが、確かとてつもなく重いが魔王にはぴたりと順応しその力を遺憾なく発揮すると聞いたが、何故奴は戸惑っているんだ、ん?)
その時スパルダスは何かに気づいたようにはっとした。
(ま、まさか! 奴が上手くあの鎌を使えない理由は! いやそんなはずはあり得ん!)
三夫はその様子を見て言った。
「あれ、スパルダスの奴何か戸惑ってる」
ディードも同調した。
「珍しいな、あんな顔を見せるのは、何かあったのだろうか? はっ!」
「どうしたんですか?」
ディードは何かを気にしたが思い過ごしの様に思った。
「いや、何でもない」
大翔は鎌に振り回されていた。
「鎌が特別な力を持っていて言う事を聞いてくれないみたいだどうなってんだこれ」
三夫は声をかけた。
「大翔君! チャンスだ!」
大翔は答えた。
「よ、よし! これにカードをプラスする。えっと、『吸血コウモリ』のカード、良し!」
大翔はコウモリの群れが描かれたカードで召喚しようとした。
「えっとキッド君が言ってたな、カードの力を武器に付与させる」
「おのれい」
スパルダスは気が付いた。
「ええい!」
「させるか!」
元に戻ったスパルダスは大翔に火球をぶつけようとしたが三夫が相殺した。
その時、大翔はセットに成功した。
「よし、これでOK!」
すると鎌の刃が黒いコウモリの影に包まれた。
三夫は言った。
「そうか、鎌にカードの力を付与するのか」
大翔は叫んだ。
「行け!」
すると鎌の刃の部分からまるでコウモリの群れのように刃型のブーメランのような黒い塊が無数にスパルダスに向けて飛んだ。
「ぬっ!」
スパルダスは警戒した。
腕で塊をガードすると切られ血を流した。
「ぬっ!」
三夫は威力に驚いた。
「スパルダスの皮膚を切った」
「くっ、これはよけなければ!」
スパルダスは必死で飛んでくる刃の塊を避け続けた。しかしよけきれずいくつかで体を切られた。
「ぬ、ぬぐお!」
三夫は再度驚いた。
「き、効いてる、そんなに深い傷じゃないけど!」
ディードは気づいた。
「あの刃は吸血の代わりに毒があると!」
スパルダスは毒に苦しんだ。
「く、くうくうう、ど、毒が!」
三夫もチャンスだと感じた。
「スパルダスは毒を受けてる!」
スパルダスはひるんだ。
「このままでは! 解毒魔法を!」
スパルダスは解毒魔法を使ったが隙が出来た。
大翔はさらに刃を発した。
「今だ行け暗黒の刃!」
「くっ!」
スパルダスは傷口を押さえながらかわし続けた。
そして鎌から塊が出なくなった。
大翔は思った。
「しまった弾切れか!」
「お、おのれ!」
一方体とプライドを両方傷つけられ怒ったスパルダスは口から光線を吐いた。
大翔はまともに食ってしまった。
「うわあああ!」
さすがに大翔はダウンした。
「まだだ!」
と言い、口から零下100度はある吹雪を大翔に吹きかけた。
「あああ!」
大翔は氷漬け寸前だった
「うおお!」
どうにか大翔は氷を粉砕したが倒れた。
しかし鎌を杖代わりに立ち上がった。
「あ、ぐぐぐ!」
「死ね! 超巨大火球だ!」
スパルダスは詠唱を始めた。
しかし大翔はセットした。
「風の精霊カードセットだ!」
「死ね!」
遂にスパルダスは火球を放った、その時大翔が鎌を構えると渦巻状に竜巻が発生し、火球とぶつかり合った。
「ぬぐぐ!」
ものすごい竜巻が火球を防ぐ。
「うおおお!押し切れ!」
大翔は叫んだ。
そして火球と竜巻は相殺しあい消滅した。
「くーっ! 小癪な奴め! かくなる上は肉弾戦で!」
「あっ!」
大翔は鎌を構えなおそうとした。
すると鎌から謎の声が聞こえた。
「お前のいう事はこれ以上聞けない。お前は魔王ではない」
「えっ!」
「死ね!」
空中から飛び掛かったスパルダスが大翔を襲おうとしたその時剣で防いだ人物がいた。
それはグランだった。
「グランさん!」
「き、貴様!」
(でもグランさん随分遅れたな、何かあったのかな)
グランのわずかな変化に大翔はまだ気づかなかった。