ハッカとジーメ
「くう! よくも」
大翔は生徒が焼き殺され、その残虐さに身を震わせ怒った。
自分も全身を焼かれたような怒りと同時に救えなかった苛立ちに体を震わせた。
他の生徒も空中の戦士や無残に焼かれた生徒を見た。
「ひ、人が焼かれた!」
「どうなってるんだ怖い!」
「何だあいつら!」
「逃げろ!」
その場は大騒ぎになり生徒はわれ先とちりぢりになり逃げた。
ところが今度はさらに小さい方の戦士がにやりとし嘲笑いながら上空から逃げようとする生徒の1人を狙い撃ちし、焼けた。
火だるまになった。
「見たか! ハッカ様の火炎魔法だ! 子供を燃やしてやった!」
また騒ぎはさらに大きくなった。生徒は恐怖で震え泣き出した者もいる。
焼かれた生徒は火を発しながら全勝した。何も残らなかった。
「ハーッハッハッ!」
大きい方の戦士が見下す目つきと口調で言った。
「せっかくの学校行事が死の儀式になっちまったな」
人の死や不幸を心から喜んでいる。
大翔は簡単に人の命を奪う残虐さと人を嘲笑う態度に怒った。
もう我慢の限界点であった。
「また殺したな!」
戦士の1人の小さい方が急に真顔になり言った。
「感傷にひたる暇はお前にはない。もう死んでもらうからだ! 俺様はハッカ!」
もう1人の大きい方が大声で笑いながら高らかに言った。
「俺様はジーメ! 我々が相手だ」
2人は悲しむ大翔を嘲笑うかのような調子でついに地上に降り立った。
ジーメが背中に手をやり巨大スコップを引き抜いた。
大翔は警戒した。
何とか冷静さを取り戻そうとした。
「あれで何をするつもりなんだ?」
ジーメはにやり薄笑い
「くくく、何をするかって? 教えてやるよ。地面割りだ! 地よ割れよ!」
ジーメはスコップを地面に突き立て詠唱した。
「な、何だあれは?」
大翔は攻撃の正体が掴めなかった。
ジーメが詠唱すると地面にひびが大きく入り激しい地震が起き、あたり一面の地が割れた。
とんでもない震度だ。
大きな建物も倒壊しかねない。
「何だあれ! 魔法か」
大翔は疑念に思ったがジーメは答えた。
「魔法じゃないな。もっとも魔法も使えるが」
一方、戦士の片方はかぎ爪のついた手で超スピードで攻撃してきた。
「はやい!」
地震のせいでかわし切れず大翔の顔が切られ傷がついた。
「こんな身のこなしを魔法使いが」
大翔は傷を抑え息を荒くし驚いた。
今までに見た事ないタイプと認識した。
ハッカは笑った。
大翔が分が悪いのを確認した感じだ。
「くっくく、俺たちは魔法も使えるがかつ優れた体術も併せ持つ黒魔術の中でも選ばれた戦士だ。こんな動きもできる!」
ハッカは空中に飛び上がりまた降りたりまるで忍者のようにすばやく動きかぎ爪の攻撃をしかけてくる。
高速移動するクモの様だ。
「くっ!」
魔王になっていないのもあるが最速スピードでは大翔の目でもとらえかねた。
「くそっ!」
大翔はハッカの動きをとらえられず苛立った。
さらに再度地面が割れた。
大翔の足場回り全体が崩れた。
「うわっ!」
大翔は不意をつかれ完全に半身がめりこんだ。
「くらえ!」
ジーメは火の玉を大翔やめりこんだ場所に向けて撃ちハッカも乱射した。
火の玉を食らわせた衝撃で大翔がめり込んだ穴はさらに深くなり大翔は穴深く埋まったのか消えてしまった。
ハッカは嘲笑った。
「おいおいもう終わりか?」
ジーメは言った。
「いやこれだと死体を確認する手間が増える」
「そうだな、派手にやりすぎたか」
しかし大翔は魔王の姿になり出てきた。
2人とも待っていたぞと言う表情だった。
「本体を現したな真崎大翔!」
大翔は手など自分の体を確かめた。
「爆炎に包まれて死にそうになったら体が変化した」
そこで改めて怒った。
「生徒を殺しやがって、許せない」