表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/166

ディードの覚悟と大翔の鎌

「とどめだっ!」


 と部屋中に響く声で絶叫したスパルダスはディード目掛け渾身の火炎球を放った。


 直径2メートルはある灼熱の火球だ。


「あれは、1万度はある!」

とディードは動けず死を覚悟し、目を閉じた。


 変に安らかだった。


 その瞬間だった。


 三夫は即座に飛び出しディードを抱え高く空中に飛び上がり火炎球をかわした。


 外れた火炎球は壁にぶつかり壁を大破させた。

壁から煙が出ていた。

 

 そこから熱を発していた。

しばらく熱は冷めそうもない。


「おのれ!」


 かわされ怒ったスパルダスは地団駄を踏みさらに空中の三夫目掛け光線を放った、が三夫は超スピードでこれを上手くかわし着地した。


「ぐぬう!」

スパルダスは2度までもかわされ、「ちょこざいな奴だ」と睨みつけ悔しがった。


 ところがスパルダスは

「まだだ! もう1発!」

と言い即座に同じくらいの大きさの火炎球を放った。


 三夫はすでに準備していたのか、それに対抗するため詠唱した。

巨大火炎球ヒートドーム!」


 三夫の両手から巨大火炎球が飛び出し距離にして25メートルは離れたスパルダスの火炎球と相殺した。


 ぶつかった真ん中で2つの球は超高熱の反応し爆発した。


「おのれ! 目がっ!」


 塵が飛び散りスパルダスは目を押さえていた。


 その間に三夫はダウンしたディードを回復させようとしたが


「僕に治癒魔法は使えない。くそ!」

と悔恨した。


 その時ディードは懐から回復薬を出した。


 しかし

「回復薬だ。お前が使え」

と三夫に渡そうとした。


 これには三夫はさすがに驚いた。

「何言ってるんですか! あなたが回復薬使わなければ死んでしまう」


 ディードの表情に既に闘争心は無かった。

虚しさと回顧の情が相まみえた。


「私はここで死んでいい。これまでの罪を償わさせてくれ」


 あの魔王とは思えない、堂々としていた姿ではない意外な言葉にしばし三夫は言葉を失った。


 さすがにそんな言葉が出るとは予期しなかった。


 しかし三夫は気を取り直し言った。


「何言ってるんです。死んで償うなんてそんなのおかしいです! 大翔君だってあなたを死なせたくないから助けたんでしょう! 死ぬなんて間違ってます! 償いなら生きて償うべきです!」


 しかしディードはつらそうに語った。

傷の痛みと言うより罪を償い生きる事が辛そうだった。


 これまでを思い返す様だった。


「私は生きていくのがつらい。ここで終わりたい」


「何言ってるんです!」

三夫は強く諭した。


「おのれ」

その時スパルダスの目のくらみが治った。


「おのれ! 食らえ!」

怒りに燃え、また光線を撃ってきた。


 その時即座にディードは半身を起こしてバリアを作り自分と三夫をガードした。

「ぐ、ぐぐ!」


 必死だった。

全ての体力と魔力を絞り出していた。


 その様子を見てスパルダスはにやりとした。

明らかにディードはもう力がないと見極めていた。 


「ふん、傷ついた体でいつまで止められるかな?」


 その頃、大翔は呆然としていたが我に返った。

「三夫君、ディード、仕方ない3対1は情けないが、やるしかない! これを!」


 大翔は先程キッドが届けたカードを出した。


 先程キッドはディードとの戦い後に大翔にカードを渡した。

「これは黒魔術から奪ったカード『鎌』と『風の聖霊』だ。上手く使いこなしてくれ」


 大翔は懐からカードを出した。


「召喚! 死神の鎌!」

するとカードから文字通り大翔より大きな柄と刃を持つ巨大な鎌が出現した。


 大翔は上手くキャッチした。


「ぬっ!」

とスパルダスは気づいた。


「ほう! 初めて見る武器だな」

と注目していた。


「こ、これで、しかし重い」

大翔は構えきれなかった。


 よろよろと崩れそうだった。

足の踏ん張りが崩れた。


 三夫は心配した。

「そんなに重いのかい? 使えるのか」


 大翔は説明した。

「何か重いと言うより巨大な力に振り回されてコントロールできないみたいだ、邪悪な黒い波動」


 それにお構いなくスパルダスは攻撃してきた。

「ふん、食らえ!」

また光線を撃った。


「うわっ!」

戸惑いながら大翔は鎌を慣れない大振りな構えでふるった。

鎌をふるうとものすごい衝撃波が起きた。


 そして『一閃』と言う言葉がふさわしい勢いで光線に切りかかった。

すると光線が真っ二つに割れた。


「ぬっ!」

その光景と現象にスパルダスはたじろいだ。


 大翔は汗をかきながら戸惑い、かつ鎌の威力に驚いてあちこち触って調べ、手に取りながら眺めた。


「これはすごい。でも使いこなせるか? 何か邪悪な気を感じる。どう使えばいいんだ。支配されてしまいそうだ」

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ