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大翔のその後

1月10日改稿しました。

「号外! 号外!」

格闘学校の4年3組の教室にけたたましい声が朝っぱらから響いた。いや轟いた。


 手製の新聞を大げさな挙動でクラスに知らせ広めようとする少年がいた。


 大翔である。


 相も変わらず朝から周りのこれから学校が始まる少し憂鬱な雰囲気などお構いなしで、自分本位的にすごい声を出しながら彼はクラスで手製の学級新聞を配っていた。


 まるで国民的大ニュースの様に。


 それをはたで見ていた生徒の1人は聞きたくないようなしかめっ面をした。


そして言った。

「すまん、だれか通訳してくれ。何で『初めて新聞を書いた』のに号外なんだ?」


 それを聞いた生徒は言う。

「まあ、あいつの言う事大体意味不明だから」

「しかし相変わらずでかい声だよな」


 やはり、大翔はあいかわらずずれていた。

いつも通り少しペースが違う。温度が違う。


この学校でも「ちょっと変わったやつ」扱いである。


 しかし彼は前の学校であいさつをして回った時と皆の反応が違う事には気づいている。

無関心で冷たい、レスポンスがない。


大翔は自分の新聞が受け取ってもらえないのを嘆いていた。前の学校の人の方がまだ優しい、と思っていた。


 しかしふいに彼の傍らに来た生徒はいた。

「どれどれ」

と言い、新聞を番取が興味を持ち唯一覗き込んだ。

「ふええ? 魔法学校の設立にご協力ください?」


 小耳にはさんだまわりの生徒が噂した。

「魔法学校設立だって、とうとうおかしくなったらしいよあいつ」


 馬鹿にすると言うより関わらない方がいいと言う雰囲気の生徒達の反応だった。


 しかし唯一、番取は違った。

「面白そうじゃないか! なあ皆!」


「え、ええ?」

と皆に声をかけた。


 しかしまた噂話が聞こえた。

「番取のやつ、真崎をからかってるんじゃ?」


「いや、どうも本気で驚いてるみたい。どうも真崎が来てから少し変わったよな。あいつなかなか表情変えなかったけど、真崎に優しくしてる」


「よくわかんないけど、番取もちょっとおかしくなったんじゃない?」


 大翔はキッド達の目標である魔法学校の人間界への設立に役立とうとまずクラスに広める事を考えた。朝から大声を出しつかれた。


新聞も一生懸命書いた。

しかし新聞による広報は上手く行っていない。


 しかし番取は他の生徒と違った。大翔を勇気づけた。

「俺は勿論信じる、何せキッドさんたちに実際会ってるんだからな」


「ありがとう」

大翔は唯一の味方を得て安堵した。


 しかし番取も悩んだ。

「難しそうだな、魔法を信じてもらうの」

「うん、でも僕はあきらめない、キッド君達の力になるために」


「俺も手伝う」

番取は頼もしげにいい、肩をポンとたたいた。


 それから1日が終わり、大翔は帰り1人でさびしげにとぼとぼ歩いていた。

表情は不安で曇っていた。


 「スパルダス達はどうしたんだろう。人間界に攻め込むって言ってたけど、いつどこに現れるかわからない、不安だなあ、僕は魔王の力を失っちゃったし」


 何とかもやもやを抱えながらも大翔は家に着いた。


「ただいま」

「お帰り」


 何とそこで出迎えたのはグランだった。確かに穏やかで笑顔ではある、だが疲れを隠せない顔をしている。

力を失ったかの様だ。


 しかし大翔はグランが無事なのを見て少し元気になった。

「グランさん、体調はどう」

「少しずつ良くなってきたよ」


 大翔の母は

「家事を手伝ってくれて本当に助かるわ、無理しなくていいのに」

「いえ、これくらい当然ですよ」


 母親は聞いた。

「グランさんのご両親はまだ見つかる手がかりはないの?」

「あ、いえ……」


 大翔はグランや母と夕食をとり、その後部屋で1人考えた。

教室で大声を出していた時がうその様に静まり返った。


 大翔の気になる事、それは以前ディードスペードが言っていた事だった。

「お前は人間界の人間ではない、西ミランドの兵士にするための赤ん坊をお前の親に育てさせたのだ」


 大翔は思った。


「と言う事は、僕は真崎家にニセの子供として育ったんだ。じゃあその代りに追い出された子供がいるって事? 僕はもうこの家にいちゃいけないのかも。その子は今どうしているんだろう」


 その頃、魔晶結界につながる場所に身を隠したスパルダスは冥王やルディン達と秘密の場所にいた。


「いいか、あいつら魔法使いはかなり消耗し怪我をしている。あいつらに作戦を立てたり立て直す隙を与えるな。これまで我々はぬるかった。真崎大翔のいる街を直ちに襲う! それに真崎家の真の息子が我々の支配者にこれからなるのだからな」


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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