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第21話 過去の因縁

 この時をずっと待ってた。

 ついにまた殺りあうことができる。

 オレはお前と殺りあうためにわざわざここに入ったんだ。そうこなっくちゃ困るぜ。


 4年前、初めてお前と殺りあった時から、オレはお前以外のすべてに興味が失せっちまった。

 仕事しても、まったく殺るきがでなくて周りからは変な心配されたもんだ。


 あいつの屋敷の防犯カメラの映像を見た時は、鳥肌が止まらなかったぜ。

 あいつの内に眠る狂気の正体はなんだ?

 まぁ、殺りあえばわかるか。


「4年前を思い出すな、メッキー」


「その口すぐにきけなくしてやるわ」


 良い顔してやがる。復讐と憎悪に満ち溢れている。


「冷たいこと言うなよ。一度殺りあった中だろ?」


「私の大切な家族と居場所を奪ったあなたを絶対に許さない! 私はお前を殺すことだけを考えて生きてきた。確実に殺してやる」


「疑われたままってのもあまりいい気分じゃねぇから言っとくが、オレはお前の家族何か一人も殺してねぇぜ」


「黙れ! 嘘をつくな! お前以外に誰がいる!」


 おお、おっかねぇ。血に飢えた獣みたいな顔しやがって。


「本当だ。オレはどうしょもねぇ屑だが嘘だけはつかねぇ」


 痺れをきらしたメッキーが地面をけり飛ばし一瞬でオレの間合いに入ってくる。

 メッキーは黒く染まった刀身のドスを心臓狙って突いてくる。

 オレは自慢の名刀でメッキーの凶器を受け止めた。

 メッキーの流れるような連続攻撃を一つ一つ受け止める。

 喉、心臓、眼球、肺、肝臓、頸動脈、腋窩動脈、鼠径動脈

 よくもまぁ、器用に流れるように急所を狙えるもんだ。


 それにしても、何だあのドス? オレの名刀とぶつかり合って刃こぼれ一つしてねぇ。なかなかの業物だな。

 長さは一尺と言ったところか。


 いい腕だ!

 こいつには殺しの才能がある。

 急所を狙う正確さ、剣技だけでなく手足をうまく使ったトリッキーな攻撃でこっちの動きを崩そうとしやがる!

 それに驚くはこいつの圧倒的な反射速度だ。

 攻撃を受け流しつつ、死角を突いて反撃してるつもりだが、全然奴に刃が届きやしねぇ。

 強い。とんでもなく強い。


 だが、

 オレはメッキーの攻撃を受け流し、隙を見てバックステップし距離をおいた。

 そして、刀を鞘に納める。


「何のつもり?」


「メッキーお前は最高に強い。ただ普通の人間としての話だ」


 オレはアクセルを全開に上げメッキーめがけて飛び込んだ。

 メッキーの突きをかわしどってぱらに掌底を打ち込んだ。

 吹き飛ばされ飛んでったメッキーを追撃しさらに連撃を加えていく。

 どうしたさっきまでの威勢は? 自慢の反射神経でかわしてみろよ!

 目はついていけてるようだが身体がついていけてねぇようだな!

 連撃に堪えたメッキーが膝をついて倒れた。

 本気出したらこれだ。

 話になんねぇよ!


 4年も待ったんだ!

 あまりオレを失望させてくれるなよ!

 あの時のお前はこんなもんじゃなかったはずだ!

 メッキーが口から血を垂らしながらふらふらと立ち上がった。


「負けるわけにはいかないのに……、私はお前を殺すためだけに……、私の大切な家族の仇をうつんだ!」


「さっきから何を勘違いしてやがるメッキー? 家族を一人残らずぶっ殺したのはてめぇだろ?」


「馬鹿なことを言わないで! 私の大切な物をすべて奪っておきながら、よりもよってなんてことを!」


「本当だ。何ならこの試合が終わったら証拠を見せてやるよ。まぁこの試合が終わったらお前は死ぬから無理な話か」


「私はお前を殺すまで死ぬわけにはいかない。絶対に、絶対に殺してやる!」


 メッキーがオレに向かい飛び込み、右手に握りしめたドスで連続で急所を狙って攻撃してくる。

 俺は連撃を回避し、避けきれない攻撃を手刀で払った。

 まだ、こんな力が残っていたか。

 さっきよりさらに早く狙いも正確だ。


 だが、

「もういい、飽きたぜ」

 オレは腰に提げた名刀を引き抜きメッキーに連撃を加えた。

 メッキーは自慢の反射神経でオレの攻撃を受け止めるが、体がオレの速度について来れず、ガードがワンテンポ遅れている。


 ワンテンポ遅れた分だけ、確実に刃が身体を少しずつ蝕んでいく。

 気づけば、少しずつ刻まれた刃でいたる所から血が滲み出ている。

 身を守ることで精いっぱいなメッキーのどってぱらをオレは蹴り飛ばした。

 吹き飛ばされ倒れたメッキーは動かない。


 気絶したか。

 無理もねぇ、あの出血だ。

 立ってるのがやっとのはずだ。


 結局、あいつは現れなかったか。

 これだけ、追い込んでやれば出てくると思ったが当てが外れたか。

 そもそも、あいつは一体何だったんだろうか?

 考えてもしかたねぇか。

 会いたいのに会えない悲しいねぇ。

 いつまでもくよくよしたってしょうがねぇ。


「ゲームオーバーだ。メッキー」


 オレはメッキーめがけて飛び込み刀を全力で振り落した。

 ギィィン! と鉄と鉄が激しくぶつかり合う音がした。


 メッキーの首を切り落とそうと全力で振り下ろした刀は片手に握られた一本のドスで受け止められていた。

 メッキーはしゃがんだままの姿勢でオレをまったく視界に入れず黒いドスで刀を受け止めていた。


 しゃがんでいたメッキーがゆらりと立ち上がる。

 メッキーの口元は狂気に歪み、殺気に満ち溢れた鋭い眼光をしている。


 オレは確信した。

 間違いねぇ、あの時のあいつだ!


 メッキーがむき出しの殺気をオレにぶつけてくる。


「久しぶりだな、今度こそ確実に排除する」


 この時をずっと待っていた。


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