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第八十話 再会その二

 皇帝と宰相から「なんでこんな奴に四人も嫁がいるんだ……」という視線が突き刺さる。


「ゾンヌフ、ほら、俺たち友達だろ?」


 頼む、紳士協定だ。クレアことは何も触れないでほしい……。


「まさか、これだけ美しい方たちが嫁だとは思わなかったよ、ジーン。いやアキト!」


 皇帝もあきれている。


「アキトよ、予もこれだけの美女を娶っているのであれば、さすがに仮面舞踏会には参加しようとは思わんぞ」


 嫁さんズの視線も痛い。こちらは「何か悪いことしていないかしら?」といった疑いの眼差しだ。

圧倒的不利、味方はいない……。


「さ……さあ、感動の再開も済んだことだし、飯にしようぜ」


 感動がぶちこわしだったが、再開できたことは喜ぶべきだろう。


「まあよいか……ゾンヌフ、準備を頼む。あんなにかわいかった2人がこの男に……はぁ」


 皇帝はとても落ち込んでいる。


 皇帝の右隣にはゾンヌフ、左隣はルーミエとユウキが座り、カラル、レイラ、俺という順に並ぶ。

幼い時に出会った話から始まり、最後に会ったことまで、思い出話に花が咲いている。



 出会いは十年前に遡る。ルーミエが八歳、ユウキが七歳、エルゴードが十八歳の時の話だ。


 エソルタ島の二つの王家がカガモン帝国に来るということで、皇帝からイドンに来るように伝令が来た。


 当時のエルゴードは次期皇帝になるため、国内の街を転々とし、諸侯の貴族との親睦を深め、各都市の情勢を身をもって感じ、知識を深めていた。その修業途中で出会ったのが宰相のゾンヌフなのだそうだ。


 二つの王家との対面を終え、親たちは別行動になり、あとは子供同士で親睦を深めるようにとのことだったが、初めは緊張のせいか堅苦しい話しかできなかった。


 それでも年齢が近いこともありルーミエの兄やユウキの姉二人とはすぐにうちとけ、王族としての悩みや大変さなどの話で盛り上がった。それにルーミエとユウキにも「遊ぼう」と声をかけられ、仲良く過ごすことができた。


 ユウキの姉たちとは親同士で婚約などの話も出ていてらしく、社交辞令だったのかもしれないが、お互い照れ臭かったそうだ。


 滞在期間中は子供たち同士で多くの時間を一緒に過ごし、兄弟がいないエルゴードにとっては、とても楽しい思い出となった。そして一週間ほどの滞在で二つの王家はそれぞれ国へと戻っていった。


 それからエルゴードは毎年エソルタ島へ表敬訪問し、ルーミエとユウキたちも二、三年に一度はカガモン帝国を訪れていた。



「いやぁ、懐かしいね。ルーミエ」


「そうね、エル兄様はいつも私たちに大陸のいろんな話をきかせてくれて、遊んでくださったわね」


「うんうん、いろんなことを知っているお兄ちゃんで、ルーミエのお兄さんと同じで憧れの人だったんだよ~」


「ユウキちゃん、それはもう過去形なのかい?」


「秘密ぅ、えへへへ……」


 様々な思い出ばなしが語られる中、俺は席をはずした。廊下にあるソファに腰を下ろす。調度品も一つ一つ豪華だよな……と手すりをなでているとレイラも部屋から出てきた。


「仮面舞踏会は楽しかった?」


「初めての事ばかりで戸惑ったけど、面白い雰囲気だったよ。でも俺にはもういいかな。皇帝や宰相とも知り合いになれたし……」


「カラルが言っていたよ、あとで何をしていたか確認するって。うふふ……みんなアキトのことが心配だったのよ」


 どうやって確認するのだろうか?俺とカラルとは一心同体みたいなところがあるから筒抜けなんだよな……。


「そうか……変なことに興味持っちゃって、ごめんな」


 クレアのことはぎりぎりセーフなのだろうか?レイラと手をつなぎ、そして心の中で誓う。オイタはもうしません、と。


 席に戻るとこれまでの出来事をすべて聞いた、皇帝は俺に高らかに宣言する。


「エソルタ島のことは聞いた。帝国の全てをもって力になろう」


 そして再会の宴は夜遅くまで続いた。



 宿に戻って仮面舞踏会のことを嫁たちに仲良くなった女の子はいるが、お話した程度のことだと脚色して報告した。


 カラルがゆっくりと近づいてくる。


「では皆さん、心の準備はよろしいですか?」


 無言で頷く三人。


「な、なにをする気?カラル」


 カラルは俺の耳につけたままにしていたイヤリングに手を伸ばす。


「お渡ししておりました、この幻惑のイヤリングは使用者がどのようなことをしていたか、ということを読むことができるのよ」


 何そのドライブレコーダー的な機能。そういう機能があるのなら最初から言ってほしいっす。


「それでは失礼して……」


 幻惑のイヤリングを手に取り、情報を読み込みんでいる。


「ふむふむ……なるほど……わかりました。その方の名前はクレアさん……ですね?」


「はい」


 力なく俺は肯定する。このままバラされてしまうのか……。


「手をつなぎ……個室に2人きり……アキトが……クレアの誘いを……」


「いやー!アキト何してるの?」


 ルーミエが悲鳴のような声を上げる。


「拒否する……」


 おお……ありがとう、カラル。


「怒って帰るクレア……ということみたいでしたわね」


 ルーミエ、ユウキ、レイラが抱きついてきた。


「もー、ユウキたち以外の女の子と仲良くしちゃだめだよ」


 ユウキも明るく振舞っていたが心配していたんだな。


「不満があったら直すから、なんでも言ってよ」


 ルーミエをはじめ四人の嫁に不満なところなんてひとつもない。


「おかえりなさい、アキト」


 レイラもちょっぴり涙目だ。おかえりなさいって、もしかして俺って放出されてた感じ?確かにみんなちょっとよそよそしかったもんな。


 本当にごめんなさいでした。


 その夜は仲良くベッドを寄せてみんなで眠った。


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