襲われる人々
その夜、大翔は寮の部屋でニュースを見ていた。
「大事故」と言うかなり大きい見出しだった。
「何だろう」と大翔と灰人はぐいっと見つめた。
キャスターはTV画面上で説明した。
「今日都内の〇小学校でマラソンレースが開かれましたが、そこで謎の天変地異の様な事故が多発し生徒達が大勢負傷し行方不明になりました。負傷した生徒は『魔法使いに攻撃された』と病院で言っています」
大翔はすぐに分かった。
「黒魔術達の仕業だ」
キャスターは説明を続ける。
「そして何故かこのレースでは元新世界学園の生徒だけが無事に残り、優勝しました」
記者会見で校長がインタビューを受けていた。
「ああ、これからは元新世界学園の優秀な生徒だけを相手に学校を運営します。いなくなったり怪我をした生徒たちの事は知りません」
言い方に自信がなく震えた感じだ。
大翔は思った。
「この校長操られてるんじゃ。もしかして新世界学園の生徒ってモストチルドレンとか言う生徒?」
しかもその日はTVで立て続けにその様なニュースが続いた。同じように学校のレースが襲われていた。
その頃、別の学校の校長室に新世界学園の教師や職員に化けたアダラング達黒魔術師達が来た。
彼らは目から出る催眠光線で校長を操ろうとした。
校長は意識を奪われた。
「わかりました。従います」
アダラング達はにやりとした。
「くく、この学校もじき言いなりになる
そして以前は大翔やグランをおびき出すために比較的彼らのいる周辺を怪物に襲わせていたのを最近は全く離れた所で襲わせる事も多くなった。
リザードマン、トロル、ゴブリン……
しかも新世界学園の生徒はカードを使い陰に隠れ怪物を呼び出し人々を襲わせた。
陰の電柱に隠れた生徒はカードを胸に隠しながら人が襲われるのを見て笑っていた。
それを黒魔術のアジトのミニターで見たダンテ達は笑っていた。
「我々が人間を支配する日も近い」
町中に多くの怪物が連日出現した。それらがニュースとなって連日報道された。
グランは自分が何も出来ない事に唇を噛みながら、じっと我慢し剣の稽古をした。
「必ず黒魔術を倒して見せる! あいつらの思い通りなんかにさせない」
そして、海の近くで以前ルディンが操ったあのリバイアサンが現れた。
リバイアサンは津波を起こし近くの人を何人も悲鳴の中呑み込んでいった。
それを召喚したのはあの中島だった。彼は新世界学園の生徒と同じく陰に隠れカードを見つめ悲しんだ。
「大翔、マークさん、あなたたちには命を助けてもらったけど、今の僕はこうするしか生きる道がないんだ。裏切り反逆を起こし死刑にならないだけでも奇跡なんだ。本当は心が苦しい。謝りたい」