逆襲のルディン
大翔は多くの生徒達が逃げ、かつ命を落とす事になったトライアスロンを大きく人数の減った中、虚しい気持ちで残りのコースを走っていた。
(せっかくの大会をこんなにしやがってあいつら……でも最後までせめて走るのが僕の義務だ、勝ち負けももう関係ない。今ならどんなコースも走れる)
そうして大翔はもくもくときついコースを疲れを感じながらも走っていた。
(ゴールにディードが待っているんだろうか)
もう大翔には昔の熱い気持ちで走る感情が無くなっていた。
ただ黒魔術と戦い死んだ人の仇を取る怒りとむなしさだけであった。
そして気が付けばもう35キロ以上走っていた。
そこへ声が聞こえた。
「待っていたぞ」
見上げるとルディンがにやりとした顔で空に浮いていた。
しかし何かいつもと違う。冷静ではあるが内側の激しい怒りや怨念を押し殺しているようだ。
「ルディン!」
「くくく、よく来たな真崎大翔。大分レースにお疲れだな」
大翔は直接ルディンが手を下したわけでなくとも犠牲者に対する怒りを向けた。
「やはりあんたも来ていたのか」
今までと違う、だんだんと調子がきつくかつ狂気さえ感じさせる話し方をルディンはした。
「貴様はこれからこのグランに切り落とされた腕の恨みを受ける。悪く思うな、私の恨みを貴様にたっぷりとはらしてやるぞ」
「いつもと雰囲気違うな」
「当たり前だ、冷静な私をここまで怒らせた、本来復讐とはそういう物だ! この義手の力をとくと思い知れ!」
「義手?」
「そうだ、私が手術したのだよ」
「アダラング!」
突如脇からアダラングが出てきた。
「尤も、私も貴様に受けた傷は人工関節などを移植しなければ治らなかった。だから私にも復讐戦であるのだ。2対1とは卑怯だがね」
「くっ!」
まずルディンが言う。
「まあいい、まず私が、いや私1人で勝ってやる」
「まあいいだろう」
「腕が変わったからって、あんたは冥王たちより力は下だろう!」
「どうかな、確かめてみろ」
「よし、食らえ魔晶玉!」
いきなり大翔は魔晶玉を発した。
「むん!」
しかし、ルディンは義手で掴んだ。
「ぐぐぐ! むおお!」
ルディンは苦もなく魔晶玉をはじいた。
「は、はじき返した! ベヒーモスも倒した技だぞ!」
「ふん」
「ならばこれだ!」
と大翔は詠唱して超雷撃を出した。
ところがこれも簡単に受け止められた。
「な、何だ、あの義手は!」
「この義手だけなら、スパルダス様にも及ぶ」
「う、うわ!」
義手を使った超能力で大翔は持ち上げられた。
「ふん」
「うわあ!」
大翔は吹き飛ばされ倒れた。
何とか立ち上がった大翔は叫んだ。
「ならこれでどうだ!」
大翔は先ほどかけた呪いを使った。
「呪いの術か」
「これならどうだ!」
「ふん!」
黒のかたまりをはじいた。
「馬鹿な! 呪いの術さえ跳ね返した!」
さらにルディンは義手から衝撃波を出した。
「うわっ!」
衝撃波が大翔の体に叩きつけられる。
「なんて衝撃波だ。あいつここまでの力を」
「そうだ、部分的には冥王やスパルダス様にも劣らぬ力が出せる」