第九十八話 イメノア王国ワースル その一
ココナルの街を奪還が完了した。
ルーミエとユウキとカラルには戦闘での返り血を落とすためにお風呂に入ってもらったあと、高い建物の上に移動して、ソファで寛いで待ってもらう間、俺とゾンヌフでテーブルの上に昼食の準備をする。
昼食を食べながら今回の戦闘の感触を三人に聞いた。
「とっても体が軽くて、それに力がみなぎっているわ。まだまだいけそうよ」と、ルーミエはまだ余裕はありそうだ。
もともとエソルタ島流剣技を習得しているルーミエは動きは無駄が少ない。さらに二刀流にすることで攻撃のバリエーションが増えているように見えた。
「あたしの大剣は力で振り回している感じだから、もう少し効率的に使えるようになりたいかな~」
ユウキは最近得物を変更して大型の剣を使い始めたが、やはり慣れない分力任せになったか……。それにユウキがちょくちょく攻撃を受けて傷を負ったことは気づいていた。こればかりは訓練して自力での乗り超えてもらおう。
カラルの持っている宝具”側室の契約”を使い俺と契約を結んだことにより、戦闘能力が格段に上がったが戸惑いはないようだ。
これからの予定をたてるためにルーミエにカノユール王国の街の数を聞いた。
「確か大小合わせて百ほどよ、イメノア王国もおそらく同じくらいだわ」
「そうだね。合わせて二百くらいかな……今回みたいな奪還方法だとかなり時間がかかるね」
いくら街が多くても、問題ない。と伝えようとした時だった。
ノイリから地脈連絡用指輪経由で呼び掛けがあったが、声が少し緊張しているようだ。
「アキトさん、今大丈夫ですか?」
「ノイリ、今朝ぶりだな。何かあったのか?」
「はい、神託がありました」
遠夜見の巫女の神託だ。近い未来にどこかの都市が襲われてることがほぼ確定している。
これからエソルタ島全土を攻略しようと思っていた矢先だったのに、タイミングが悪いな。一旦この島を離れなければならないか……。
「場所と時期の特定はできそうか?」
「時期はまだ分かっていませんが、場所は特定できました。イメノア王国の王都ワースルです。地理的特徴から間違いありません」
「え!?エソルタ島?俺たちもちょうど今イメノア王国側にいるんだ」
「偶然……なのでしょうか?」
先日、魔人たちの転移魔法陣を閉じたのでもう一度、開通させて援軍を送る準備をしていると考える方が妥当だな。
「偶然じゃなくて、関係はあると思う。こちらはこれからワースルでの行動を開始しようと思う。また、新たな情報が分かれば教えてほしい」
「わかりました」
ノイリとの通信を終える。襲撃予告のあったのワースル内の状況を先に確認しておこう。
皆にはそのまま食事を続けてもらい、俺は地図でワースルのおおよその位置を確認してから目を閉じて、領域を王都ワースルにまで広げる。
領域を対象の地域に移動させる方法もあるのだが、目標地点に向かうまでに意外と集中力を使う。それよりか無造作に広げていき、引っかかったところでそこに集中させる方が何故だか性分にあっている。圏内に入ったのでワースルだけを限定し、統計情報を読み取った。
「今確認したけれど、神託のあったイメノア王国の王都ワースルに残りの魔人が九体すべて集まっていて、そこには生存者がおよそ五百人、モンスターはニ十五万体はいるな」
「そんなに多いの……。やっぱり、軍隊の力が必要だね」
ユウキもさすがに無理だと諦めたのだろうか…。
「いや、俺が全て倒す」
さすがにゾンヌフも心配になって口をはさんだ。
「魔人一体でも一万の兵では倒せないのであろう?それをお前九体も一気に倒す気か?」
「数は多いが、早く行動しないと何か起こりそうな気がするんだ」
せっかくここまで生き延びている人たちを一人でも多く救いたい。
「生存者を優先して助けるから基本は隠密で行動する」
具体的な作戦はないが、以前に街の上から攻略をした時は、魔人に居場所がばれて、飛行魔法で向かってきたっけ。
今回はカラルにダンジョンを構築してもらい、隠れながらプチプチと倒していくか……。とにかく現地を見て作戦を考えよう。
そしてイメノア王国の王都ワースルに向けて俺たちは飛び立った。




