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マークの静かな怒り

「大翔君、剣を貸したまえ」

スターマークは突如申し出た。


「えっ?」


 これには大翔も驚きを隠せなかった。

意外過ぎると言う印象であった。


「ディードとは私が戦う」


「えっ?」

この言葉も、さらに意外であった。


 しかし力強かった。

本当に自信があるようだ。


「君は一旦逃げて体力を回復するんだ」

この言葉がさらに、であった。


 さすがに、これは大翔は受けられなかった。


「で、でも、この先にスパルダス達がいるって。またとないチャンスだから。こいつを倒せば道が開けるんです」


 しかしマークは諭した。

「いや、ここであえて無茶をしない方がいい、君の傷ついた体でさらに連戦するのは無理だ」


「で、でも奴らをここで倒さないともっと犠牲者が。ここで倒しておかなければ」


「それも大事だ。だが君は自分を大事にした方がいい。ここは私に任せろ」


 落ちついた口調で、相手に気持ちを理解してもらえるよう諭した。

 

 第1に大翔の身を案じる事を理解させようとした。


 そのやり取りを見たディードは笑った。

「何? 貴様が代わりに私の相手をするだと? 笑わせるな! 冗談も程ほどにしてもらおう」


 マークはディードの方を向いた

「では試してみてはどうかな?」

 

 本当に自信があるようだ。

じっとディードを見つめていた。

挑発的でもあり相手を食うような言い方だった。


 この反応にディードは動揺した。

「何?」

挑発的な言い方にかちんときた。


 マークは余裕が明らかにあり無理をしている感じではなかった。

ディードはつまらなそうな顔をした。


 何か作戦があるのかと疑念は持ったが。

「ふん、下らん、すぐに終わらせてやるぞ」


 ディードは嘲笑いながら少し不愉快そうだった。

見下されているようにも感じたからだ。


 マークは剣を構えた

臆する所がない。


 そしてディードに近づいた。

足が最小限の動きで決して姿勢を崩さず目も離さない。


 円を描くようだった。

全く後ろを見せない。


 ディードは慎重に様子を見た。

そして2人は向き合った。


(この男、どういうつもりだ)

マークは覆面をしているので表情がわからずそれがディードの苛立ちを誘った。


 そしてついにディードは切りかかった。

「一瞬で終わらせてやる!」


 凄まじい刃の突撃を驚いた事に自信を持ちしっかりと完全にマークは受け止めた。


「マークさん!」

大翔は心配した。


「ぬっ?」

剣をぶつけ合い、そしてつばぜり合いの中にらみ合った。


 ディードは思った。

(こんなやつに)


 しかしマークは確かにディードと遅れず渡り合っている。

(ま、まさか)

とマークの腕をディードは信じられなかった。


 マークは渡り合っている。

当たり前のようにだった。

いやむしろ楽しんでいるようにさえ見える。


 しかも、マークはその心を冷静に見透かすようでもあった。

「意外だったか。私の剣の腕が」


 これが勘にさわった。

「うるさい!」


 ディードはマークより先に熱くなり剣を払った。

間合いを取りたかった。


「はあ、はあ」

怒りと疲れで息を切らした。


(私はこんな奴にいら立ち焦って……)

追い払いたい気持ちだった。


 しかしマークは全く熱くならず言った。

「魔法力は貴様が上でも剣術なら引けをとらんぞ」


 また勘にさわった。

「貴様、なめないでもらおう。私は真崎大翔やグランの首を取りに来たのだ! 貴様など用はない」


 マークはさらに挑発した。

「動揺しているのか?」


「何?」

これで表情が変わった。


 大翔は呆然と見ていた。

「知らなかった、マークさんがこんなに剣技が立つなんて」


 カノンは言った。

「しかも全然動じてない。余裕も感じる。それどころかディードの心を見透かしているようにも見える」


 切り合いは再開した。

火花が散った。


 その最中マークは言った。

「貴様、なぜよりによって学校行事などを襲った」


 マークの言い方は先程と少し違った。

落ち着いてはいるものの少しずつ怒りを含ませる様だった。


 ディードはにやりとした。

「ふん、モストチルドレン計画を進めるためだ。例えばこうしてな」


「ん?」

「えっ?」

ディードの目線の先には逃げ遅れた生徒がいた。


「あっ!」

とマークは気づいた。


「くくっ」

ディードはにやりとして次元に穴を開け生徒を吸い込もうとした。


「逃げるんだ!」

とマークは叫んだ、しかし


「た、助けて!」

と生徒は叫んだがあえなく吸い込まれた。


 マークは立ち尽くした。呆然としていた。


「あいつが奴隷にされるのを助けたくば、さっさと私を倒すんだな、くっくっく」

先程の1時期の苛立ちが無くなり、ディードは再び薄ら笑いをした。


 さらに説明した。

「とこうして生徒達を次元に吸い込みとらえ奴隷にする。なぜならモストチルドレンがこれから学校を手始めに世の中を支配し始める。そして劣等種族は死ぬか奴隷にされる。素晴らしいだろう」


 マークは震えていた。

しかしそれを見せないようにしているようにも見える。


 それを大翔やカノンは感じ取った。


 マークは怒りを押し殺し言った。

「何故殺したりさらって奴隷にする、彼らが何をした?」


 冷静であった。確かに冷静であった。

マークはそうしている。隙を見せれば腕だけでなく精神的にも負けるからだろうか。


 ディードは嘲笑い言った。

「モストチルドレンによってこれから世は支配される。今犠牲になろうとどうってことはない」


 しかしマークは言い返した。

「どうってことのない人の死などない!」

 マークは静かに少しずつ語気を強めそして切りかかり剣撃は続いた。


 それはさっきまで冷静で余裕を見せていたマークが少しずつ怒りを表に出し始めた瞬間だった。


 そして叫んだ。剣にも力がこもる。

「たとえ1人だろうと、命に軽さなどない!」


 苦い顔でディードは言った。


「私は魔王として戦争で多く部下も敵も無くした。1人ぐらいどうって事などない」


「貴様は命だけでなく子供の夢や楽しみも奪ったんだ」


 その言葉からは覆面の下から怒りの情が伝わる様であった。

大翔もカノンも感じている。


「モストチルドレン計画はそんな事どうでもいいほど巨大な計画だ」

ディードは言った。


 それを聞き大翔は思った。

(モストチルドレン計画って言ってるけど、スパルダスが考えたのか? 何故ディードは言いなりになってるんだ。あいつ確か人間界に興味ないって)



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