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大翔覚醒の謎

 3人組は慌てた。


 それ以前に、何が起きているのか彼らには把握出来なかった。


「な、何だ」

「い、いったいどうなってんだ?」

「縄を外してしかもすごいジャンプ力で脱出した。あのガキ一体?」


 デビイは思った

何だ? あいつのこめかみや頬についたマークみたいなのは。ペイントなんかじゃない。そんな事する意味がない。いったいなぜだ。まぐれでなく何であんなあいつらにつかまったのを振りほどく力が。


 キッドは言った。

「た、大翔君、覚醒したのか?」


 大翔は手を眺め三夫に言うようにつぶやいた。

「確かにさっき、天からのお告げの楊に『力がそんなに欲しいのか。よし、今がその時だ』と言う声が聞こえた。誰だろう? 僕はまた変わったのか? でも今まであんな声は聞こえなかった。グランさんではない」


「た、大翔君……」

三夫も絶句した。

「今までと姿が違う。覚醒したと言っても今までと」


 大翔の顔に異変が起きていた。

大翔の額には謎のマーク、さらに額と目の真横の中間あたあたりに黒い墨で描いたような稲妻型紋章。頬の部分に傷のように同じ稲妻型であるが白い紋章が出ている。


 キッドは「危ないから来るな」と言いたかったが大翔の発する言いようもない迫力に押され言えなかった。

声が出なかった。見えない圧に押されて。


 教師や他の生徒たちはどよめいている。

「あの子誰?」


「わ、私は止めた方がよいのか」

と教師はどぎまぎしている。


 大翔はデビイを斜め角度からにらみつけた。

デビイもにらんでいる。

大翔の足がほんの一瞬上がった。


 次の瞬間だった。


 やるか、とデビイが言いそうになる前、いやそのほんのわずかな秒にも満たない時間に突如大翔は目にもとまらぬ全くとらえられないスピードでとびかかりデビイを思い切り殴った。


 その動きはその場の誰も見えなかった。


 そしてデビイの頬が変形した様にゆがみ倒れた。


 人間の目にはあまりにも速く、そして食らったデビイには重すぎる一撃だった。

 皆騒然とした。

 

「くっ」

 デビイは起き上がろうとしながら口から流れる血をふいた。


「てめえ」

と言うデビイ。

しかし大翔は表情を全く変えずにらんだまま止まっている。

まるで呼吸もしていないようである。


 その姿はまったく隙が無く、迫力だけでなく近寄りがたい。どこから見ても。

飛びかかった後と前で動いたように見えないのだ。


「何だってんだこのクソガキ」

デビイは声を絞り出した。


 大翔は冷酷に言い放つようでかつ怒りの感情を強く込めたような言い方で言った。

「あんたは許さない」

「あ?」

大翔の一言はデビイの神経を逆なでした。


「く、くうう」

デビイは拳を握り歯ぎしりをしている。


 大翔は動かず、口だけのほんのわずかな動きで太く響く声を出した。

「あんたは許さないって言ったんだ!」

明らかに普段の大翔の声とは違う。


「うるせえ!」

デビイは畏怖していた。

大翔の発する謎の迫力に。

何故こんなガキがこんな力を、こんな迫力を、そして殴られた事が屈辱だった。


 デビイは怒りの炎をまとうように怨念を込めた姿で立ち上がり大翔をにらんだ。

激しくこするように歯ぎしりをしている。


 デビイはいら立ち棒を地面に何回かたたきつけた。

自分の膝にも。

そしてついにデビイは大翔の頭を棒で殴りにかかった。


 高々と抱え上げたデビイの棒が大翔の頭にたたき割らんばかりの勢いで命中した。


 確かに懇親の力で大翔の頭の中心にさく裂した。

しかしデビイは動きが止まった。


 デビイは大翔の頭に棒を当てたまま止まっている。

「う……」


 大翔は棒で思い切り殴られても全く痛がるどころか表情1つ、いや、まゆ1つ動かさない。


「ば、ばかな」

デビイは驚愕し後ずさりしたくなった。


 大翔は馬鹿を見るような目つきでデビイを見た。

「なめるな」

と言いデビイは今度は顔の側頭部を殴ろうとした。

がんと目の横あたりに棒が命中した。


 しかしこれも全く効かず。大翔はその場から動かず顔色1つ変えない。

「ば、馬鹿な」


 さすがにひるんだデビイは今度こそ後ずさりした。

「う、うおお」

やけになってデビイは棒を振り乱し、大翔をやけくそにあらゆる方向から殴ろうとした。


 しかしそれはすべてすり抜けてしまった。

「えっ?」


 キッドは戸惑い、何が起きているのか把握できない中、何とか冷静な目で見ようとした。

「あれは、高速でよけている?」


 すると突如、大翔の表情が注意してみていないとわからないほどわずかにではあるが、さらに険しくなった。


 大翔は突然自分の拳に軽く息を吹きかけた。

こうした動きは初めてだった。

「えっ?」

次の瞬間デビイは吹っ飛んだ。


 誰も見えないほど速い、しかし音は伝わる速く重すぎる一撃だった。


 デビイの歯が折れ血が流れた。大翔はデビイに向け手を突き出した。

「えっ」

するとすさまじい波動が起きデビイは吹き飛ばされた。

一陣の重い突風の楊だった。


 デビイは激しく木にたたきつけられた。


 そして大翔は手を動かすと、今度は超能力でデビイを持ち上げた。

いわゆる念動力だ。

「な、なにあれ?」


 デビイは宙に浮いた。

何が起きてるのかわからない気分だった。

「あぐぐ」

デビイの首が絞まっていき。デビイは首を押さえもがいだ。


「デビイさん!」

「くそ!」

3人組が助けようと大翔に殴りかかったが紙を飛ばすかのように蹴散らされた。



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