大翔の意外な問いかけ
戦いの中、スターマークはディードにかなり意外な質問をした。
「大翔君と戦いたくて、この学校を襲ったのか?」
「何?」
目は逸らさなかったものの、ほんの少し、ディードの目じりの下が動いた。
驚きは隠せなかった。
何故マークが見透かすような事を言うのか、苛立ちさえあった。
こんなやつに、と。
一方、さらにマークは少し語気を強め言葉をさらに突っ込む内容にして問いかけた。
「どうなんだ? そうじゃないのか?」
覆面の下では、マークはさらに強くディードの目や様子を凝視し、表情の変化や様子をうかがった。
一方ディードは戸惑い怪訝な顔をした。
マークの真意を図りかねる様子だった。
全く予想しない質問でかつマークが言うとも予想外だった。
しかし動揺もかいま見えた。
ほんのわずか冷や汗をかいた。
心の中が透けて見えるのかと。
ばかばかしいと言う雰囲気でしぶしぶ答えた。
早く切り上げたいようだった。
「何故私があいつと戦いたいんだ? これはスパルダス様のご命令だ」
何の証拠と根拠がある?と言いたげだったが、ほんの少し自信がぐらついたように見えた。
その途端、突然大翔は鋭く口を挟んだ。
「スパルダスの命令だからやるんだ、正しいと思ってないのに」
この横入りはさすがにディードにとって意外だった。
「何? 私はスパルダス様の忠実な部下だ。命令を聞いて何が悪い」
どこか釈明じみていた。
大翔はそれを感じ取った。
しかし「いきなり」だからと言う理由以外の動揺がどこか感じられる。
言われた瞬間、目がぴくりと動いていた。
さらに大翔はきつく突っ込んだ。
「怖いから言いなりになってるんだ」
「何?」
これがプライドに触った様だった。
「そうだろ」
表情の変化にお構いなく完全に確信し大翔は言う。
しかしディードはここで弱いところを見せられない、と毅然と言い返そうとした。
「何を言う、私はスパルダス様に心底忠義を誓い崇拝している。言いなりではない。誰が恐れるか、私の意志でやっているのだ」
しかしさらに大翔はもっときつい事を言った。
「じゃあ何であんたは昔冥王に反逆したんだ」
「!」
これはかなり核心的だったようだ。
大翔は前にディードが反逆した時の事をしみじみ思いだすように言った。
まるでそれに尊敬の念を抱いているかのようだった。
「あんたは冥王たちを尊敬なんかしてなかった。へこへこする人じゃなかった。それが何でスパルダスに忠義を誓うなんて言うんだ」
これはかなりディードは痛くかつ核心的な事を言われたようで明らかに動揺し表情を変えた。釈明と言うほどではないが。
「お、俺は変わって等いない!」
「いや、変わったよ!」
大翔は即答した。
それくらい大翔には明らかだったのだろう。
「心に迷いが見えるぞ」
ふいにマークは言った。
横からまた見透かす様な言われ、これは相当ディードを逆なでした。
「うるさい!」
格下だと思っている相手に心を見透かす様な事を言われた事がショックだった。
特にマークはすぐそう言う人間と言う印象を受けていた。
「おのれ!」
怒りでディードは火炎玉をマークに放った。
「ぐあ!」
と叫びマークは倒れた。
ディードは放った後も息がかなり荒くなった。
「はあはあ、私はスパルダス様に新しく強い命と体をもらった。だから感謝し忠義を尽くそうとしたのだ。それが義と言うものだ! それの何が悪い!」
しかし大翔は表情を変えなかった。
「あんたはよくわからないけど言いなりにされてるだけじゃないの体をもらったから。でも悪事に加担するなんて義に報いるなんて言わないよ!」
ディードは怒り大翔に火炎を放った。
「うわあ!」
大翔は火に包まれ倒れたしかし起き上がった。
今は全くディードを恐れていない目だった。
むしろ呆れていた。
「あんたは弱い、弱くなった、何が魔王だ!」
「うるさい!」
今度はさらに強力な爆破魔法を大翔に見舞った。
今度の方がダメージを受けた。
「うわあ!」
大翔は爆破炎上した。
カノンは見かねて言った。
「そ、そんな奴説得しても」
しかし大翔は苦しみながら必死に説明した。
「ぼ、僕は何か理由があってディードがこんな事をしてると思ってるんだ」
「うるさい! ガキに何がわかる!」
これが勘に触ったのかまた爆炎を大翔に見舞った。
大翔は爆発に包まれた。