東ミランドへ行く約束
大翔はその日ガーゴイルたちとの戦いもつかの間、ろくに休みもせず裏山に行った。
「ここなら人がいない」
大翔は人のいない所で力がまだあるのか確かめようとした。
さっきの様に指を天にかざし力を込めた。
そして、一心に祈った。
まだ力があってほしい期待と願い。自分の力の秘密を知りたいような知りたくないような恐る恐るな気持ちだった。
力をため詠唱を終えた
大翔は渾身の力で叫んだ。
そこに敵がいるような、危機的状況の気持ちで自分を追い込んだ。
「よし、稲妻でろ!」
しかし、全く反応はない。
何も大翔の指からは発せられなかった。
大翔は集中し怪物と闘技場で戦った時の事を必死に思い浮かべた。
あの時の力を取り戻したい一心だった。
「出ろ」
しかし出る事はなかった。
さすがに落胆して体の力が抜けた。
「出ないかあ、でもさっきは出来た。何故だろう? それにしてもあの魔物はスパルダスの手下だ。ついに攻め込んできたか。早くキッド君達に伝えないと。それに僕の能力も。僕は魔王の力は失ったはずなのに」
次の日学校で大翔はクラスの様子を奈良に聞いた。
何か異質な雰囲気を感じた。
「なんか殺気だってない?」
「そりゃ、もうすぐスーパートライアスロンじゃないか」
「スーパートライアスロン?」
前に利いたが最近のごたごたですっかり忘れていた。
「あれ知らなかったっけ?うちの学校の名物」
今僕にそんな事をしている暇はあるんだろうか。今は速くキッド君に聞きたいと大翔は思った。
将来に関わる事であるにも関わらずそれすら置いてきぼりだった。
その夜、三夫の家のホーンが鳴った。
「大翔君?」
大翔には喜びと久しぶりだからか少しの緊張感があった。
「はは、転校して家に来るの久しぶりだね」
「何かあったの?」
わざわざ来たため、三夫はとても心配そうだった。
大翔は暗い顔でもじもじした。
「三夫君、実は?」
大翔は事の経緯を話した。
「えっ! スパルダスの手下に襲われた?」
「う、うん」
「大丈夫?」
かなり三夫は心配している。
一大事と言う感じだ。
「あとね、それだけじゃなくて僕の体にも」
大翔は少し怖い気持ちで老婆を救った事や稲妻を出した事を話した。
三夫は短期間で色々あり落ち着かない大翔の気持ちを理解した。そして親身になった。
「良くわかった。一刻も速くキッド君に会わないと駄目だね。でも成功するか。僕もかなり魔法力使っちゃって」
「頼む!」
「勿論さ!」
三夫は強く力付けた。
そして魔方陣からキッドは出てきた。
「ああ、キッド君!」
キッドは久々に呼ばれ何事かととても不安そうだった。
「どうしたの? な、何か?」
「実は」
大翔は成り行きを話した。
「そうだったのか」
「あと僕の能力も」
「それは全然わからないうーん」
キッドは言った。
「もしよければ東ミランドで調べてもらおう」