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歪められた命の価値

 大翔は力を振り絞り言った。

「なら、義手だけじゃふせぎきれない技を出す」

「何?」


 大翔の体から光が出た。

「これなら両手じゃなきゃ防ぎきれないはずだ。マジックバリア」


 マジックバリアの詠唱をし自分の周りにバリアを発生させかつそれを広く強固にしていった。


「ぬう? あれは」


 アダラングは言った。

「私やスパルダス様に使った技か。バリアを発生させ相手に体当たりする」


 大翔の周りが半透明で高熱のバリアに包まれ攻撃準備が整った。


 大翔は地面を蹴った。

「ハイパーフィールドアタック!」


 大翔はバリア全開発動状態で飛び掛かった。

「スキル『バリア状態維持』」


 ルディンは身構えた。

「高熱のバリアを発生維持させ武器にすると言うやつか」


 大翔は叫んだ

「うおおお! これは両手でないと受け止められないだろう!」


 アダラングは言った。

「確かにあの大きさでは片手では無理だ」


 ルディンは身構えた。

「ふん、やむを得ん」


 今まで義手しか使っていなかったルディンは両手で正面から受け止めにかかった。


 バリアがぶつかり激しい熱がルディンの両腕全体にかかる。

「ぬう、義手は熱くないが右腕が……」

ルディンは右腕の熱さに苦しんだ。


 バリアは状態維持スキルがかかっているため消えない。受け止める方との根競べになった。


「ぬおお! あ、熱さで右腕が!」


 ルディンの右腕がついに高熱で焼け始めた。

「いける、これで突破口になるか」


 アダラングが出た。

「ルディン、助太刀するぞ」


 しかしそれを遮った。

「構わん! こんなもの、こんなもの! う、うおお」


「な、何」

ルディンの右腕が黒く変化し大翔を押し返した。



 ルディンの右腕は黒く変化していた

「なにあれ? あれは確か」


 アダラングは説明した。

「あれこそ黒印の呪術よ。カードゲーム同好会に施した」


「あの操られて狂気の戦士になる刻印か! じゃああんたはルディンを利用したのか?」


「ちがう、あいつは自分の意志で呪術にかかったのだ。自分の命と心を捨ててもグランに復讐したいと。あいつはもはや死ぬ以外に止まらないのだ」


 大翔は躊躇した。

「そ、そんな、でもいくらなんでもあいつを簡単に殺しちゃ」

「うおお!」


「殺したら、簡単に生徒を殺したりした奴らと僕は対して変わらない。簡単に相手の命を奪ったら」

「甘いんだよ!」


 そういってルディンは黒化した腕で大翔を殴った。

大翔は吹っ飛ばされた。

「くっ」


 悪鬼の形相でルディンは迫ってきた。

大翔はかなり消耗していた。


「グランを殺す前に貴様から殺す」

「何で自分の命を捻じ曲げてまで復讐するんだ、そんな事」


 これが勘に触った。

「うるさい!」


「ぐわ!」

大翔はまた吹き飛ばされ倒れた。


 しかし大翔は倒れぱなしだった

「どうした? 反撃してこんのか」


 ふいに大翔は言った。

「殺せない」

「何?」


「相手の命を奪うのはどうしてもそれしかない時だけだ! いやそれでも殺しちゃいけないんだ。あんたを止める方法がないからって殺していい訳じゃないんだ」


 これはルディンにとって相当意外だった。

「まさか俺を助けようなんて思ってるのか? 笑わせるな偽善者の分際で! 貴様は私たちの仲間や怪物を大勢殺しただろう!」


「ああ、僕は偽善者だ! 命の重み何て完全に分かってないガキんちょだ! でもむやみに人の命を奪いたくないんだ」


「貴様に同情されるなど!」

また大翔は殴られた。しかし立ち上がった。


「なぜ反撃してこない? 俺の呪いは死ぬまで解けんぞ」

「構わない、恨みが晴れるなら殴ればいいだろ」


「殴られる気か!」

「あんたを元に戻すんだ。それなら僕が死ぬ」


「何? 正気か」

さらに何発もルディンは殴った。しかしどこか迷いが見える。


 アダラングは言った。

「ルディン、どうした迷ってるのか?」


「迷いなどあるか!」

ルディンは大翔をつかみ首を絞めた。


「ぐあああ!」

「死ね」


 大翔はもう外す力がなかった。

「もう、力が」

その時だった。


 何とルディンは自分の胸を突き刺した。

大翔もアダラングも呆然とした。


 アダラングは理解できなかった。

「自分の胸を、なぜだ?」


 しかし大翔には少しだけ伝わった。

「ルディン」

大翔は悲しい目をした。


 ルディンは死ぬ寸前だった。かすれた絞り出すような声で言った。

「まさき……私をたすけようとしたこと忘れん、うう」


そして離れた場所に歩いていき爆弾で自爆した。



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