ぼろぼろの訴え
「どわああ!」
しかし、大翔はダウンしながら手で跡が残る程土を掴み、爆破衝撃を受けた体の中の残った力を振り絞り立ち上がった。
ディードはその様子を見て怪訝に思った、一体大翔は何のためにこんなに必死なんだと。何を訴えたいのかと。
そして、大翔は意外な事を言った。
「ぼ、僕はあんたを」
ディードは何かと思って聞いている。
何なんだこいつは、全く予測がつかない、と言う気持ちで。
大翔のあまりの必死さと気迫に押され、呆然として何も言えなかった。
立ち上がってくるまで。
そして、息を散々に切らし格好悪い姿勢で大翔は言った。
「僕はあなたの気持ちを確かめて味方になってほしいんだ!」
これが、一番反応が大きかった。
ある意味ショックだった。
「何だと!」
マーク達もどよめいた。
大翔は爆破の傷に苦しみながら耐えて訴えた。
「だってあんたは冥王やスパルダス達が嫌いなんだろ」
きつい突っ込みと言うより大翔の必死の訴えが核心的で気持ちがこもっているため、動揺は増していった。
ディードはわなわなと体を震わせた。
「黙れ」
怒鳴りながらどこか後ろめたく目を背けたい様子だった。
「頭を下げるなんてあんたらしくないよ」
大翔は決してディードを見下していなかった。
それどころか嫌ってもいないようだった。
信じる目をしている。
それはある意味の尊敬心も込められていた。
だからといって人格を全肯定するわけではないが。
ディードはもはや毅然とした態度は取ろうとしても取り切れなかった。
「うるさい、俺は魔王だ!」
マークは言った。
「み、味方にするって本気か大翔君」
「こんなやつ撃ってやる」
と言い、カノンは魔導人を動かし熱線をディードに食らわせた。
「ぐああ」
直撃だった。
これはかなり効いた。心が動揺している時の一撃である。
「とどめだ!」
カノンは叫んだ。
しかし大翔はカノンを止めた。
「この人は分かり合える! 味方に出来る!」