ハッカとジーメ2
「はっはっは!」
ハッカが声を上げ突進してきたが、大翔は完全に動きを見切り1ミリたりと余分な動作なく、最小限の動きでよけた。
そこには余裕もあった。
相手をなめた油断ではなく。
それ位の力の差はあった。
「よけた」
「あ、あっさり」
2人は驚愕しどよめいた。
大翔はお返しに振り向きざまひじうちをした。
これも大振りでなく最小限の相手の動きや速さを利用した一撃だった。
向かってくる所を迎撃した。
「うっ!」
しかしハッカには思いの他きいた。
動きを捉えられたショックと最小限の動きでも大翔の攻撃力が強いため重かったからだ。
「あれが魔王化した人間の力?」
ジーメは動きを捉えられたその様子を見て汗をかき強がった。
「し、しかし、さすがに2人ががりじゃ厳しいだろ」
「2人相手でも、今ならいける」
と大翔は言い手から2人相手に二方向に火を出しけん制した。
それは思い上がりでない、確かに勝てるという身にまとった自信だった。
それは普通の人間状態では決して生まれない感情だった。
まさに王にふさわしかった。
ただこれはあえなく避けられた。
しかし、大翔としても牽制目的だったためさしたる動揺はなかった。
しかしジーメは大翔の動きの速さと無駄の無さ、技の多さに舌を巻き冷や汗をかいた。
何より2人相手でも全く動じす自信を身にまとっている事にだ。
「なかなかやるな、よしあれを使うか」
とジーメが言ったその直後だった。
そのとたんふいに大翔の動きが金縛りの様に止まった。
止められた。
と言うより大翔のまわりの時間そのものが。
大翔自身は動きが止まった自覚はなかった。
しかし何かがおかしいとわかった。
「うわ!」
いきなり何が何だかわからず大翔はハッカの飛び掛かり攻撃を受け傷つき地面に倒れていた。
ジーメはそれを見てにやりとしていた。
「おっと、動きが遅くなったな」
大翔は体の感覚の異変を感じた。
これはこれまで感じた事がない。
自分以外が真っ暗になったような言いようもない感覚を覚えた。
「どういうことだ全く見えなかった。何ていうかあいつの動きが見えないというより時間の感覚自体がない。少し前の時間の記憶がない。あいつが攻撃してくる瞬間の記憶が」
ジーメは言った。
「よし、もう1度だ」
「もう1度? うっ」
その言葉に疑念を持ち意味が分からないまままた大翔の体の動きが止まった。
大翔が時間を止められた様に動けなくなっている際、もろにジーメの火の玉を食らってしまった。
「また体が、いや意識が」
大翔の体は焼けた。力量自体はジーメの方が下であっても。
「まるで時間が止まったみたいだ。そんな事はありえないといってもなんていうか、時間が無くなったみたいに。一体どうなってるんだ。絶対気のせいじゃない、何か秘密がある」
ジーメはにやりとした。
「くく」