第八十七話 検討会 その一
魔人の世界から巨大魔法陣が展開されていた最寄りの街キンガーニ上空に戻ってきた。
「いや~、何とかなるもんだな!」
魔人を十ニ体倒して、手応えを感じていた俺とは反対にカラルは少し怖い思いをしたようだ。
「いいえ、わらわにとっては早すぎてついていけなかったわ。何をしているかわからないし、魔人が次々と湧き出てくるし……」
「そっかそっか……不安な思いをさせたな」
背中に張り付いている高校生くらいに擬態したカラルを下して、しばし抱きしめる。
「クロックアップ中は言葉での意思疎通ができないな」
「ええ、アキト様は早口すぎで何言ってるかわからなかったわ」
俺の方はクロックアップ中はカラルが何かしゃべっても、低音でア~~~~~キ~~~~~ト~~~~~さ~~~~~ま~~~~~。という感じに延び延びになって語り終わるのを待っていられない。
しかしクロックアップをしていれば、近接戦闘で負けることはない。中距離での攻撃は”常世の姿見”を使用することで魔人を近くの物体とともに世界から消してしまえるチートアイテムがあるが、使用回数が連続して三回と制限があった。
できれば”常世の姿見”と同じくらい強い魔法がほしい。これだけレベルが上がっているから、久しぶりにアイディア出しをしててみよう。
「よし、カラル。風呂に入るぞ」
「……え?どうして?」
「考え事するには風呂がいいんだよ」
「何を言い出すのかと思えば唐突にお風呂だなんて……でも面白いですわね」
「待っててくれてもいいし、一緒に入ってもいいよ」
「ふふっ、それでは考えられないのでは?」
「そうかもな」
街を見下ろす上空で風呂の準備をする。
アイテムボックスから湯船を出して、湯を入れたらお手軽絶景温泉の出来上がりだ。カラルの読み通り、いちゃいちゃしていたら案の定そのまま一回戦を開始してしまった。
□
カラルは脚の間に入って、俺にもたれかかっている。
異世界での魔人との戦闘でレベル500近く上がっていたのでボーナスポイント振り分けた。
◇ ◇ ◇
Lv1870 HP18700/MP18700
強さ:3300 守り:3000 器用さ:4100 賢さ:3200 魔法耐性:3100 魔法威力:3000 ボーナス:0
◇ ◇ ◇
キンガーニの街をスキャニング能力で見ると、人族、獣人族、竜人族が二百人くらいが囚われている。敵は魔人が二体、その他モンスターは一万体くらいいるようだ。
「あの街のモンスターを倒しながら検討したいと思う」
「わらわもお手伝いするわ。あの街全体に極私的絶対王国かけて」
「いいよ、捕らわれている人には気をつけて、あと魔人を見かけた教えてほしい」
カラルと触れ合っている状態で極私的絶対王国を展開するとカラルが魔法で干渉ができるので色々と試しているようだ。
「それでは敵を倒していきますね」と言うと詠唱が始める。攻略をカラルに一任して俺は検討を始める。




