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第九十五話 分配 その二

 翌朝、朝食を食べていると玄関の扉をノックされる。極私的絶対王国マイキングダムを展開して、誰が来たのかを確認すると、カガモン帝国宰相が護衛もつけずに我が家の玄関先に立っている。


 俺は玄関に行きドアを開けて中に招き入れる。


「よお、ゾンヌフ。こんな朝早くから護衛もつけずにどうした?」


「ああ、すまないな、アキト。色々と頼みたいことがあって邪魔させてもらった」


 真剣な表情のゾンヌフどうやら深刻な話があるようだ。立ち話もなんなので、俺の部屋に通す。


「引っ越してきた近隣住民がいるということを護衛から聞いて、詳しく調べさせるとお前のところの家族だとわかってな、陛下に報告したのだよ」


 律儀な家臣だな。


「ふーん。で、陛下はなんて?」


「エソルタ島を救うとまで言ったアキトについて行って、サポートしてもよいと許可をいただいた」


 ついてきても足手まといになるだけだし、宰相が一人で来るわけもなく、護衛もたくさんついてくるのだろうか……。


「サポートはいらないぞ」


「……うぐ、1万の兵士を連れていくことも可能だぞ?」


 一万人兵士……船でエソルタ島まで十五日以上かかる距離を何隻に別れて乗船することになるのだろうか……想像ができない。


「準備や移動に時間がかかりすぎるし、無駄な犠牲はだしたくないんだよ」


「どうしても、ダメか?」


「そうだ。心配するな、すべて任せろ」


「それじゃあ俺だけでも連れて行ってくれ、頼む!」


「死ぬかもしれなないんだぞ」


「……ああ、その覚悟はできている。——エソルタ島を救う話を陛下はお聞きになり、その後、いてもたってもいられなくなったようでな、あの島に行きたいとおっしゃられたが、もちろんそんなことは許されるはずもない。だから私が行って陛下にすべてをお伝えするのだ」


 エルゴートもそれだけあの島への思い入れも強いのだろう……。一人くらいならいいか。


「よし、そこまでの覚悟があるのなら一緒に行こう……ただし連れていくのはゾンヌフだけで護衛は無しだ。

 出発は今日の昼過ぎだ。それまでに準備しておいてくれ。こっちも準備が整い次第迎えに行く」


「……いいのか?アキト。ありがとう」


「こちらの指示には従ってもらうからな」


「わかっている、それでは屋敷で待っているぞ」


 連れていくことを承諾するとゾンヌフは安堵の表情で帰っていった。さて、こちらも準備を開始するか。


 まずはカムラドネまでノイリを送る。その後、我が家のメイドを連れて戻ってくる。昼過ぎにはゾンヌフを迎えに行って、エソルタ島へ向けて出発だ。


 これからの行程をみんなに伝えたあと、ルーミエとユウキに呼び出された。


「ちょっとアキト、昨日の件が残ってるんだけど……」


 昨日の件とは、”側室の寝具”による経験値の分配のことだ。


 そのベッドの上でイチャイチャすることにより、レベルが上がる。イチャイチャする内容が親密かつ過激なほど強くなるというなんとも奇妙な宝具を使っての強化の予定だったのだが、ゾンヌフの件で予定が狂ったな……。


「ああ、そうだったな……ノイリを送ってメイドさん連れて帰ってくるから、その後でもいいか?」


「場所は?」


 この家だとメイドたちが来るから落ち着かないし……。


「……イドンの上空で。ルーミエには天空のお風呂を準備するよ」


「わぁ、ありがとうアキト。天空の露天風呂楽しみだわ~」


 お風呂好きのルーミエも上機嫌になった。


「レイラから聞いたよ」


 ニマニマしながらユウキが耳元でささやく。


「な、何を?」


「えへへ、とても強くなっていることを感じているって。楽しみだな~」


 俺も別の意味で楽しみだ。複数の嫁とイチャイチャできるのはとても楽しい。


 ちなみに昨日一夜を共にしたレイラは52から159までレベルが上がった。一晩でレベルが100以上上がるなんて、なんてでたらめな道具なんだ。


 ルーミエと、ユウキはアレを一緒にすることになると思うので、さらにレベルアップが期待される。



 異世界転移魔法陣を展開して、ノイリをカムラドネに送り届ける。


 続いて準備を終えて待っていた三人のメイドさんに極私的絶対王国マイキングダムで強制的に目を閉じてもらいイドンの街に戻った。


 三人ともこの短時間に長距離を移動できたことをとても驚いていたが、口外しないようにお願いをしておいた。


 家のことはレイラと三人のメイドに任せて、お待ちかねのルーミエとユウキとイチャイチャタイムだ。


 まだ、昼までは三時間くらいはあるはずだ。箱魔法を展開するとカラルも乗り込んできた。


「わらわも一緒にお願いね……」と、かわいくお願いされる。


 イドン上空。街が点になるほどの高度で、箱魔法をかなり広めに展開すると外の冷たい空気が入ってきが、内部の空気を温めて、外気を入れないように設定する。


 日差しも少し強いので、箱魔法に遮光を施す。箱魔法は細かい設定が可能でとても便利だ。


 マリンブルーに輝く海を眼下にお風呂とカラルは”契りの寝具”と”側室の寝具”を両方並べて、ルーミエとユウキはテーブルと軽くつまめる物と飲み物をアイテムボックスから出していた。


 準備は完了だ。これだけ明るいと雰囲気も何もあったものじゃないが、俺以外の三人とも気にしていない様子だった。


 そして三時間たっぷりと楽しみ、その結果、カラルがLv1278、ルーミエが271、ユウキが254になっていた。

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