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閃光の剣

 キッドの放ったさっきよりずっと大きな魔法の矢がルディンに当たった。

「ぬ、ぬうう!」


 刺さるタイプではなく相手に押しかかるタイプの技のようだ。


 ルディンはキッドの予想外の技に驚きながら、右腕で必死に押しのけようとする。


 珍しく表情も必死だ。

「くうう、こんなもの、うっ!」


 押しのけようとした矢先、矢は直径2メートルほどの反応爆発を起こしルディンの体を包んだ。


「やったか!」

皆が見つめる中少しして煙の中からルディンが姿を現した。


 ルディンはかなり消耗し体にもあちこち焦げ跡が残った。

「ぬう、こんな技があったとは! いささか侮ったか」


 三夫は言った。

「効いてる! かなり」


 しかしキッドは

「一発で決めれると思ったんだが」


 ルディンは腕を振り上げた。

「お返しを食らわせてくれる」


 次の瞬間だった。

ルディンの右腕に閃光と共に激痛が襲った。


 剣が空を舞い、ルディンに切りかかった人物。


 剣で切り裂いた。右腕を。一瞬だった。

それはグランだった。


 最初ルディンはあまりに突然で事態を呑み込めなかった。

しかし激痛からルディンは絶叫した。


 剣で切り着地したグラン。

三夫は喜んだ。


「グランさん、力が戻ったんですか! 退魔の剣は!」


 グランは具合が悪いのでそれを見せないよう引きつりながらにこりとした。


「いや、まだ戻ってないんだが……それよりみんな! 怪我した人たちを運ぶんだ! 僕もいく。その話は後で」


 三夫は答えた。

「は、はい!」


 グランは答えた。

「校舎へは僕が行く」


 グランは剣をしまい火事になった校舎へ行こうとした。

三夫は言った。

「グランさん無茶だ!」


「大丈夫」

グランは軽く微笑し言ったがどことなく強がりも感じる。


 しかしグランは校舎へと駆け出した。


 一方ルディンは呆然とし状況が理解出来ないようだった。

「わ、私の腕、く、くうう、ゆるさーん!」


 ルディンは狂乱寸前だった。

「よ、よくも、私の腕を! その剣をおり、貴様の体もおってやる! くそ!」


「うおお!」


 爆発的な怒りと共に飛びながら猛スピードで地上に突進していきグランに襲い掛かろうとする。


 グランは校舎へ行くため後ろ向きで走っている。

右手をグランに突きだした。


 この右手一本できさまを、と言う鬼気迫る表情だったがグランはとっさに振り向き剣で腕を受け止めた。


 かなり咄嗟で態勢が不十分だ。


 グランにははっきり言って苦しい。

つばぜり合いの態勢でかなり顔の近くに剣が来るほど押されながら突進を受け止めた感じだ。


 さっきは切ったが、今度はルディンは剣の刃をつかんでいる。


 ルディンは剣に左手を突き立て叫んだ。

悔しさで声が震えている。

「この剣ごと貴様を!」

「ぐぐっ!」


 グランは何とか押し返そうとしたが体力も態勢も苦しい。


 ルディンは手が切れそうながらも力を込めた。

「ぐ、こんな剣、こんな剣、うおお!」


 しかしグランは何とか押し出し跳ね返した。

「はあはあ」


 大翔はグランの息が苦しい様子を見て心配した。

「グランさんは息を切らしてる。力が戻ってないんだ」


 グランは苦しみながらルディンに言った。

「あと一回くれば左腕まで真っ二つだぞ」


 ルディンはグランにやられた事が屈辱で受け止めかねるようだった。

「お、おのれ、この借りは! 必ず返す!」


 そう言って空に逃げた。

「はあはあ」


 大翔はグランに駆け寄った。

「グランさんしっかり、校舎には僕が行きます」

「いや、僕も行く」


 しかし大翔は気遣った。

「疲れてるじゃないですか。それにこんな時になんですが、剣はもとに?」


「それは退魔の剣じゃない。そこらで買った剣さ。ほらさっきの一撃で折れそうになってる」


 大翔は剣をどうしたのか力が戻ったのか理由がよくわからず戸惑った。

「一体?」


「そうだ! 早くみんなを助けないと!」



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